介護士のお仕事

刻み食？ミキサー食？介護食の形態はどのようなものがあるのか

介護食には一体どのようなものがあって、どのような目的で利用者の食事内容が決まるかというのは、施設を利用している家族の方やこれから施設を利用しようとしているかたにとっては、すごく気になるところではないでしょうか。

また一口に、刻み食やミキサー食と言われたところでまずピンとこないですし、どういったものなのか自体が想像がつく方の方が少ないのではないでしょうか。
かく言う私も、介護職員として務める前までは「食事内容なんてあるんだ」くらいにしか思わなかったですし、そもそもみんな普通の食事だと思っていました。

そこで今回は、介護の中で食事内容について紹介していきます。

皆さんは食事内容と聞かれますと、例えば「昨日はごはんと味噌汁とおかずが・・・」と言ったように、何を食べたかについて答える方がほとんどを占めていると考えられます。
しかし、介護の方でいう食事内容は、これとは全く違ったものとなります。

具体的には、「常食」「刻み食」「ミキサー食（ペースト食とも言う）」の三種類があり、刻み食ではさらに荒刻みと超刻みといったように分かれています。
この言葉自体がまず聞きなれないうえに、中には初めて聞いた方もいるのではないでしょうか。

常食とは、我々が一般的に口にしている食事のことであり、これ自体に刻みこまれていたりミキサーで液状にして固められていたりといったことがない普通の食事のことを指します。

刻み食とは、名前の通り食事を細かく刻んである食事のことを指しています。
こちらは、主食であるご飯の方はおかゆ状になっていることがほとんどです。

また先ほど軽く触れましたが、荒刻みとは、刻み食の中でも粗目に刻んである食事のため見た目はさほど細かくなっているようには見えないかと思います。
超刻みとは、かなり細かく刻んである食事のことを指しており、こちらは野菜類やおかずの見た目がみじん切りにした食材のようにも見えるかと思います。

ミキサー食とは、普通の食事をミキサーにかけペースト状になっている食事のことを指しており、その見た目からペースト食とも言われております。

食事内容に関しては上記の通りになっておりますが、では何を基準にして食事内容がこれだけあって、このような食事内容になるのかが気になるところではないでしょうか。
こちらでは、その疑問にお答えする形で紹介していきます。

上記の食事内容は、食事を摂取する利用者の身体能力で決まります。

例えば、普通の食事を自力で摂取可能な方がいたとします。その方が全て常食になるのかと言いますと実はそんなことはありません。
これは、利用者の嚥下状態がどの程度なのかにもよって変わってくるのです。

常食でむせる方にずっと常食のまま食事をさせておくと一体どうなるのでしょうか。それは、誤嚥と言って食べ物が食道を通るのではなく気管を通ることを指します。
すると、食べ物がそのまま肺に入って腐ってしまい炎症が起こる誤嚥性肺炎を引き起こしてしまい、最悪の場合亡くなってしまうことがあります。

そのため、利用者の嚥下状態や身体にあった食事が必要となってくるのです。
普段からむせりが多い方は、多くはペースト食になっています。また、それほどむせりもなく座位がきちんと保てる方には、刻み食や常食の方が多いです。

ただし刻み食でもむせりやすい食品があるため、その点はかなり個人差が出てきます。
例えば、うどんなどの麵類がむせやすい方や、高野豆腐と言ったような食感が少しザラっとするようなものでむせる方もいますので、その点は必要に応じて食事そのものを変える必要があります。

また、食事だけではなく、水分も人によってどの程度トロミがあるのかで変わってくることもあります。
食べ物だけではなく、水分の方もきちんと気を付けておかないと、誤嚥性肺炎を引き起こす危険が待っています。

トロミといったことも聞きなれないと思いますのでお答えしますと、こちらはトロミ剤と呼ばれる水分にトロミを付ける粉があります。入れる量が多ければ多いほど、水分がどんどん固まっていきます。
これも、むせりが多いかどうかによって量が大幅に変わってきます。

食事内容について紹介していきましたが、いかがでしたでしょうか。

食事と言っても食べ物だけに気を配るのではなく、水分にも気を配る必要があります。
また、食品よりも水分の方がむせりやすいため、こちらの方が注意するべきところとも言ったところではないでしょうか。

また、誤嚥は誤嚥性肺炎だけが危険ではなく、食べ物や水分が喉に詰まって窒息する場合もあります。
だからこそ、食事を摂取する利用者の方一人一人に合った食事内容というものが存在する訳なのです。

それだけではなく、誤嚥によって訴訟やクレームになるケースは介護の世界では多いですので、慎重に食事内容は選びましょう。