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介護士のお仕事

老健で介護職として働く場合の注意点(特養や有料老人ホームの違いを説明)

高齢化の進む今日の日本で介護職の活躍の場は広がり続け、今や様々なサービス形態が存在し、職場としての介護現場の数も種類も多くなっています。
その中に、自宅での生活が困難となってしまったお年寄りが生活できるサービスとして、施設介護があります。

終の棲家として暮らすことができる特養や有料老人ホーム、自宅での生活を目指してリハビリ・機能訓練を中心として過ごす老健、これらが施設介護です。
同じ施設介護、職場としてはどちらも介護現場であり、介護職に求められる仕事内容もほぼ変わりはありませんが、施設の目的の違いから意識や立場に違いがでてきます。

今回は、老健で働く際の注意点を特養や有料老人ホームと比較しながらお伝えします。

常に医療系スタッフがついている安心感

老健は介護施設ではありますが、目的はリハビリ・機能訓練を通じて自宅での生活を目指す場であるため、必ず医療スタッフがいます。
特養や有料老人ホームにも看護師はいますが、施設にいるのは日中だけで、夜間は有事の際に電話を受けて指示を出す、又は出勤するという形をとっている施設がほとんどです。

対して老健は、例えば夜間であっても必ず看護師がついており、ちょっとしたこともいつでも相談でき、突然必要となった医療行為にも素早く対応します。
介護職だけで過ごす時間はありませんので「何かあったらどうしよう」「適切に判断できるかな」という不安はありません。
しかしこれは良いことばかりではなく、介護と看護の職種の違いから、協力的でない職員がいることがあります。

例えば、夜勤でおむつ交換に時間がかかってしまう場合などに、「おむつ交換は介護の仕事。看護師がどれだけ忙しくても介護士には手伝えないでしょう?」と、人によっては協力を断ることや、これに似たケースが稀ではありますが存在します。

介護方法にも「先生」からの細かい指示

老健や特養の介護では、入所者に身体的・精神的に無理をさせず、安全で衛生的な方法であれば良く、悪く言えば「自己流の介護」もまかり通ってしまいますが、老健では理学療法士や作業療法士などの機能訓練指導員からの指示が出ることがあります。

こういった指示が全くなく、介護は介護職におまかせ、な施設もありますが、細かい指示があると同僚又は上司の意欲を感じることができ、仕事へのモチベーションもあがり、介護職にとっての勉強にもなります。
しかしここだけの話、細かすぎてうんざりすることがあります。

昇進は無理?介護職のポストが少ない

特養であれば一介の介護職が経験を積み、フロアリーダーや主任、相談員、施設長まで目指すことが可能ですが、老健ではトップは医師と決まっていますし、医療系の職種が多く需要もあるため、介護職が目指せる役職が限られてきます。

現実的なポストと言えば介護主任と相談員くらいではないでしょうか。
施設全体の職種で人数が多いのは介護職です。この大人数で少ないポストに就くのは並大抵のことではありません。

家庭を持つ男性など昇進を目指す方の老健への就職では、ここが一番の課題ではないでしょうか。

介護職の立場は比較的弱い

老健には多くの医療系スタッフがいます。
特養や有料老人ホームなど生活を目的とする施設とは違い、機能訓練を中心とする施設では、医療系スタッフの方が立場は強くなります。
施設の目的からしても、介護より医療の方が強い立場となるのは当然ですし、何より、介護職は資格が無くても就業でき、介護の資格も医療系資格と比べると非常に簡単で、学歴も必要なく、必ずしも専門の学校に通う必要がなく、また、何年も勉強しなければならない資格ではありませんので、そういった意味でも立場の弱い職種です。

実際に老健で働く上でも、介護職ができることは医療系スタッフにも全てできますが、医療系スタッフのできることの中には、介護職にはできないことが多くあります。
立場に関係なく誇りをもって働ける方は良いのですが、上の項目にもあるように昇進を目指すなど、立場を気にされる方は老健では辛い思いをされるかもしれません。

まとめ

老健と特養や有料老人ホームでは、その目的が違うために様々な違いがありますが、介護現場で働く介護職にとっては大した違いはありません。
自宅での生活を目指す老健でも、実際のところは良くなることが難しく帰れない方や、良くなっても家族の都合で自宅は難しい、次の施設が見つからないなど、入所期間が長くなる入所者が非常に多く、介護職にとって仕事内容は特養と大差ありません。

しかし、施設の目的の違いから人員の違いがあり、介護スタッフは医療スタッフより立場が弱く、昇進もしにくくなります。
その反面、特養のような介護生活中心の施設よりも、医療スタッフが付いている安心感や、介護技術の向上にもつながりやすいなど、学びの場としては老健の方が優れています。

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