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介護士のお仕事

食事介助がはやすぎることの弊害。誤嚥性肺炎のリスクなどが生じる。

介護士の大切な仕事の1つに「食事介助」があります。入浴介助、排泄介助とあわせて3大介助と言われるのが食事介助です。
摂取量が少なく、飲みこみ(嚥下)状態がよくないご利用者様の食事介助は、介護士がつい急いで介助をすすめてしまう場面でもあります。

また介護士の中には「このご利用者様の食事介助が、このくらいの時間で終わらないと次の介助にすすめない」「自分の食事介助が遅くて、他の介護士(チームメイト)に迷惑がかかる」という心理になっている方もいるのではないでしょうか?

しかし、食事介助のスピードがはやいと、他の弊害を生む可能性が高まります。特に誤嚥性肺炎とよばれる病気が最もたる弊害と言えます。
その他にも、結果的にご利用者様にマイナスに働くことが多くなります。

今回は、介護士がご利用者様に行う食事介助のペースがはやすぎると、誤嚥性肺炎のリスクや、その他のリスクが発生することについて触れてみたいと思います。
そのために、どこにどのような相談に行ったらよいかという内容をご紹介します。

スピード重視の食事介助は見直すべき

最近では、様々な施設形態の介護施設が運営されているので一概には言えませんが、伝統のある介護施設、特に介護保険制度開始前から運営をしている介護施設では、昔ながらの介助方法が良くも悪くも定着している傾向にあります。

食事介助も同様であり(繰り返しますが、すべての施設がそうだと言っているわけではありません)、施設によっては、ある程度施設側が決めた時間の範囲で食事介護をしている施設があります。

昔は、介助のはやい介護士が優秀とされてきた時代もありました。
しかし、介護保険制度の導入と、医療の発達、介護保険法にも求められている介護観の変化から、食事介助はもちろん、他の介助も「ご利用者様中心のペース」という風潮になってきました。(ダラダラと介助するということではないので、その点は誤解のないようにお願いします。)

食事介助においては、スピード重視でご利用者様がむせこんでしまった場合に、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高まることがわかってきました。
今、働いている介護施設や事業所において、食事介助がスピード重視という風潮があったら、介護士チームとして食事介助の考え方や方法を見直すべきです。

食事介助において最も気をつけるべき誤嚥性肺炎

先にも述べましたが、介護士がご利用者様の食事介助をする際に、最も気をつけるべきことの1つが「誤嚥性肺炎」です。
食事介助において介護士誰もが、喉に食べ物がつまってしまう窒息や、むせこみなどに注意しながら介助をしています。

窒息が生命の危機に直結することは、多くの介護士は容易に想像することができます。
しかし、むせこみをきっかけに誤嚥性肺炎を発症する危険性が生じることが、つい頭から離れてしまう介護士がいます。

なぜ誤嚥性肺炎になるのか

誤嚥性肺炎は、何らかの介護系資格を取得した介護士のほとんどが、実は座学で学んでいます。

誤嚥性肺炎は、食べ物が誤って気管に入ってしまったり、口腔内の雑菌が気管から肺に到達することで発症します。
食べ物は清潔ではありますが、調理後、空気中に触れれば少しでも雑菌が付着すると思ってください。

高齢者に限らず、私達のすべてがそのような状況におかれていますが、一般的な成人は抵抗力があるので仮にむせこんだりしても、誤嚥性肺炎になるリスクは低いです。

ところがご利用者様の世代では、年齢や既往の病気等で一般成人よりも抵抗力が下がっています。
その状態で雑菌が気管や肺に到達すると、抵抗力が下がっているご利用者様は肺が炎症を起こして(誤嚥性肺炎)しまいます。

誤嚥性肺炎であっても「肺炎」です。
肺炎と病名がつく以上は、危険度の高い症状であると認識してください。

摂取量=栄養吸収量ではない

介護士がご利用者様に対して行う食事介助の話に戻ると、一生懸命な介護士ほど「ご利用者様に食事をしっかりとって元気でいてほしい」という思いから、限られた時間で食事摂取量をアップさせようとして、結果的にスピードのはやい食事摂取になりがちです。

介護士に知っていただきたいのは、先にも触れた誤嚥性肺炎のリスク以外にも、他に考えるべきリスクがあるという点です。

食事摂取量が多くても、限られた時間で食べ物をつめこみ(表現が悪くてすみません)、少し時間が経ったら下痢をしていた、そのような結果になってしまえば食事摂取量は多くても、栄養素が吸収でいないまま排便されてしまったということになります。

また食事摂取量が多くても、消化器系の既往歴がある場合は、食事量に見合うだけの栄養素が体内に吸収できていない可能性も考えられます。

介護士は、このような事も考えて、食事介助を行う必要があります。

まとめ

介護士の大切な仕事の1つに食事介助がありますが、スピード重視の食事介助はご利用者様にとっての弊害が発生する結果となり得ます。

はやさにこだわらず(遅すぎてもいけませんが)、基本軸はご利用者様のペースで食事介助を行うという点に留意して、日々の食事介助にあたってください。

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