HOME > すべての記事 > 介護士のお仕事 > 夏場の施設内室温管理は大丈夫?室温が低くなり過ぎた場合の弊害について

介護士のお仕事

夏場の施設内室温管理は大丈夫?室温が低くなり過ぎた場合の弊害について

暑い夏場はエアコンで温度調整している介護施設がほとんどです。ご利用者様の熱中症対策はもちろんですが、ご利用者様にとっての「過ごしやすい環境作り」は介護現場の基本とも言えます。

しかし、一部の介護施設では、仕事上動いている介護士に合わせた温度調整をしている施設を見かけることがあります。はたしてそれでよいのでしょうか?
今回の記事では、夏場の介護士に合わせた室内温度調整の弊害について触れてみたいと思います。

介護施設は誰のためにあるのか

今時の介護施設において、エアコンなどの空調システムが無い施設はほとんど存在しないと思います。
新しい介護施設などはオールシーズン、空調集中管理で施設内の温度や湿度を一定に保つ空調システムを導入しているところもあります。

現在の季節が夏なので、これ以後の記載は夏場の室温調整にしぼって触れていきますが、夏場の温度調整において空調システムの温度設定を低くし過ぎてしまうと、ご利用者様にとって様々は弊害が生じます。仕事上動く事が多い介護士にとっては快適な室温も、ご利用者様にとっては「冷え過ぎ」となってしまう可能性があります。

そもそも、介護施設は誰のために存在するのでしょうか?答えは当然「ご利用者様のため」に存在します。

もちろん介護士はじめ、介護施設で働く職員がいなければ介護施設の運営そのものが成り立ちませんが、まず考えるべき事はご利用者様の事であり、夏場の室温調整においても、まずはご利用者様の立場が第一優先です。

ただ単に寒いだけではなく、重篤な病気を発症する危険性がある

あたり前ですが、介護士が仕事上身体を使って動くことが多いのに対して、ご利用者様は自立度が高い方でも、一般成人に比べれば活動量は少なめです。したがってご利用者様ご本人が感じる温度も低くなる傾向にあります。

ご利用者様にとって室温が低いと、ただ単に寒いだけではなく、重篤な病気を発症する危険性があるので注意が必要です。

例えば、寒いことで風邪をひく、その風邪が悪化して肺炎になるということは容易に想像できます。
寒いので水分摂取量が低下して、室温は低いのに脱水症状に至る可能性もあります。

それ以外にも、例えば血流が悪くなり、全身の臓器に必要な酸素や栄養素が供給できないと、内臓系の疾患を発症する可能性が否定できません。

また血流が悪くなることで、血栓が脳に詰まってしまえば脳梗塞を引き起こす可能性もあります。腸の活動が低下し、便秘から腸閉塞に至る可能性もあります。

このように空調システムによって室温が低くなりすぎると、ただ単に室温が低く寒いというだけでなく、重篤化する病気を発症する可能性があることを介護士は頭の片すみにおいておく必要があります。

ご利用者様の中でも感じ方にバラつきがある

これもあたり前ではありますが、自立度の高いご利用者様と、寝たきりに近いご利用者様とでは、やはり感じる温度は変わってきます。

寝たきりに近いご利用者様は、自立度が高く活動的なご利用者様よりも冷える傾向にあります。タオルケットを活用するなどして、寝たきりに近いご利用者様が冷え過ぎないように配慮して差し上げることも介護士の大切な仕事です。

自己表現できないご利用者様への配慮

さらに大切なのは「暑い」「寒い」をご自身で表現できないご利用者様に対する、体感温度への配慮です。

寝たきりでご自分の意思が表現できないご利用者様に対しては、介護士がご利用者様の顔色や身体の熱感に気を配りながら、先程記載したようにタオルケットなどでご利用者様が感じる温度を調整して差し上げる必要があります。

また認知症によって「暑い」「寒い」が上手く表現できないご利用者様もいらっしゃいます。そのような認知症のご利用者様の体感温度調整は、ご利用者様の様子を見て、ご自分で身体をこすっているようならカーディガンなどの羽織るもので調整して差し上げたり、椅子などに座っている場合はひざ掛けなどで調整して差し上げるなどの配慮が必要です。

利用者主体の温度は、介護保険の基本に通ず

介護士はじめ、介護保険事業に携わる者の基本ではありますが「利用者本位」という介護保険法にも登場する言葉が、夏場の施設内の室温管理にもそのまま当てはまります。

ご利用者様あっての介護士であり、仕事上動くことの多い介護士にとっては「やや汗ばむくらいの室温が、ご利用者様にとってちょうど良い」くらいの感覚を持つようにしましょう。

エアコンの温度計に頼りすぎない

エアコンで室温管理しているといっても、居室の場所、陽当たりによって、温度環境は変わってきます。エアコンに設置されている温度計に頼りすぎず、施設内の適度な場所に温度計や湿度計を設置して、ポイントごとで温度をチェックすることも大切です。

温度にバラつきがあるようであれば、扇風機などを併用して施設内の空気全体を拡散するような配慮も必要です。

まとめ

介護施設内の夏場の室温管理は、当然ながらご利用者様のためではありますが、室温が低くなりすぎると重篤な病気を発症するなどの弊害が生じる可能性があります。

またご利用者様の状態によって適切な室温は変わります。生活全般を支える介護士として、室温管理の調整はご利用者様目線で行うよう心がけてください。

掲載中の転職サイト一覧

介護士のお仕事関連記事