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ご利用者様との思い出話3その②。若年性アルツハイマー型認知症との関わり

この記事は「ご利用者様との思い出話3その①。若年性アルツハイマー型認知症との関わり」の続きの記事になります。

発想の転換、D様と一緒に外へ出よう

若年性アルツハイマー型認知症のD様になんとかデイサービスセンター内でお過ごしいただこうと関わっていた介護チームでしたが、D様はイライラするばかりで上手く関わることのできない介護チームでした。

ある日、介護福祉士であるチームリーダーが「奥様の職場は何となく覚えていそうなので、思い切ってD様と一緒に外へ出てみようか?その方がD様が心穏やかになるかもしれない。また歩くことで生活の中でのリハビリにもなるし、ただデイサービスセンターの中でお過ごしいただくよりかは認知症の進行を遅らせることにつながるかもしれない。」と発言しました。

当時、若年性アルツハイマー型認知症に対する情報が少ない中ではありましたが、その日より介護チームの1人がD様が「妻の仕事があっちの方で・・・」とおっしゃられたタイミングでD様と一緒に外を歩くようにしました。

D様が取り戻した笑顔

笑顔
D様と介護チームの1人が外を歩くという関わりに転換したことで、まずD様が奥様の職場の方向がしっかりわかっているということに気づきました。認知症が進行中ではありましたが、D様にとっては最愛の人の居場所、大切な場所は脳の中にきちんと残されていることがわかりました。

そして奥様の職場の方向に歩いているときのD様の活き活きとした笑顔「妻が・・・妻が・・・」とやがて言葉もうまくでないご様子へとゆるやかに進行はしていきましたが、それまではなんとか室内にいていただこうと関わっていたころとは正反対ともいえるご様子でした。

D様が穏やかであることで、奥様の食欲が戻った

このような関わりが正解だったかどうかはわかりませんが、結果としては介護チームの1人がD様と一緒に外を歩くことで、D様の穏やかさと笑顔を取り戻すことができました。そして今思えばデイサービスセンターという室内で関わっているよりかは認知症の進行を遅らせることができたようにも思います。

D様と一緒に外を歩く関わりを開始した後日、担当ケアマネージャーさんからデイサービスセンターに届いた奥様の言葉として「デイサービスセンターで主人が職員さんと一緒に笑顔で外を歩いていると聞いて嬉しく思います。また日中外を歩くことで活動量が増えたためか夜しっかり睡眠を取ってくれるようになり、私も夜中に介護のために起きる回数が少なくなり、食欲が増えてきました。」との内容でした。

若年性アルツハイマー型認知症の方と関わるタイヘンさはありましたが、奥様からの言葉に胸熱くなり、これからもあきらめずに関わっていこうと思い直した、今でも印象に残っている言葉でもあります。

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