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介護士のお仕事

整容とQOLの関係性について

介護士の仕事内容は「食事」「入浴」「排泄」の三つが主になります。
しかし、高齢者のQOLを維持するためには、それ以外にも大切な事があります。
施設では利用者の整容も介護士の仕事の一つです。
整容をきちんと行う事で、利用者のQOLを上げる事にもなります。そこにはどんな理由があるのでしょうか?

整容の目的

施設では、毎朝、介護士が利用者の整容をしています。
顔を洗ったり、拭いたり、髪を整えたり、髭を剃ったり、身なりをキレイに整えるのです。
自分でできる方には、自分でやって頂くのですが、中には「めんどくさい」と顔を洗うのも、髪をとかすのも嫌がる方がいます。

その場合でも、強い拒否がない場合は、声かけをしてやって頂くようにしています。
整容の目的は「身なりをキレイにする」という見た目の印象を良くするためだけではなく、整容をする事で、利用者の方の気持ちににもメリハリがつくというメリットがあります。

私たちの場合でも、朝起きて、顔も洗わない、髪もボサボサのままでは何もやる気が起きない、何もしたくない、という事があると思います。整容をする事で、気分的にシャキっとするので、行動的になる事ができるのです。
また、自分で整容をするように声かけをするのは認知症の進行具合を確認するとい意味もあります。
認知症が進行してくると、身なりに気を使わなくなってきます。

今までは、毎日自分で髭を剃っていた人が無精ひげになっていても気にしなくなった、毎朝自分で化粧をしていた人が顔も洗わなくなった、などの症状が見られると認知症が進んできた可能性もあると思われます。

利用者の求めるQOLとは?

利用者の「生活の質」を上げるには具体的にどのような方法があるのでしょうか?
「幸せ」「楽しい」と感じる事に個人差があるように、QOLも利用者の方によって違ってきます。
外出が好きな方には、できるだけ散歩や買い物などの外出支援を行う事がQOLを上げる事に繋がりますが、外に出るのが嫌いな方の場合はまた違ってきます。

大勢で外出するのは苦手だから、施設内でゆっくりテレビを見る、好きなお菓子を食べる、そんな事の方が好きだという人も人もいます。
些細な事でも本人が満足感を得られる事が、QOLを上げる事に繋がるのだと思います。

そして、誰でも些細な満足感を得られる行為の一つが「整容」なのです。
例え、最初は本人が望んでいなくても、キレイになった髪や顔を見て嫌な気分になる人はいません。

整容は利用者のQOLを上げる事に繋がる

介護が必要な生活をされている高齢者の方のQOLは下がってしまう傾向にあります。
これは自宅で生活している方も、施設で生活している方にも言える事です。
自分の体が不自由になってしまうと、以前は当たり前のようにできていた事ができなくなってしまいます。

例えば、趣味の園芸や散歩、友人に気軽に会いに行く事も困難になってしまいます。
何をするにも人の手が必要になり、行動範囲が限定されてくると、「何かをしよう」という意欲が低下してしまい、無気力になってしまうのです。

その結果、何をするのも「めんどくさい」という気持ちになってしまい、整容をするのも嫌になる、そしてさらに気持ちが塞ぎこみ、何もしなくなるという悪循環になってしまいます。整容をする事でその悪循環を断ち切るきっかけを作る事ができます。
女性ならば特にそうだと思います。
私たちも美容室に行ってキレイな髪型になった時は、気分が弾んでうれしい気持ちになると思います。
女性はいくつになってもやはりキレイになるとうれしいものです。

整容の延長で身なりをキレイにする

高齢になってくると、ほとんどの人が短い髪型にしていますが、施設に入所している方の場合も、髪型はどうしても短く切ってもらう事が多いです。
髪が長いと洗髪や、乾かすのに時間がかかるため、自分でできない方の場合は短くしてもらうのです。
この事も施設で暮らす利用者の方のQOLを下げてしまっているのかもしれません。

最近では、美容師の人に施設に来てもらい、カットやカラーをしてもらい、できるだけ自分の好きな髪型で過ごせるように施設側も配慮をしているようです。
また、毎日は難しいですが、どこかに外出する時などは、化粧やネイルなどのおしゃれをしてお出かけをすると多くの利用者の方が喜んでくれます。

まとめ

昔の介護施設と比べて、今は高齢者の人権が尊重され、施設に入所しても、人間らしい生活ができるようになってきました。そしてQOLの向上のための支援も介護士の大事な仕事になってきました。
整容は義務のような感じになっていますが、忙しさを理由に流れ作業でやるのではなく、コミュニケーションをとりながら接する事で、一つの介助作業の意味が違ってくると思います。

淡々と行う整容よりも、「今日も一日、楽しく過ごしてほしい」と思いながらやった方が、お互いに幸せな気持ちになれると思います。

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