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介護士コラム~体験談~

ご利用者様に初めて名前で呼んでもらい、単純に嬉しかった体験談

介護士の多くは、意外にもご利用者様に名前(姓でも名でも)で呼んでもらったことがないのではないでしょうか。
ご利用者様が介護士を呼ぶときに多いのは「お姉さん」「お兄さん」「ちょっと」など、よくよく考えてみると介護士を名前で呼ぶご利用者様の方が少ないのではないでしょうか。

今回ご紹介する体験談は、単純ではありますが、私が最近経験した実体験であり、それは「今まで名前で呼んでもらったことのないご利用者様から、初めて名前で呼ばれた」というだけの体験談です。
でも妙に嬉しく、共感していただける方は多いのでは・・・と思い、ご紹介させていただきます。

「名前を覚えられない」のは認知症の有無にかかわらない

体験談をご紹介する前置きの話を少しさせていただきます。
私の近況として、介護現場の人手不足含めた諸般の事情で、ここ1~2か月程、同じ現場(入所施設)で1人の介護士として働いていました。

話は本題へと移っていきます。1人の介護士として、当然、出勤ごとに顔を合わせるご利用者様は同じ方々です。
ご利用者様も私のことを「新しい方?」などと言いながら、新人の(年齢は多いですが!?)介護士として見ている様子がありました。

久しぶりに純粋な1人の介護士として、現場で他の介護士と同じように身体を使ってご利用者様に関わっていて気がついたことがありました。
それは、ご利用者様が介護士を名前で呼ぶ事が少ないということでした。認知症の有無にかかわらず、単純な加齢もある様子です。

私たちも年齢を重ねるともの覚えが悪くなったり、人の名前がスッと出てこないようになるのと同じように感じました。

ナースコールがあるから、名前を呼ばなくても用事は済む

また、あたり前ではありますが、今の施設はどの部屋にもどのトイレにも、ナースコール(呼び出しボタン)がついています。
居室にいても他のところにいても、ボタンを押せば介護士は訪室したりして用件をうかがいます。

言い方を変えると、ご利用者様は介護士のことを「○○さん」等と名前で呼ばなくても、ナースコール(呼び出しボタン)があればある程度のことには困らない環境にあるのです。

あたり前のことなのですが、私が久しぶりに1人の介護士として現場に入って改めて感じたことの1つが、この「ナースコール(呼び出しボタン)で、ご利用者様は職員を名前で呼ばなくても用事を済ますことができる」という点でした。

名前で呼んでくださったN様がおっしゃった事

1人の介護士として介護現場に入って2~3週間過ぎた頃です。トイレの前で「○○さん」と私を名前で呼ぶ声がしました。
名前を呼んでくださったのはN様という女性のご利用者様です。

左半身に麻痺はあるものの認知症は無く、生活動作はおおむね自立されていますが、車椅子を使用されている関係で車椅子⇔便座の以上に軽介助が必要なご利用者様です。

現在の介護現場に入ってから、どのご利用者様からも名前で呼ばれた事が無かったので、私は一瞬、私自身が呼ばれている事が瞬時にわかりませんでした。
しかしN様がもう1度「○○さん、トイレを手伝ってもらえますか」とおっしゃられ、私は「名前で呼んでくださったんだ」と理解することができました。

「この介護現場で、ご利用者様から名前で呼ばれて単純に嬉しい」と私は率直に思いました。
あまりにも嬉しかったので、私はN様のトイレが終わってから、N様に「名前で呼んでもらえてうれしかったです、ありがとうございました」とお礼を伝えました。そのN様はこんなことをおっしゃっていました。

「どの職員さん(介護士をさしている)も、名前を覚えることができなくて・・・でも、お手伝いしてもらっている方たちの名前を覚えたいといつも思っているの」
「私(N様)も、なかなか名前を覚えられないけど、今日ようやく名前で呼ぶことができてよかった」

またN様は「名前を何回聞くのは失礼かと思って、ついつい遠慮しちゃう」ということもおっしゃっていたので、私はこう答えました。
「名前をお伝えするのはタダなので、何度でも聞いてください」と。N様は笑いながら「そうだね」とおっしゃっていました。

文字理解ができるN様に、名前を漢字で書いて渡してみた

それから2~3日が経過し、私はふと「N様は認知症が無く、ほとんどの漢字を読むことができる」ことを思い出しました。
N様には失礼かも・・・と思いながらも、私は自分の名前を漢字で書いた紙を渡してみました。

するとN様は「こういう字を書くんだ・・・ありがとう」とおっしゃりながら、N様持参のメモ張(メモ張を車椅子のポケットに入れることが習慣となっている)にご自分で私の名前を書き写してくださったのです。
これも、なんだか純粋にとても嬉しかったです。

まとめ

ご利用者様から名前で呼んでもらえる介護士は意外と少ないと改めて感じた反面、私自身、久しぶりの1人の介護士としてご利用者様から名前で呼ばれることが、単純にすごく嬉しく感じた体験談をご紹介しました。

今回、私は名前を漢字で書いてご利用者様に渡しましたが、近年は個人情報の取り扱いには気をつけなければいけないご時世でもありますので、自分の名前を紙に書いてお渡しするときは、自己責任のもとで行っていただくことを追記させていただきます。

今回ご紹介した内容が、介護士としてがんばっている方たちの参考になれば幸いです。

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