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介護士コラム~体験談~

胃ろうはおすすめ?胃ろうをする意味とデメリット

介護施設では色々な方がいます。認知症の人や病気の為体が自由に動かせない人、意思疎通が出来ずに寝たきりの人等様々です。

そんな中、医療行為を行っている人もいます。介護士や看護師が毎日対応し、安全に生活できるよう支援をしているのです。

介護における医療行為

例えば在宅酸素を利用している人は、体の中の酸素濃度が通常の人より低い為、鼻から酸素を流したりマスクを着用したりしなければ、命に関わる事態となります。

そんな風に酸素を常に吸入していなければならない人が認知症であれば、酸素を使用する事を忘れてしまう事もあり非常に危険なのです。

そんな方の使用の確認や、自力で酸素をつけられない人の為に、介護士・看護師が定期的に確認をしています。

他にも医療行為はあり、「胃ろう」を行っている利用者もいます。
酸素吸入とは違い、あまり聞きなれないこの胃ろう。いったいどんな行為なのでしょうか?

胃ろうとは?

高齢になり、身体機能や嚥下能力の低下の為、口から食事をとる事が出来なくなってしまう人がいます。
食事が出来ないという事は、栄養や水分補給が出来ないという事ですので、その状態が何日も続けば人は死んでしまいます。

そういった状況にならない為に、胃に直接栄養を入れる医療処置が存在し、それが「胃ろう」と言うのです。

胃ろうは医療処置となりますので、介護士では対応する事は出来ません。施設の看護師が対応する事なります。
ただし直接胃に栄養を入れるには、胃に穴をあけて栄養を送るチューブを作らなければならない為、手術が必要となります。

手術と聞くと不安になりますが、順調に行けば1時間もかからず手術は終わり、入院期間も1週間程度と短いので安心です。
短い期間の入院であれば、体への負担も少ない為、すぐにリハビリに励む事が出来るでしょう。

また、高齢になるとどうしても嚥下能力が低下するので、肺炎の危険性があります。
しかし胃ろう対応となれば、口から食事を摂取する事が無くなる為、そういったリスクは回避する事が出来、体に負担なく栄養を摂る事が出来るのです。

このように、胃ろうでの対応はとても優れた医療行為ですが、もちろんメリットばかりではありません。

胃ろう行為のデメリットとは?

それでは、胃ろう行為のデメリットはどういったものなのでしょうか?

皮膚トラブル

胃ろうは胃に直接チューブを繋げている為、その部分を清潔に保たなければ、周辺の皮膚が赤くなってしまったり、ただれてしまったりする事があります。

費用

胃ろうにすれば当然定期的にその部位の確認や、チューブを交換する事があります。
その都度病院に行かなければならないので手間がかかりますし、診療代を払う事にもなります。

そして一日必ず栄養剤を注入する為、毎月栄養材の費用もかかってくるでしょう。
また、チューブが外れれば付け直したり、定期的な交換も費用がかかったりします。
ですので金銭面ではつらいかもしれません。

医療行為があると施設入居しづらい

先程も説明したように、胃ろうをしている人が介護施設に入居する為には、看護師が常駐している所を探さなければいけません。

特別養護老人ホーム等は、比較的医療行為の方でも問題なく入居する事が出来るのですが、とても人気がある施設の為、すぐに入居できる可能性は低いでしょう。
多い所では何百人待ちの所もあるので、入るまでに7.8年かかったと言う人もいます。

そうなると、介護付き有料老人ホームも看護師が常駐しているので入居の条件としては可能ですが、看護師が人手不足で人員基準ギリギリで対応している所等は、毎日対応でき兼ねるという事で入居を断られてしまう事もあるのです。

その為、医療機関を転々としている人も多く、落ち着いた生活を送る事が出来なくなってしまうのです。

口の中の汚れが目立つ

胃ろうのみで生活を送る人は、口から物を一切食べない為、唾液の分泌が減って口の中が汚れやすくなります。
そして食べ物を噛むという行為も行わない為、嚥下機能も低下してしまいます。

その為、通常の人よりしっかりと口腔ケアを行い、清潔を保たなければなりません。

胃ろうはおすすめなのか?

胃ろうにする事でメリット・デメリットとありますが、総合的な事を考えると、その人の状態次第でメリットにもデメリットにもなってしまう行為だと言えます。

胃ろう行為を行い、その後少しずつ食事を取り、最終的には口からしっかり栄養を摂る為の「リハビリ期間限定」であれば、胃ろう行為はとても優れた物になります。
また、誤嚥性肺炎を度々繰り返す人等にも、胃ろうはありがたい対応方法と言えます。

しかし、高齢の終末期状態のような場合は、本人が希望を言えない状態の中で家族によって胃ろうを行い「延命」のような形になってしまう事もあります。
もちろん家族の気持ちとしては当然の思いだと思います。しかし本人からすれば望まれない行為の可能性もあるのです。

まとめ

今後ますます高齢社会が進んでいく日本の対策として、意思疎通が可能なうちに、終末期の対応についてその人の方向性を、ある程度の時期が来たら書面などに残しておく事を制度化していく必要があると思います。

そして、高齢になっても自分らしく生きていく内容を、家族に伝えておく事も一つの方法と言えるでしょう。

医師から判断を決めるように言われる家族にとっても、本人意思を聞いておけばつらい決断をしなくても済むようになるでしょう。

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