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介護士のお仕事

認知症のご利用者様が落ち着かないときは、排便状況を確認してみる

“介護士の仕事として、認知症のご利用者様との関わりは避けて通ることのできない大事な仕事です。
また認知症のご利用者様と上手に関わることができると、介護士としてレベルアップすることができます。
認知症のご利用者様は、いつも穏やかに座っている方ばかりではありません。むしろ自主的に歩かれる、動かれるご利用者様の方が多いのではないでしょうか。

認知症介護において、介護士が悩むことの1つに「なぜ、あのご利用者様は落ち着かず歩いているんだろう」という場面があります。その1つの原因に「便秘」「排便がうまくコントロールできていない」可能性があることを、今回の記事では触れていきたいと思います。

認知症は「脳内の病気である」と考える

今、介護を勉強している方にはあたり前のように教育されているのが「認知症は脳の病気である」ということです。

30~40年程前は、認知症という言葉は存在しませんでした。
表現は悪いですが「ボケ老人」「痴呆」と言った言葉が使われている時代でした。今思えば、ご利用者様の尊厳を無視したような表現でありました。

しかし時代は経過し「痴呆」という言葉から「認知症」という言葉に変わるようになりました。
これは医学の進歩にも関係します。「認知症」の多くは脳内の状態に起因することがわかってきたからです。

介護士は、医師ではないので医学の専門家ではありません。
しかし基礎知識として「認知症は脳内の病気である」という認識が必要です。
脳内の病気であるからこそ、記憶力が低下したり、普通の行動が取りにくくなっているのです。

認知症のご利用者様と関わる介護士の中には、例えば「あのご利用者様は、気が付くと自分で歩いてどこかに行ってしまうから見守りできない」と悩む方もいるかと思います。しかし、脳内の病気と認識することができれば、少し冷静な見方、関わり方ができるのではないでしょうか。

認知症は「ご自分の気持ちを適切に表現できない」可能性がある

nintisyou

前段では、認知症は脳内の病気と紹介してきました。
認知症と聞くと「もの忘れ」というイメージが先行しがちですが、認知症のご利用者様の症状としては忘れる、覚えていることができないだけではありません。

例えば、場面が認識できないという点があります。
また例えば「何かを訴えたい」けれども「認知機能が低下しているがために、ご自分の気持ちを適切に表現することができない」可能性も多々あるのです。これは介護士として認識しておく方が良い内容です。

排便コントロールがリズムになっていないと落ち着かない

認知症のご利用者様が落ち着かずに歩いてしまう原因にはいくつかあります。その1つに「排便コントロールがうまくいっていない」可能性があります。

例えば便秘、その反対に大便がしたい。しかし認知症のご利用者様は「トイレに行きたい」「便がしたい」と言葉で表現できない可能性があります。それは、まさしく脳内の病気だからと言えます。場面に応じた適切な言葉が表現できないのです。

介護士として大切な視点は、認知症のご利用者様が何となくいつもより落ち着かないと感じたときは、直近の排便日や、便の状態を確認して、トイレ誘導を試みるなどのアプローチも関わりの材料にしてみるという視点です。

もちろん便のみが、認知症のご利用者様が落ち着かない原因と断定はできません。
しかし、うまくトイレに誘導して、排便があったら、その後は穏やかにイスに座って過ごされる可能性があるということを、介護士は頭の片すみにおいて関わってみることが重要です。

自然な排便を促す生活支援の工夫

認知症のご利用者様の排便コントロールがうまくいかないときは、できるだけ自然な排便ができるように支援していくことが大切です。

例えば便秘に対して、下剤などを内服していただく方法があります。しかし、認知症のご利用者様は内服を拒まれたりすることも多々あります。
無理やりトイレに連れていこうものなら、ご立腹してしまう可能性があります。

認知症のご利用者様に限りませんが、人間の排便にとって、自然な排便がいちばん理想です。認知症のご利用者様には歩くことが可能なご利用者様が多くいます。歩くことで腸が活性化して自然な排便につながる場合があります。

また食品に、繊維質の食べ物やヨーグルトなどの乳製品を取り入れることも大切です。
認知症のご利用者様が排便で不穏にならないようにして差し上げることは、介護士にとって大切な仕事の1つなのです。

まとめ

認知症のご利用者様が落ち着かない、穏やかでないということで、関わりに悩む介護士の方もいると思います。そんなとき、視点の1つとして排便状況をチェックしてアプローチしてみると、有効な場合があります。

今回触れた内容が、認知症介護で悩んでいる介護士の方の、関わりの引き出しの1つになれば幸いです。

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