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介護士のお仕事

ベッドから椅子へ移乗介護するポイント

寝たきりの方や、歩行が困難な方に対して行う介助の中に、「移乗介助」というものがあります。
移乗介助とは、自分の部屋から食堂や浴室に行く為に行う介助で、ベッドから車いすに移る行為や、車いすから浴室の椅子に乗り換える時などに行います。

利用者は介護士からこのような介助を受けて、部屋から出て移動する事が出来るので、とても重要な介助となります。

移乗介助は事故につながりやすい

重要な内容はもちろんの事、体を支えたり抱えたりして介助するケースが多いので、「大きな事故に繋がりやすい介助」とも言えるでしょう。

例えば、介助中に抱えきれずに床に落としてしまえば、利用者は怪我をしてしまう可能性があります。
高齢者は年齢と共に骨がもろくなっている為、骨折してしまうような事もあります。

骨折してしまえば入院が必要となるケースも多く、身体的にも精神的にも状態レベルが落ちてしまう可能性があります。
また、打ちどころが悪ければ最悪の事態を招いてしまう事もあるので、細心の注意を怠る事は許されません。

次に起こりやすいのは、抱えて車いすに座ってもらう際に、車いすのひじ掛けやフットレスト等に利用者の体がぶつかってしまい、内出血を起こしたり、皮膚剥離を起こして出血してしまうケースも多いです。
さらには、強く抱えすぎて利用者から「痛い」と言われてしまう事もあります。

このように移乗の介助は非常に神経を使う内容となっていますので、対応方法についてはしっかりと研修や、施設内での演習をしていく事が大事になるでしょう。

ポイントやコツを抑えておけば、利用者に痛い思いをさせるような事はありません。
それでは、ベッドから車いすや椅子に移乗する際のポイントをいくつか紹介しましょう。

車いす位置と角度

まずは、絶対に「車いすを持ってくること」を忘れないようにして下さい。転倒や転落の危険が増えてしまいます。
車いすを必ずベッドわきに持ってきてから、介助スタートとなります。

車椅子はベッドに座っている利用者が「足を一歩前に出せば体の回転で座れる位置」が良いでしょう。
近すぎても体を回転させる事が難しくなりますし、遠いと座面にしっかり座れずそのままずり落ちてしまう危険性がありますので注意して下さい。

また、角度に関しては「ベッドに対して30度くらいの角度」で置きます。
理由としてはお尻を移動させる距離が短くて済むからです。なるべく負担を掛けないようにする事を心がけて下さい。

車いすの特性を生かす

次は、移乗した際に「車いすにぶつからないようにする為のポイント」です。
車いすに移乗して怪我をする状況としてよく見られるのは、ひじ掛けに腕がぶつかってしまう・フットレストに足がかかるといった内容が多いのです。

これを事前に予防する為、フットレストをあげて対応する事はもちろんですが、車いすによっては接続部分を外せるタイプの物があるので、そちらを外して対応する事が大切な事になります。

例えばひじ掛けですが、こちらも外せる事が出来るタイプが多いです。
これさえ外して対応すれば、手や腕が引っ掛かり事故に繋がる事は防げるでしょう。

また、フットレストも上げておくだけでなく、簡単に外してしまう事が出来ますので、この2点の接続部分を外して対応する事が、「事故予防」となります。
ただし、利用者が車いすに移乗が完了した後は、必ず外したひじ掛けやフットレストを取り付ける事を忘れないで下さい。

フットレストを外したままですと、介護士が介助して移動している時に、足が床についてしまいそのまま巻き込まれてしまう事があります。
ひじ掛けが無ければ、体が傾いた時に支える物が体の横にないので、そのまま床に転落してしまう危険性があります。

ベッドの高さにも注意

次は「ベッドの高さ」になります。
ベッドが高く、足がつかないような状態での介助は絶対にやめましょう。

利用者がベッドから起き上がり、手すりや車いすにつかまりながら立ち上がるような動作をしようとした際、足が床についていなければ足に力が入りません。
このような状態で足を床につければ、勢いがついてしまい、膝が床に着地した足を支えきれずにそのまま倒れこんでしまう事もあります。

反対にベッドの位置が低すぎて、立ち上がりずらい状況になってしまう場合もありますので、本人の体に適しているベッドの高さに調整し、立ち上がりやすい環境を整えてあげましょう。

また、全面的に介助が必要で、ベッドから車いすに移乗する時には、車イスより少しベッドを高くして対応しましょう。そうする事でベッドからスムーズに移乗が出来ます。
車椅子からベッドの時はその反対で、ベッドの高さを車イスより少し低いくらいで対応して下さい。

普通の椅子の移乗の場合は?

車椅子への移乗と大差はありませんが、ポイントとしては必ず「ひじ掛けのある車いす」を利用しましょう。
また、あまり軽い椅子ですと、掴まった時に支えにならず、椅子と一緒に倒れるような事が無いような物を使います。

さらには、滑り止めのついたクッションを椅子の上に敷くと、滑ってずり落ちてしまう危険も防げますので使用しましょう。

まとめ

移乗の介助で最も大事な事は、「利用者を傷つけず、負担があまりかからないようにする」事です。

我々と違い、立ち上がる・体を移動する・向きを変えるといった簡単に思える動作でも、高齢者には負担が掛かってしまうのです。
しっかりと利用者の体調を確認する事も大切な事で、状況によっては無理に介助をしない事も重要です。

利用者が快適に過ごせる対応方法をしっかり考えて、介助を行うようにして下さい。

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