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介護士のお仕事

病気予防以外にもメリットあり!ご利用者様の体重コントロールの重要性

体重コントロールは、人間の健康維持において重要な要素の1つです。
特に高齢者は、体重が増えすぎても減りすぎても健康的リスクが高くなります。

また、高齢のご利用者様が適正体重を維持できることは、健康面以外にもメリットがあります。
今回は、ご利用者様の体重コントロールに着眼してみたいと思います。

体重の増えすぎは、病気に対する高リスク

ご利用者様の年代で体重が増えすぎていると、当然ながら糖尿病や脳血管性疾患などの病気のリスクが高まります。
ご家族様の中には「もう先が短いのだから、本人(ご利用者様)には好きな物を満足するまで食べさせてあげたい」とお考えになっている方も、多くいらっしゃるのが実情です。

介護保険の考え方では「利用者本位」が主となり、ご利用者様の意向はご家族様の意向でもあることが多いものです。
したがって「食べてはいけません」という強制はしにくいものがあります。

しかし介護士や管理栄養士などの専門職としては、ご家族様に、体重が増加したときのリスクについて説明をさせていただく必要があります。
説明をさせていただいたうえで、ご利用者様とご家族様がどう決めるかはある意味で自由です。

体重増加のリスクについて説明をせずに、ただ見逃してご利用者様に好きなように食べていただいていた、というのは介護の専門職としては不適切と言えます。

体重の減りすぎは、褥瘡発生と機能低下に対する高リスク

では体重が少なければよいかというと、そうではありません。
特にご利用者様にとっては、体重の減りすぎによって、次のようなリスクが生じます。

・褥瘡の発生
・機能低下
・筋力低下
・低栄養に起因する病気の発生
・消化器系の病気の可能性(栄養が体内に取りこめていない)

など。

このように、ご利用者様にとっては体重の減りすぎも健康的リスクが生じます。ご利用者様の年齢層では体重が減りすぎと、低栄養状態に直結します。
通常の食事で必要な体重増加が見込めない場合は、補助食品や医師が処方する栄養剤などの導入を検討する必要があります。

適切な体重コントロールのための食事の役割

適正体重の維持が非常に重要であることについては、ご理解いただけたと思います。

体重コントロールのために、通常の成人であれば「食事」と「運動」が2大要素になりますが、ご利用者様の場合はカロリーを多く消費する運動は困難です。
したがって、適正な体重コントロールのためには食事が非常に重要になってきます。

ご利用者様の適切な体重コントロールに対する介護士の役割は、食事が適量摂取できているかのチェックと、気になる状況があれば管理栄養士や看護職員などの他職種に情報を伝えることです。
施設や事業所の種別によっては、管理栄養士や看護職員の配置義務がない場合があります。そのようなときは、知り合いの管理栄養士や看護職員にアドバイスをもらうと良いでしょう。

またご利用者様の多くは、定期的に医療機関に通院したり往診を受けたりしています。
診察に同伴し、主治医の見解をうかがうのも方法の1つです。

移乗介助時にお互い負担が少なくなる

適正体重の維持は、ご利用者様の健康状態維持以外にもメリットがあります。
それは、介護士にとっては移乗介助でご利用者様と介護士の良い関係が構築しやすいという点です。

体重が増えすぎているご利用者様の移乗介助は、想像がつくとおりご利用者様が重いため、介護士の腰への負担は大きくなります。
体重が減りすぎているご利用者様の移乗介助は、介護士にとって一見ラクなように思えます。しかし、体重が減りすぎていると、例えば低栄養によって皮膚状態が低下している可能性も否定できません。

ちょっとした移乗介助のミスが、表皮剥離、内出血などにつながる可能性があります。
また骨がもろくなっている可能性もあるため、ちょっとした衝撃で骨折になる可能性も介護士は考えておく必要があります。

体重が適正なご利用者様の場合は、上記のような移乗介助時のリスクがとても少なくなります。
残存機能が適切に保たれているご利用者様も多いので、ご利用者様の状態や理解レベルにもよりますが、ご利用者様自身が良い意味で介護士に身体を預けて、移乗介助しやすくしてくださることもできたりします。

手すり活用した立位保持等によって、介護士が必要以上にご利用者様を抱えなくて済む場合も多くなり、ご利用者様の適正体重維持は、身体介護上のメリットもあるのです。

まとめ

ご利用者様の体重を適切にコントロールすることは、まずはご利用者様の健康面を守ることに直結するという意識を持つことが介護士の心構えとして重要です。
ご利用者様の体重は多すぎても少なすぎてもデメリットがあるという認識を持つようにしてください。

また、ご利用者様の体重を適切にコントロールすることは、ご利用者様の移乗介助における介護士の腰にかかる身体上の負担軽減など、ご利用者様と介護士の良い関係を築くうえでのメリットもあります。

今回ご紹介した内容が、介護に携わるすべての方にとっての参考になれば幸いです。

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