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介護士のお仕事

あなたに介護をしてほしい!「ロボットには真の介護はできない」

日本の世の中は、超高齢化社会に着実に進んでいます。
2025年には団塊の世代全員が75歳以上の後期高齢者になり(いわゆる2025年問題)、介護業界にとってひとつのヤマとも言える年をむかえます。
超高齢化社会に向かう反面、介護業界は慢性的な人材不足が解消されずにいます。
介護業界の慢性的な人材不足に対して、政府(厚生労働省)はいくつかの手を打ってはきました。

その1つが「ロボットの導入」というものです。ニュース等で目にした方もいるのではないでしょうか?
しかし、介護業界の人材不足に対する根本的解決に至ってはいません。それはなぜでしょうか?
今回の記事では「あなたに介護をしてほしい。その理由は、ロボットには真の介護はできないから」という内容で、介護そのものを見つめ直してみたいと思います。

ロボット導入を、有効活用することはできる

先に述べたことにいきなり反するようですが、介護業界へのロボット導入を全否定するつもりはありません。
「介護ロボット」といっても、現在では様々な形態のロボットが登場しています。
大きくはご利用者様の主にコミュニケーションツールとしてのロボットと、介護士の介護負担軽減用ロボットと2分されているといってよいと思います。

現在の介護業界は、行政主導でロボット活用に対する研修も開催されています。
ウラを返せば、介護業界の慢性的な人材不足において、行政もロボットを活用してでも何とかしたいという姿勢の表れとも言えます。

ロボットだけで介護のすべてを担うことは現実的にできないと思います。
しかし場面や用途を選んで活用すればご利用者様にとっても介護士にとっても助かるツールにはなると思われます。

ご利用者様を助けるロボット、介護士を助けるロボット

ロボット導入事例として、時々ニュースでも目にするのが「ご利用者様のコミュニケーションツール」としてのロボットです。
イヌ型やネコ型の動物系ロボット(おもちゃの延長?)や、人間に近い話や動きのできるロボット(具体的商品名は省略します)です。

「ロボットがご利用者様とコミュニケーションを取る」ということは、数十年前までは考えられなかったことでした。
またベテラン介護士からみると「介護士がご利用者様とコミュニケーションを取ることが減る」ことは寂しく思うかもしれません。

しかし「限られた人員の中で複数のご利用者様を介護する」という状況は、どの介護施設においても変わりません。
ましてや、3年に1回の介護保険法改正にともなう介護報酬(施設への収入)は削減される傾向にあります。
どの介護施設においても、人件費にかける余裕な費用はますます少なくなっていくという状況の中
「介護士でなくても対応できることは、ロボットにまかせる」という割り切りも必要になったとも言えます。

また介護士の「介護負担を軽減するロボット」も登場してきました。
具体的にはパワーアームのような、移乗介助時における介護士の腰への負担を軽減するようなロボットです。
やはり限られた介護士で複数のご利用者様を介護するという点では、このようなロボットも割り切って使用する必要があるのではないでしょうか。

それでも“人”にしかできないことがある

しかし、ロボットには限界があります。

話は飛びますが、ロボットだけで介護のすべてをまかなえるなら、介護士という仕事はこの世の中から無くなるはずです。
では介護士の仕事が無くならないのはなぜか?介護士という“人”にしかできないことが、介護にはあるからです。

ご利用者様を五感で感じることは“人”でなければできない

要介護状態のご利用者様は、短期間で状態が変化する方もいます。
体温、脈、血圧、呼吸など(いわゆるバイタルサイン)の微妙な変化、排泄物の変化、
重度でご自身では体調不良を訴えることができないご利用者様の様子を感じることなどは、現段階においてのロボットには限界があると言ってもいいでしょう。

重度で寝たきりのご利用者様に対しては、暑い・寒いなどの外気に対する配慮も必要です。
単純に「何度以上になったら服を脱がせる」「何度以下になったら服を着せる」という話ではありません。
この微妙な加減は、ロボットにはできず“人”にしかできない仕事と言えるのではないでしょうか。

だからこそ“人”としての介護士が必要です。
いくら便利な機械やロボットが介護業界に整備されたとしても、肝心な部分は“人”でないと対応できない、
場合によってはご利用者様の生命に関わる事態へ発展しかねないとも言えます。

“人”としての介護士は、人間が人間である以上、永久に必要であると感じています。

まとめ

いかがでしたか?世の中が進化しても、介護の世界には最終的には“人”としての介護士が必要です。
今回の記事を読まれた方で、1人でも多くの方が私たち介護業界の仲間入りをしてくだされば、業界としても大歓迎、とても幸いに思います。

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