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介護士コラム~体験談~

誤嚥を防ぐ食事動作とは?

高齢者の死亡原因の多くは誤嚥性肺炎とも言われています。
高齢になってくると、嚥下機能が低下するため、誤嚥を起こしやすくなるからです。
食事介助では、この誤嚥を防ぐための見守りと、声かけや、介助が必要になってきます。
介護者はどのような点に気をつければ良いのでしょうか?

誤嚥はどういう高齢者に起こりやすいのか

施設で誤嚥性肺炎になる高齢者の方は認知症の方がほとんどです。
認知症が進むと、「喉に詰まらないように、よく噛んで飲み込もう」と意識してよく噛んで食べる事が難しくなってきます。
目の前に置かれた同じ食べ物を、ずっとひたすら口に詰め込んで、飲み込む事を忘れてしまう事もあります。

また、心ここにあらずといった感じで、まったく食事に集中できていない危険な人もいます。
そういう方の場合は、介護者が見守りをしながら、声かけをするようにします。
認知症の方の場合は、一度に二つの事は理解できない場合があるので、「よく噛んでから飲み込んで下さい」と言うのではなく、「よく噛んで下さい」「一度飲み込んで下さい」というふうに一つ一つの動作に対して声かけをする事が大事です。

食事がなかなか進まない時は、口の中で、食べ物が詰まっている事がよくあるので、マメにお茶や水などの水分をとってもらい、口の中に食べ物が溜まらないようにしましょう。
また、認知症でなくても歯がないままで入れ歯をしていない、使用している入れ歯が合っていないなどの理由で、きちんと噛む事ができず、飲みこんでしまっている場合も誤嚥になりやすいです。
ずっと長い間歯がない状態で生活している方は歯茎で噛む事に慣れてしまっていて、入れ歯をする事を嫌がる方が多いのですが、できるだけ入れ歯を使い、よく噛んで食べてもらうようにして下さい。

正しい食事介助の仕方とは

まず、食事をする姿勢に気をつけるようにします。
背中の曲がった高齢者の方は、座った時に前傾姿勢になってしまうのですが、机の高さや、椅子の高さを調節して、本人が食べやすい高さにしてあげます。
椅子に座った状態で、肘の少し下に机があるのが理想です。

きちんと座位がとれない方の場合は、体が傾かないように、クッションを置くなどして体を固定しましょう。
また、車椅子に座ったままの状態では、体重が後ろにかかってしまいきちんとした姿勢で食事をする事が難しいので、可能であれば、椅子に座って食べてもらうようにして方がいいと思います。

車椅子で食べてもらう場合は、できるだけ足をフットレストから下ろして、足を地面につけるようにした方が正しい姿勢になりやすいです。
ベットで食事をする際も、座位のとれる方ならば、ベットに端座位になってもらい食事をしてもらうようにします。

ベットから自力では起きられない場合は、リクライニングで上半身を上げた後に、クッションなどで体を固定します。
姿勢に気をつけたら、あとは食べるスピードに気をつけながら食事介助をします。
食事介助と言っても、全て最初から介護士が介助するのではなく、本人が自力で箸でつかめるものは、できるだけ本人の手で食べてもらうようにします。

お箸で掴みにくいものなどは介護士が介助し、掴めるものは本人に掴んでもらうのが自立支援です。
多少、やりにくくしていても、できる限り本人にやってもらうようにします。
とは言っても、毎回無理をして食事をするのは、高齢者のストレスにもなりますから、食事しやすい大きさや、固さにしておくと良いと思います。

例えば、柔らかくした大根などは、わざと大きいままで出す事で、自分でかじって食べ、そのまま噛む行為に繋がります。
一口サイズのものばかりにしてしまうと、口に入れた時にそのまま飲み込んでしまう事もあるので、食事内容によっては臨機応変に大きさも変えてみる事をお勧めします。

高齢者の誤嚥性肺炎を早めに発見するには?

まだ元気な高齢者の場合は誤嚥をした時に、咳をして咽る事がありますが、認知症がひどくなってきたり、コミュニケーションが取れなくなってきた高齢者の場合は誤嚥をしても自分で気づかない事がほとんどです。
気づかないまま数日たって、咳が続くと誤嚥性肺炎になっている事が多いです。

もし、食欲がなく、コホンコホンという小さな咳を頻繁にするようになった場合は、誤嚥性肺炎の可能性もあるので、病院で受診するようにして下さい。
誤嚥性の肺炎は、一度なると繰り返しなる事が多いです。
ひどくなってくると、食事形態をミキサー食にするなどの対応をしなくてはいけなくなってしまいます。

まとめ

忙しい施設では、職員も食事介助を急いでやっているところもあると思います。
中には早いペースで、ご飯を利用者の口に入れている職員もいますが、危険な行為です。

食事は利用者の方のペースで、無理なく食べてもらうようにし、自分で食べれる方の場合でも、必要に応じて見守りと声かけには気をつけるようにして下さい。

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