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介護士コラム~体験談~

救急対応体験談!消化器系からの出血の早期発見とその後の対応について

介護認定を受けているご利用者様のほぼすべてが、何らかの診断がつく病気を抱えています(診断名はついているものの、現在病状は落ち着いているものも含みます)。
つまり、高齢者で要介護状態というだけで急変等のリスクはつきものなのです。

今回ご紹介する内容は、ご利用者様の「消化器系からの出血性ショック状態」という急変を早期発見した夜勤介護士と、急変の後を引き継いだ私が実際に体験した、救急車対応の内容等について触れてみたいと思います。

前日夕方まで前触れなし

K様(女性、94歳、要介護5、認知症有りだが介護士の声かけに普段は何らかの反応がある)は、94歳というご高齢ではありましたが、前日の夕食もきちんと全量召し上がられ、体調不良の兆しはほとんどありませんでした。

当然、この後やってくる急変など、介護士チームの誰もが想像していませんでした。

下血だとはやく気がついたのは良かった

しかし、急変は突然やってきました。

その日の夜勤介護士が、深夜2時頃に定時のおむつ交換(排泄介助)をした際に「おむつ内の紙パッドに暗褐色の排泄物を発見した」のです。
これが第一発見であり、早期発見となりました。

夜勤帯、介護士も少ない中ではありましたが、直面した夜勤介護士は、施設内にいた他の夜勤介護士を呼び、排泄物を一緒に確認→「暗褐色の排泄物だから血液の可能性あり」と判断しました。
この判断が早かったのは、後の結果はともかくとして、救急対応につなげるきっかけとなったので良かったです。

その日、私は偶然にも緊急電話当番でしたが「前日夕方の情報において、ご利用者様の中に気をつけるべき体調不良者もいなかったので、今夜は大丈夫だろう」と思っていました。
携帯電話は枕元に置きながらも、緊急電話はかかってこないだろうと思いながら普通に寝ていました。

夜勤介護士からの一報で「K様」と聞いたとき、私は「前日夕方の情報では体調不良ではなかったので、どうして排泄物が暗褐色(血液混じり)なんだろう」と思いましたが、緊急電話当番であった以上、とにかく施設に向かいました。

施設に向かう前に、夜勤介護士には「看護師にもいちおう電話しておいて」と指示を出しました。

嘱託医が病院手配済みで、スムーズな救急車対応となった

施設に到着したのが、第一発見から約30分後の午前2時半頃。
施設に着くと同時に電話が鳴り、なんと嘱託医の先生からの電話でした。

嘱託医「〇〇病院に話をつけておいたから、救急車で急いで行くように」と指示をいただきました。
看護師が気を利かせて、嘱託医の先生に電話をしてくださり、嘱託医の先生は深夜にもかかわらず、救急車の受け入れ先が困らないよう(たらい回しにされないよう)配慮してくださったのです。

119番通報し、救急隊が到着したのは最初の発見から1時間もかからず、午前2時45分頃でした。
その頃、K様は血圧が徐々に下がっていきながらも、意識はまだある状態でした。

救急隊より「見たときに、病院まで生命があるか心配だった」

嘱託医の先生が、事前に救急受け入れ先病院に話をつけてくれていたおかげで、救急隊はスムーズに搬送先を決める事ができ(私どもの地域では深夜帯の救急は、受け入れ先病院が決まるまでに30分くらいかかる(たらい回し状態)場合がある)、救急隊が到着後20分くらいで、救急車は嘱託医の先生が話をつけてくれていた病院に到着することができました。

その後、救急隊が病院を離れる際に「施設に着いてご利用様を見たときに『これは、病院まで生命が持たないかもしれないと思った』けど『第一発見がはやかったのが良かった』んでしょうね。病院までは心肺停止にならずにお連れすることができました」と、話してくれたのです。

この話を聞いたとき、良い意味で「夜勤介護士の気づきが早くてよかった」と思いました。

後から知った既往歴の「大腸ポリープ切除」

このK様、結果的には午前6時前に、病院の処置室で呼吸が停止してしまったのですが、夜勤介護士の第一発見を、単なる様子見にせず、救急対応に結びつけることができたのはせめてもの救いだったと実感しました。

ご家族様からも「下血に早く気づいてもらって、救急車で病院に運んでいただいた事に感謝します。ありがとうございました」という言葉を頂くことができ、直面した夜勤介護士に、上記の救急隊の方の言葉と併せて伝えました。

話は前後しますが、このK様の基本情報を、私は救急車の中で改めて見たのですが、そこに既往歴として「大腸ポリープ切除術」という文言が記載されていたのです。

救急搬送先病院で対応してくださったお医者様からは「出血性ショック状態による心停止」という説明のみでしたが、ひょっとしたら大腸ポリープに起因する消化器系の不調があったのかも・・・と後から思ったのでした。

まとめ

今回の体験談は、具体的に何かを結論付けた内容ではありませんが、夜勤介護士の最初の気づきが早かった(暗褐色の排泄物が異常だとすぐに理解できた)、そして医療職への応援と、はやい対応で医療機関に結びつけることができたということを、ご理解いただければ幸いです。

介護士の最初の気づきを、そのまま放置しなかったということに価値のある対応だったのです。
今回ご紹介した体験談が、実際に介護現場で働いている介護士にとっての参考になれば幸いです。

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