介護士のお仕事

認知症の薬とはどんなものがあるのか

皆さんは「認知症」という言葉は聞いたことがあっても、認知症と物忘れの区別がつかない方や、どちらも一緒と言ったように考えている方も多いのではないでしょうか。
私も、今の介護職に就くまではその一人でした。

しかし実際のところ、認知症と物忘れがかなり違うということが、色々と勉強をしていく過程で分かってきました。
共通している部分は確かにあるのですが、よく調べてみると実は中身が全く違ったといった経験は、これに限らず多いのではないでしょうか。

また、認知症に薬があると言われましても、どのような効果があってどんな種類のものがあるのか自体が分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、認知症の薬にはどのようなものがあるのかについて紹介していきます。

先ほども言いましたが、認知症と物忘れは実際のところ全く違いますが、一つだけ共通点があります。
それは、「忘れる」ということです。ですが、この「忘れる」でも認知症と物忘れではどのように違ってくるのでしょうか。

まず、普通の物忘れから紹介します。物忘れは、体験の一部を忘れる・忘れたことにヒントを与えると思い出す・忘れたことを自覚している・探し物は自力で探すと言ったようなものがあります。

私たちも、普段から様々なことを忘れることはありますが、なにかのきっけで思い出すことは多々ありますし、探し物をする際は自力で探すか誰かに手伝ってもらって探すことが多いと思います。

一方、認知症になるとどうなってしまうのかといいますと、体験そのものを忘れる・忘れたことを自覚していない・ヒントを与えても思い出せない・探し物は誰かに盗まれたりと思っているといったことが挙げられます。

こうしてみると、物忘れと認知症ではなにが違うかすぐにわかるかと思います。
認知症になってしまいますと体験そのものを忘れてしまうため、なにか探し物があったとしても物自体を誰かに盗られてしまったというようになってしまいます。

また、日付や時間の感覚もなくなってしまったり、物事の辻褄を合わせようと作り話をしたり、妄言を言ってしまうのも認知症の特徴となっています。
つまり、物忘れと認知症ではそもそものベースになってくるところが全然違うのです。

また、認知症の場合は、脳の萎縮といったように脳の働きそのものが変化するため、認知症の度合いが人によってバラつきが出てしまいます。

物忘れと認知症の違いについては上記に記載しましたが、認知症は脳そのものに影響が出ていることもあります。

通常、一端萎縮してしまった脳が元に戻るといったことは一切ありません。そのため、認知症に関して何も対処方法となるものがないように感じる方もいるかと思います。
しかし、実は認知症にも薬というものがあり、通常の錠剤タイプのものからパッチタイプのものまであります。

ここでは、その認知症薬について紹介していきます。
認知症の薬は主に4種類あり、いずれもアルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症に効果があるとされています。

では、その認知症薬とは一体なんなのでしょうか。
それは、アリセプト・メマリー・レミニール・リバスタッチというものがあります。
アリセプトの効果としましては、アルツハイマー型認知症の進行を遅らせる効果があり、認知症薬として最も多く使われている薬剤です。

また、近年ではレビー小体型認知症にも効果があることが確認もされており、もしかすれば、その他の認知症にも効果があるとされることで期待がもたれている認知症薬でもあります。

メマリーの効果としましては、中程度から高程度のアルツハイマー型認知症の進行を抑制するための効果があります。
通常、認知症は異常なグルタミン酸と呼ばれる異常タンパク質によって引き起こされることが知られており、メマリーには異常タンパク質であるグルタミン酸の分泌を抑える効果があるとされています。

また、メマリーとアリセプトは併用することが可能なため、より認知症の進行を抑制する効果の期待が高まっています。
レミニールの効果としましては、軽度から中程度のアルツハイマー型認知症の進行を抑制する効果があります。

神経伝達物質の中にアセチルコリンというものがあり、レミニールはそのアセチルコリンによる神経伝達を助ける効果があります。
また他の認知症薬と違い、こちらは唾液で瞬時に溶けるため、水なしで飲めることが特徴です。

リバスタッチの効果としましては、軽度から中程度のアルツハイマー型認知症に適応効果のある薬です。
こちらは他の認知症薬と違い、パッチタイプのため体のどの部分にでも貼ることが可能です。

認知症薬だけでこれだけの効果がありますが、残念ながらアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症のみの薬剤がほとんどで、その他の認知症に効果のある薬は見当たりませんでした。

しかし、うまく使い分けることが認知症を遅らせることのカギとなるのではないでしょうか。