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介護士のお仕事

介護で行われる身体拘束と身体拘束を行わないポイント

特別養護老人ホーム・老人保健施設・グループホーム・有料老人ホーム等、今では多数の入居型施設が存在します。

入居される方の中には、在宅での介護サービスだけでは難しい方・骨折などが原因で入院し、自宅に帰る事が出来なくなった方・認知症により一人にしておく事が難しくなった方で、入居施設に相談する事も多くあるようです。

ただ、入居施設といっても24時間ずっとその人だけを見ている事は出来ません。
介護士数名で、何十人といる入居者の介助を行わなければならないのです。

そんな状況の中では全入居者を100%事故なく毎日過ごしてもらう事は非常に難しく、時にはやむを得ない事情で「身体拘束」を行うこともあります。
今回は、身体拘束を行う時や行わない時のポイント等についてをご紹介していきます。

身体拘束とは

そもそも身体拘束というのは、緊急やむを得ない時のみに行う行為です。
もちろん、介護士がその判断を一人で行い、自分勝手に行う事は出来ません。

施設長をはじめとした役職者も一緒に検討し、施設全体で検討した上で、身体拘束を行う以外に方法はないと判断して初めて行う事が出来ます。

また、施設が判断したとしても、家族の同意を得なければなりません。
家族に現在の入居者の状況や、今までの対応策などをお話しし、その上で身体拘束をするしかない事をお伝えします。

そして、身体拘束の同意書にもサインを頂き、行う事が出来るのです。
さらに身体拘束を行った場合には、その時間・場所・状況などをしっかり記録していく事が必要になり、定期的に身体拘束を継続するか廃止にするかの話し合いの場を持たなければなりません。

ここまで行わなければ身体拘束は出来ないのは、それだけ問題になりかねない行為だからなのです。

やむを得ず、身体拘束を行う時のポイント

それでも「身体拘束が必要かもしれない」という場面に出くわす事は、特に入居施設での介護を行っていれば、いずれ出くわす事になるでしょう。
そんな時にはこの3つのポイントを思い出してください。

【切迫性があるかどうか】
(入居者本人または他の入居者の生命または身体が危険にさらされる可能性が非常に高い場合です。)

入居者が認知症で、他者を傷つけようとする行為がどうしても止められない・認知症により骨折しているのに歩行しベッドから降りようとしてしまう・点滴治療中にハリを無理やり抜こうとしてしまう等の行為があげられます。

【非代替性】
(身体拘束以外に代替する介護方法がない場合)

先ほど説明した、他者や自身を傷つけ、命の危険にさらされる可能性が高いと思われる状況の中で、色々と方法を検討し実行してみたが、どうしてもその行為を止められない時にのみ行う事が出来るという意味になります。

【一時性】
(身体拘束は一時的な物である事)

原則的に身体拘束は一時的な物でなければなりません。慢性的に、状態が変わっているのにそのまま行っていたりする事は絶対に合ってはならない事になっています。

以上の3項目が、身体拘束を行う上での絶対的なポイントになります。
この内容はしっかり覚えてください。

身体拘束を行わないポイント

身体拘束を行わないポイントとしては、「身体拘束を行うポイント」に当てはまらなければ行わない事です。
基本的に、介護施設では身体拘束は行わないのが好ましいのです。

身体拘束を行わない為には、「非代替性」の項目が当てはまらなければ、身体拘束を行わずに済みます。ここは管理者や介護士の「能力」に関わってくる事です。

もしも施設の職員が「他に方法はないから身体拘束を行います」と、決定しようとした中に、1人でも「いや、こうすれば身体拘束を行う必要はない」と言える職員がいたとします。
そこでその対応を試し、「その対応でうまくいきました」なんて事があれば、その入居者は身体拘束をされずに済むわけです。

そういった介護士を育成して行く為には、「認知症について」「虐待防止」「身体拘束」等の研修会を定期的に行う事や、外部の研修会に職員を参加させて、その体験を研修会として他の職員に伝える事が重要となります。
こういった経験が知識となり、安易に身体拘束をしない施設と成長していきます。

ですので身体拘束を全く行わない施設は、とても優秀な介護士が従事している証になるでしょう。
大事なのは知識と経験です。特に管理者や施設長といった役職の方は、積極的に内部だけでなく、外部研修を取り入れる事が大切だと思います。

まとめ

今回は身体拘束についての話をさせてもらいました。
今この時にも、介護施設で身体拘束をされている方いるでしょう。もしかしたらその中には代替えできる方法があるのにも関わらず、身体拘束をされている入居者もいるかもしれません。

介護士はしっかり知識を身につけて、1人でも身体拘束を解除できる状況を増やしていってもらいたいです。
そして、それを可能にしてあげられるのは、あなたが身につけた知識かも知れません。

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