HOME > すべての記事 > 介護士コラム~体験談~ > まさかのベッド転落!?鳴らなかった最新型ベッド離床センサー

介護士コラム~体験談~

まさかのベッド転落!?鳴らなかった最新型ベッド離床センサー

ご利用者様の安全確保と介護士の労働負担の軽減、双方を目的とした様々な介護機器が存在します。
機器類は便利ですが、過信してしまうと思わぬ事故をまねくこともあるので、どのような介護機器を使用していても、要所では介護士の目で直接確認するということを忘れてはいけません。

今回ご紹介する内容は、介護機器を信用しすぎた私の失敗体験談です。
不幸中の幸いであるかのように大事には至りませんでしたが、事例としては重大な事故につながりかねない事故でした。

最新型のベッド離床センサー

私が介護士として働いている入所施設では、ご利用者様のベッド転落防止などを目的とした離床センサーを購入しました。
設定もご利用者様の状況に応じてこまかく設定できるセンサーです。

例えばご利用者様が上半身を起こそうとしただけでセンサーが鳴るように設定できたり、ベッドからご利用者様の足が落ちそうになってからセンサーが鳴るように設定できたりと、かなりの優れものの離床センサーです。

この最新型のベッド離床センサーを購入する前までは、ご利用者様の足が床についてから鳴るセンサーしかありませんでした。
ご利用者様の足が床につきセンサーが鳴ってから介護士が居室にたどり着いたときには、ご利用者様が転倒されている事もありました。

つまり、センサーが鳴っても、介護事故を未然に防ぐことが難しいケースが多かったのです。

ところがこの最新型のベッド離床センサーを購入してからは、例えばご利用者様の体動だけでセンサーが鳴るように設定することもできるので、少なくともご利用者様の足が床に着く前に介護士は居室にたどり着くことができ、ご利用者様の転倒やベッド転落を防ぐことがだいぶできるようになりました。

最新型なのに鳴らなかったセンサー

最新型のベッド離床センサーを購入して数週間が経った頃、残念ながら、ご利用者様のベッド転落事故が発生してしまったのです。

詳しく説明すると、実は転落したかどうかは不明です。
私がたまたま他利用者からのナースコールで、そのついでに様子を確認したら、そのご利用者様はベッド下の横でしりもちをついている状態(あぐらをかいている状態とも言えます)だったのです。これがこの事故の第一発見でした。

ベッド下の横でしりもちをついたご利用者様のベッドには、当然、最新型のベッド離床センサーが装着されています。
ベッド下の横でしりもちをついたご利用者様を第一発見した私は、ふと「そういえばセンサーが鳴らなかったな」と思いました。

ベッド離床センサーは、反応があれば、介護士が施設内で持ち歩いているPHSからもコール音が鳴り、着信履歴が残る仕組みとなっていました。
私は自分が持っていたPHSを確認しましたが、ベッド下の横でしりもちをついたご利用者様のベッド離床センサーからの着信履歴はありませんでした。

最初、私は「なぜ離床センサーが鳴らず、自分のPHSも反応しなかったんだろう?」と不思議でなりませんでした。

離床センサーが鳴らなかった理由

ベッド下の横でしりもちをついたご利用者様の外傷等確認し、特に異常認められず、結果的にはその後何事もなく、事故発生後はご利用者様の様子観察を継続して、大事に至らずに終わった事故ではありました。

しかし、最新型のベッド離床センサーはなぜか鳴らなかった、それには理由があったのです。そのご利用者様のベッド離床センサーの、コール用コードがなんと外れていたのです。
ひょっとしたら、そのご利用者様がいじってしまい、結果的に外れた状態になっていたかもしれないのです。

さらに言うなら、以前使用していたご利用者様の足が床に着いてから鳴るタイプのセンサーのときは、コードが外れた場合など、断線警告音が鳴る仕組みになっていたのですが、最新型のベッド離床センサーを購入し設置の際に、断線警告音が鳴る状態にセットするのを、機器を取り扱う業者がセットし忘れたようだったのです。
いくら最新型のベッド離床センサーでも、元のコールとセンサーを結ぶコードが外れてしまっていたのでは鳴るはずもありません。

ある意味、私は「最新型のベッド離床センサーだから、ご利用者様が転落する前に必ず気がつくことはできるだろう」と機械を過信してしまったのです。
「ご利用者様が、コードをいじってコードが外れるかも」という危険予測が欠けていたとも言えます。

基本はこまめな様子観察

今回のご利用者様のベッドからの転落事故から、改めて学んだ事は「機械を過信してはいけない」ということと、「介護の基本の1つは、介護士がこまめにご利用者様の様子を見る」ということでした。

センサーなどが無い頃、ベッドから転落の危険性があるご利用者様に対しては、介護士はこまめに様子を確認しに行っていました。

今回も、センサーはあくまでも介護士の補助的役割という考えがあれば、私はもっとこまめにそのご利用者様の様子を確認しに行っていたであろうし、ひょっとしたらそのご利用者様がセンサーを結ぶコードをいじっていた事を発見できたかもしれません。

まとめ

介護関係の機器類は、次々と性能の良いものが登場しています。
しかし、今回の私の失敗体験のように「最新型」「非常に性能が良い」と機械を過信してしまうと、介護事故が起こる可能性が高まります。

基本は、介護士がこまめにご利用者様の様子を見るということを忘れてはいけないと、改めて感じた失敗体験でした。

掲載中の転職サイト一覧

介護士コラム~体験談~関連記事