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介護士コラム~体験談~

冷や冷やした苦い失敗、でも防ぐことはできた誤薬事故失敗体験談

介護士の仕事の中で、ご利用者様の内服薬の服薬介助は大切な仕事の1つです。
薬ゆえに、飲ませまちがいなどあっては絶対いけないことは介護士の誰もが思っていますが、現実には内服薬の飲ませまちがい(誤薬)事故はしばしば発生する介護事故の1つでもあります。

そんな誤薬にまつわる私の(私の所属していた介護士チームの)失敗体験談を今回はご紹介します。
結論から言いますと、今回の誤薬失敗は「同じ薬を同じ時刻に2回分内服させてしまった(処方量の2倍の薬を飲ませてしまった)」という失敗体験です。

なぜそのようなことが起こってしまったのか、避けることができた誤薬事故であったのかどうか、下記で詳しくご紹介していきます。

当施設では、与薬は介護士の仕事になっている

私の誤薬事故失敗体験談をご紹介する前に、介護士として私が勤務していた入所施設の内服薬のセッティングの方法について触れておきます。

当施設では、朝、昼、夕(3食については食前薬も含む)、寝る前の4回のタイミングで内服介助があります。

内服薬は、専用の薬ボックスに、ご利用者様個人ごとにセッティングします。
内服薬のセットは看護師の仕事になっていますが、看護師は勤務が日勤帯だけなので、寝る前や朝の内服のタイミングには不在(勤務外)になります。

したがって、当施設では薬ボックスにセットするまでは看護師の仕事、セットされた薬の名前確認、配薬、与薬はどの時間帯においても介護士の仕事としていました。

3重チェックシステムにしていたが、それでも誤薬は発生した

誤薬事故は恐い(内服させるご利用者様をまちがえてしまった場合、薬の内容によっては生命の危険をともなう場合があるため)ということは、介護士の誰もが研修や内部勉強会をとおして認識していました。

そのため、内服薬をセットする看護師が、薬をご利用者様個々の専用ボックスに入れるのを最初のチェックとし、薬を配る介護士(配薬)と内服させる介護士(与薬)は別々の介護士が担当するなど、誤薬を防ぐために何重もチェックするシステムにしていました。

それだけ厳重なチェック体制にしていたのにもかかわらず、誤薬は発生してしまったのです。

今回の誤薬事故の概要

今回の誤薬事故の内容は、おおまかには次のような内容です。

食事介助を担当する介護士の私が、ご利用者様の食直前薬を食事介助前に内服介助(与薬)をさせようとしたところ、ご利用者様のお膳の上に食直前薬がのっていなかったことに気づいた。

同じ時間には3人の介護士が勤務しており、お膳に配薬した介護士Aに「お膳にのせたかどうか」を確認したが、介護士Aは薬ボックスに入っていた薬は確実にのせたことまでは覚えていたものの、そこに食直前薬があったかどうかまでは記憶が定かでなかった。

たまたま近くにいた看護師に、私はそのご利用者様の食直前薬がセットされていなかった可能性を伝えた。看護師は気を利かせて、食直前薬を看護師室からもってきて飲ませて(与薬)くれた。

ところが食直前薬は、別の部屋で別のご利用者様の食事介助を担当する介護士Bが、これもまた気を利かせて、私が食事介助を担当するご利用者様の食直前薬の内服までを介助してくれていた。

その事を、私かもう1人の介護士Aに言い残していってくれればよかったのだが、介護士Bは私もしくは介護士Aに伝えずに、その場を離れてしまった。

そのため、介護士Bが食直前薬を内服させてくれたということの発想さえしなかった私は、食事介助を担当するご利用者様の食直前薬が事前にセットされてなく、配薬もされていなかったのではないかと勘違いしてしまった。

介護士3人の声かけ不足

今回の誤薬事故の大きな要因は、介護士Bが、食事介助担当介護士の私(もしくは近くにいた介護士A)にひと言「食直前薬を飲ませました」と伝えてくれれば防ぐことができた誤薬事故でした。

介護士同士の声かけ不足、施設における介護はチームで介護するということを改めて思わされた誤薬事故、まさしくヒューマンエラーによる誤薬事故となってしまったのです。

誤薬後の体調観察は、結果的には特変なかった

私は「誤薬(通常の2倍量の薬を飲ませてしまった)させてしまい申し訳ない」と落ち込みましたが、落ち込んでいる時間はありません。
とりあえずは、そのご利用者様の食事介助を行い、看護師からの指示で、そのご利用者様の様子観察を数時間要注意で行いました。

幸いにも特変なく、その後のバイタルチェックでも異常認められず、ご利用者様の意識もしっかりしていたので良かったのですが、誤薬させてしまった申し訳なさと、結果的に処方量2倍の食直前薬を与薬させてしまったので、もしそのご利用者様に著しい異常を認めるような結果になったらどうしようと冷や冷やしていました。

誤薬事故は絶対に起こしてはいけないと、改めて思った苦い体験となりました。

まとめ

誤薬事故を防ぐということは非常に大切です。しかし、今回の私及び私を含めた介護士3人は誤薬事故を起こしてしまいました。
幸いにして、そのご利用者様に異常が認められなかったからよかったものの、もしも異常が発生したらどうしようと冷や冷や、苦い体験談となりました。

今回ご紹介した私の失敗体験談が、介護士の皆様が内服薬のチェックで失敗しないための参考にならば幸いです。

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