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介護士のお仕事

車いすのブレーキをこまめにかけて、わずかな時間でも事故防止!

ある訪問理容の訪問車両の昇降リフトから、車いすのご利用者様が転落し後頭部を打撲して生命を落とした、というニュースがありました。介護士が直接関係はしてないものの、複数の要因がからんで発生した事故のようでした。事故発生の要因の1つは「車いすのブレーキがかかっていなかった」ということのようです。

「車いすを止める、動かさないときはブレーキをかける」ということは、車いす操作の基本中の基本ではあります。しかし「わずか数秒の間」「介護士が一緒についているから」という理由で、車いすのブレーキをかけない場面も多くあるのではないでしょうか?
しかし、車いすのブレーキをかけなかったがために今回のような事故が発生してからでは手遅れであり、ましてやご利用者様の生命に関わる事故は何としても避けたいものです。
今回は「車いすのブレーキをこまめにかける習慣」について触れてみたいと思います。

「ちょっとした時間が面倒」でも、事故が発生してからでは遅い

どんな形状の車いすにも必ず付いているのが、車輪を止めるブレーキです。
車いす操作において、車いすを止める、車いすを動かさないときはわずかな時間でもブレーキをかけることが、車いす操作の基本中の基本です。

雑談にはなりますが、車いすの車輪の前部についている手動で動かすレバータイプのものを「ブレーキ」と呼ぶことが多く、車いすを押すときに、介助者が握るグリップについている自転車のブレーキのようなものは「ハンドグリップ」と呼ぶ場合が多いようです。

また似たような言葉で「ストッパー」というものも存在しますが、ブレーキのことをストッパーと呼んだり、車いすによってはご利用者様立ち上がり時に自動ブレーキのようにかかるものをストッパーと呼んだりしています。ストッパーという言葉の明確な定義はないようです。

さて話は、車いすのブレーキに戻ります。
介護の勉強を始めた頃や介護士になりたての頃は、基本に忠実に車いすのブレーキをこまめにかけていたはずです。また、そのように勉強したり先輩介護福祉士から指導を受けてきた介護士が多いはずです。

しかし、介護士として月日が経過すると、日常の介護の仕事の中で「車いすを動かさないけど、ブレーキをかけない場面」が発生してしまっているというのが現状として多いのではないでしょうか?

その理由として「私(介護士)が、そのご利用者様の近くにいるから大丈夫だろう」とか「わずか数秒、その場を離れるだけだから、車いすのブレーキをかけなくても事故は発生しないだろう」という思いこみがあるのではないでしょうか?

介護事故は、わずかな時間で発生します。「わずかな時間で、いちいち車いすのブレーキをかけるのは面倒」であっても、そのわずかな時間で例えば冒頭で記載したような、車いすのご利用者様が転落や、車いすのバランスを崩して車いすごと転倒してしまったら、介護士として悔いが残るのではないでしょうか。

「わずかな時間」「まさか事故は起きないだろう」と思っていても、事故が発生してからでは取り返しがつきません。わずかな時間でも事故発生の可能性が考えられる場合は、面倒でも車いすのストッパーをかける習慣をつけることが、事故防止につながります。また万が一事故が発生しても「車いすのブレーキはかけていた」という事実があれば、介護士の責任を問われることはほぼ無いと言えます。

反対に言えば、車いすのブレーキをかけていなくて、車いすごと転倒や転落の事故があった場合、かかわった介護士の介護責任(業務責任)が問われる可能性があるのです。

ご利用者様の不意の動きに備える

車いすを利用しているご利用者様が、介護士の予測しない動きをとる可能性があります。そのような場面で、車いすのブレーキがかかっていないと、車いすが動き出してしまい、ご利用者様が車いすからずり落ちるなどの事故の発生率が高くなります。

ご利用者様の不意の動きに対応するためにも、こまめにブレーキをかけることは大切です。

きちんとブレーキをかけての移乗介助は介護士の腰痛防止にもつながる

移乗介助において、車いすのブレーキがかかっていない状態で移乗介助を行うと、危険をともなうだけではなく、介護士が腰痛になる危険性も高くなります。車いすが動くことで、ご利用者様と介護士の重心の位置が変化するため、介護士はつい身体に無理な姿勢をとってしまい、結果的に腰を痛めてしまう危険性が高くなるのです。

介護士自身の身体を腰痛から守るためにも、車いすのブレーキをこまめにかけるようにしましょう。

まとめ

車いすのブレーキ、こまめにかけることは介護に慣れてくると面倒になりますが、車いす操作の基本中の基本です。車いすのブレーキをこまめにかけることで、大事故を防ぐことができ、ご利用者様を守り、介護士自身の身体を守ることもできます。

今回触れた内容が、車いす操作の基本の再確認となり、介護事故の防止につながれば幸いです。

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