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高齢者の方・ご家族の方向けコラム

ご本人のための「成年後見人制度」はご家族様の負担軽減にもなる

介護施設にご本人様(ご利用者様)を入所させたご家族様の中には、
「(本人とは)疎遠だったが、施設側から『入所するためには連絡先が必要』と言われて、しかたがなく連絡先(主な介護者やキーパーソンと呼ばれるときもあります)を引き受けた」という、複雑な心情を持つご家族様もいらっしゃるかと思います。

そのような無理して連絡先を引き受けざるを得なかったご家族様にとって、ご家族様の心身がラクになる方法の1つ「成年後見人制度を活用する」という内容をご紹介します。

成年後見人制度とは

そもそも「成年後見人制度」とはどんな制度でしょうか?
耳にした事はあるけど、こまかな内容までは知らないという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

「成年後見人制度」とは、簡単に言ってしまえば「ご本人様(ご利用者様)の財産や権利を守る人(成年後見人)を、法的に立てること」です。
もう少しかみくだいて解説すると「認知症や障害によって、自己判断力が失われた(または失われつつある)ご本人様が、不当に財産を侵害されたり、社会的に不利益を受けないように、成年後見人に選任された人が役割と責任をもってご本人様の財産や権利を守る制度」と言えます。

ご家族様やご親族様が成年後見人になることも可能ですが、ご本人様(ご利用者様)の側からみると例えば「認知症になったご利用者様で、身寄りがないまたは親族と疎遠になってしまったご利用者様」「ご家族様以外の第三者に後ろだてをしてもらって、ご自身の財産や権利を守ってもらっている」といった事例が多いです。

ご本人様を守るのが主目的だが、結果的にご家族様も守られる

この「成年後見人制度」は、一見ご本人様(ご利用者様)のみが法的に財産や権利を守ってもらえる制度のように見えます。
確かにご本人様(ご利用者様)を守ることが、制度の本質なのでそのとおりなのですが、結果として「成年後見人制度」は、例えば今まで疎遠だったけれども事情があって無理してご本人様の連絡先を引き受けたというようなご家族様も守ってもらえる制度なのです。

反対の視点から言うと、今までご本人様と心身とも親しい関係(例えばご本人様が実父母、連絡先となるご家族様は実の息子や娘など)にあり、ご本人様が介護施設に入所後も「今までの関係性から連絡先を引き受けることに抵抗がない」ご家族様であれば、成年後見人制度を利用する必要はないと言えます。

ところがご本人様と疎遠だったにもかかわらず、ある日突然、役所などから「○○様(ご本人様)のご家族様ですか?◯◯様が入院になりまして、誰に連絡をしてよいかわからなかったので連絡させていただきました」と、連絡を受けた側としては「意味不明」「事態が理解できない」けど
「とりあえず連絡先にならざるを得ない」状況になってしまったご家族様もいらっしゃると思います。
ご家族様の感情としては「なぜ私が◯◯(ご本人様)の連絡先を引き受けなければならないのか?」と、心情的に理解できず「できれば関わりたくない」という人もいると思います。

「成年後見人制度」は、そのような様々な事情があって「できれば本人に関わりたくない」というご家族様の身代わりを、法的に第三者が引き受ける制度とも言えるのです。

相談先は、社会福祉協議会や地域包括支援センター

「成年後見人制度を利用したい」けど「どこに相談に行って、どんな手続きをしたらよいかわからない」というご家族様は、まずはお住まいの地域の社会福祉協議会にご相談に行かれることをおすすめします。
多くの社会福祉協議会には、成年後見人制度専属の部署や職員がいます。
できれば事前に電話で相談日時を約束してから行かれると、社会福祉協議会での対応がスムーズにすすみます。

「介護施設に入所する前で、自宅(在宅)で生活しているけれど、はやめに成年後見人制度を利用したい」というご家族様は、お住まいの地域の包括支援センター(地域によっては、高齢者相談センターや地域ケアプラザ等、地域独自の名称を使用しているところもあります)も相談窓口となります。
やはり事前に電話で相談日時を約束してから行かれると、地域包括支援センターでの対応がスムーズにすすみます。

大原則は「ご本人様の権利や財産を守る」制度である

「成年後見人制度」におけるご家族様のメリットをご紹介してきましたが、再度話を戻します。
大原則は「ご本人様の財産や権利を守る」制度であるという点です。結果的にはご家族様の心身負担を軽くすることにも結びつくのですが、ご本人様を軸にして、ご本人様の制度であることをご理解ください。

まとめ

いかがでしたか?
ご家族様の中には様々な事情で「本人と関わりたくない」という心情の方もいらっしゃるかと思います。
「成年後見人制度」は、あくまで主体はご本人様を守る制度ではありますが、結果的にはご家族様の心身負担を軽減することにも結びつきます。
今回ご紹介した内容が、ご家族様の心情を少しでも軽くさせるための1つの参考になれば幸いです。

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