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介護士のお仕事

食事を良く噛むことは、脳への刺激、活性化、認知症予防に結びつく

認知症のご利用者様の食事について「よく噛んで食べることは認知症予防や認知症の軽減に結びつく」ということをご存じでしたか?

食事介助のイメージは、介護士がご利用者様の口にスプーン等で運び食事を提供する「全介助の食事介助」のイメージが強いと思いますが、認知症のご利用者様(または認知症予防や認知症の進行を緩やかにしたいご利用者様)に対して「よく噛んで食事をめしあがっていただく」という声かけも、介護士にとって大切な仕事になります。

「よく噛んで食べること」が、なぜ認知症予防や認知症の軽減に結びつくのでしょうか?その理由をご紹介します。

よく噛むことは、脳への刺激となる

認知症予防に関係する話の1つとして「スルメのようなかたいものを食べると、認知症予防になる」という話を聞いたことはありませんか?
これには確固たる根拠があります。

スルメでなくてもかまわないのですが、「食事をよく噛んで食べる」ということは、あごを適度に使います。
あごを適度に使うということは、良い意味で顔から頭部にかけての血行や神経伝達が良い状態になり、脳への適度な刺激となり、脳の活性化に結びつきます。

よく噛むことで脳への適度な刺激、脳の活性化に結びつき、その結果、認知症の予防になるのです。

よく噛み、よく見て、会話が生まれ、認知症予防となる

「よく噛む」ということは、食事のスピードを良い意味で適度に遅くさせることができます(例えば、噛まずに丸飲みするということを防いだりすることができます)。

食事のスピードが良い意味で遅くなれば、認知症のご利用者様は、食卓(お膳)にならんだ主食やおかず類を良く見て食べることができます。

食卓(お膳)にならんだ品目を良く見ることで、会話が生まれます。
ご利用者様どうしの会話でもかまわないですし、ご利用者様と介護士との会話でもかまいません。

例えば「このニンジン、とても甘いわねー」「季節はいつだったかしら?」「ジャガイモを見ると、昔、畑で掘ったことを思い出すわねー」といった会話が生まれることで、「話す」=「脳を使う」=「脳の活性化」に結びつき、その結果が認知症予防や、認知症の進行を穏やかにすることに結びつきます。

腹部の健康維持、穏やかな活動に結びつく


よく噛むと、だ液の分泌が良くなり、良好な消化を助けます。
反対に言うと、はやく食べ過ぎてしまうと下痢などの消化不良を起こす可能性が高まります。

認知症のご利用者様の中には、腹痛や下痢の症状をうまく訴えることが難しくなっている方もいらっしゃいます。
腹痛や下痢など、腹部の不調を感じていても、ご自身ではうまく訴えることができないため、席を立っては落ち着かない行動を繰り返すことも増えます。

ベテラン介護福祉士のなかには「便が原因かも?」と想像できる方もいますが、経験の浅い介護士には「なぜ、あのご利用者様の行動が落ち着かないかがわからない」と想像がはたらかない場合が多くあります。

話はもとに戻りますが、よく噛むことで消化器系臓器の調子が安定すると、認知症のご利用者様の腹部や消化器系の不調というリスクを取り除くことができ、ご利用者様は良い意味で穏やかな状態で活動する機会が増えると言えます。

よく噛まないと、認知症の進行もあり得る

よく噛まないで食事をすると、ご利用者様の認知症が顕著に進む場合があります。
食事を「よく噛まない」ということは、あごを使う機会が減るということになり、あごから近い脳に適度な刺激が届かないということになり、その結果、良い刺激を受けない脳は認知症の進行をはやめてしまう可能性が高まります。

また介護士の声かけが「はやく食べてください」というように、認知症ご利用者様のペースをせかすようだと、消化不良による腹痛や下痢などの原因になる可能性も否定できません。
認知症のご利用者様は、腹痛や下痢などの体調不良をご自分で訴えることが難しい方もいらっしゃいます。

その結果、例えば普段は穏やかにお過ごしになられている認知症のご利用者様の行動が、穏やかでなくなったり、下痢による不快感から手を陰部に入れて便をさわる(ろう便)などの行為が発生する場合もあります。

ご利用者様には失礼な表現にはなりますが、目先の食事を急がせた結果、ろう便などの行為が発生し、その便の処理やご利用者様の清潔保持という、プラスアルファの仕事を介護士がしなければいけないという展開にもなるわけです。

認知症のご利用者様に、ゆったりとした気分で適度な会話を交えながら食事を摂取していただくことは、ご利用者様の認知症予防になったり、認知症の進行を遅らせることにつながることはもちろんですが、長い目で見れば介護士の仕事を良い意味で減らす(余分な仕事をしないで済む)ことにもつながるのです。

まとめ

食事をよく噛んで食べるということは、あたり前であり何気ない日常のように感じますが、認知症の可能性のあるご利用者様の認知症予防や、すでに認知症の診断を受けているご利用者様の認知症の進行を穏やかにする効果が高まります。

介護士の仕事である食事介助の応用として、介護の仕事をしている方々の参考になれば幸いです。

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