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介護士コラム~体験談~

100才30日の旅立ち1。ご本人の夢を叶えた介護職チーム。

今回のお話は「介護福祉士をしていて良かった」と思わせるエピソードその1です。

「アタシの夢はねぇ~100才まで生きること」と口グセのように言っていたAさん。そのAさんを介護職チームが支え、見事100才の誕生日を迎えることができたときのお話です。

99才と11か月からの勝負。

以前私が勤めていた認知症高齢者グループホームの最年長で人気者だったAさん。100才まで生きることが夢だったAさん。

そのグループホームは開設3年目頃だったと思います。
ホームとしてはまだまだ若く今思えば経験不足の介護職チーム・・・でも若さゆえの熱い思い入れが自慢のホームだったと思います。

さてAさん、100才の誕生日が近づいてきたのですが、やはりご高齢、除々に食欲が落ちていくようになりました。そして99才11か月の頃(つまり100才まであと1か月!)、Aさんは言葉を発することも極端に少なくなりベッドで横になって生活する時間が増えていきました。

当時ホームに往診に来ていただいていたお医者さんも「いよいよ看取りの時期かなー」と言っていました。

自然に看取りたい気持ち・・・でも「アタシの夢は100才まで生きること」と常に言っていたAさん。介護職チームで相当悩みました。

夢を叶えたい熱い思い。

点滴
ここから先は、介護職チームとして正しかったのか間違いだったのかはいまだに議論が分かれます。ただ言えることは1つ・・・「Aさんの夢を叶えたい」その思いとそこに向かうことを介護職チームは選んだということ。

食事はミキサー状にして食事介助してもほとんど喉を通らない。プリンやAさんが好んで飲んでいたミルクティーを冷蔵庫にストックし、食べたそうなとき飲みたそうなときを察知して、朝昼晩の食事時間にこだわらず24時間いつでもAさんの口に運べるように自然とみんなそういう雰囲気になりました。

Aさんがホーム最年長で人気者だったということもあり、介護職チーム皆Aさんのことが純粋に好きだったというのもありました。
でもますます食べれない飲めない・・・100才まであと数日。

往診のお医者さんに点滴をお願いしました。
でももうすぐ100才のAさんの血管に点滴が入らないのです。

往診のお医者さんにAさんの夢(それはいつしか介護職チームの夢にもなっていました)を伝えると、お医者さんは太ももの皮下に入れる点滴に切り替えてくれたのでした。
そして・・・

ついに100才を迎えた!

100才を迎えた昼食。
もともと企画していたこともあり、ホーム内に紅白幕をかざりご家族様を招待してお寿司を用意してAさんの誕生日祝いの会をしました。

Aさん、とてもお寿司を食べられる状態ではありませんでしたが、お祝いの会の間はきちんと車椅子に座った姿勢をくずさずに凛としていらっしゃいました。

その後日、100才を30日過ぎた正午頃、Aさんは3年近く慣れ親しんだホームのご自分のお部屋で、ご家族様と介護職の前で大きな息を1つついて、天へ旅立たれました。
(ホーム開設後、初めての看取り介護でもありました。)

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