HOME > すべての記事 > 介護士のお仕事 > 介護士の給料は本当に安いのか。介護職員処遇改善などの取り組みについて

介護士のお仕事

介護士の給料は本当に安いのか。介護職員処遇改善などの取り組みについて

介護士の給料は「世間相場より安い」というイメージが先行しがちです。

しかし、最近は厚生労働省が中心となり、介護施設、事業所の収入源である介護報酬にも介護職員処遇改善加算などが増設されるなど、介護士の給料面も大幅に改善されつつあります。
また、経験の長い介護士は管理職に昇格すると、年収が大幅にアップする方も増えてきました。

今回の記事では、介護士の仕事と給料のバランスに触れながら、介護士の給料は本当に安いのかどうかについて触れてみたいと思います。

介護士にはノルマのようなものはない

介護士の給料に触れる前に、介護士の仕事には、例えば他業界の営業職のようなノルマはないということをお伝えしておきたいと思います。

介護業界においても、その企業や法人の上位の管理職には「売上目標(利用率目標、稼働率目標などとも言われます)」が設定されている場合もあります。
それは、介護保険で施設や事業所が収入を得るためには、ご利用者様に利用していただかないと、介護報酬として収入をいただくことができないという、介護保険の仕組みがあるからです。

しかし介護士については、売上、利用率、稼働率という言葉はあまり振りかかってきません。
なぜなら介護士の仕事は、まずは目の前のご利用者様に適切な介護サービスを提供することだからです。

ここでお伝えしておきたいのは「介護士には売上ノルマがないけど、月給が保障されている」という点です。

また、ご利用者様にケガを負わせてしまった場合でも、ほとんどの施設や事業所は、賠償責任保険などに加入しているため、故意でご利用者様にケガを負わせていなければ、介護士自身が責任を問われることも少なく、減給などもほとんどありません。
(ただし、最近増えてきた事件性のあるご利用者様のケガは別問題であることを忘れずにいてください)

介護職員処遇改善加算の増設について

介護施設、事業所の収入源である介護報酬には、加算要件を満たすと介護職員処遇改善加算という収入が上乗せされる仕組みがあります(以前は、介護職員処遇改善交付金と呼ばれていました)。

介護業界に精通している方、介護業界の管理職クラスの方は、これから触れる内容は「アンバランスな内容」だと納得がいかない方もいらっしゃるかと思います。
しかし、介護士には有利な内容として触れさせていただきます。

超高齢化社会が進む中、国(厚生労働省)の考えには「医療も介護も財源確保困難のため、圧縮財政」という考えがあります。

介護保険法の主たる法改正は3年に1回行われ、同時に介護報酬も改定されます。
その改定のほとんどは、マイナス改定でした。このマイナス改定は今後も続くと予想されています。

しかし相反して、介護士には「介護職員処遇改善加算」なるものが増設され、満たす要件にもよりますが、より高度な加算要件を満たせば、介護士には給料の上乗せ分が増えてきているのです。

この介護職員処遇改善加算は、介護士の処遇を改善するためだけにしか使えない加算(お金)であり、他の使途に転換することができないお金なのです。

管理する側は、介護職員処遇改善加算の使途を管轄する行政に必ず報告する義務があり、介護士の処遇改善以外の使途に使ったことが発覚すると、このお金(介護職員処遇改善加算分の介護報酬)を行政に変換しなければいけない状況にもなります。

「介護報酬全体でみるとマイナス改定」であり「施設(事業所)の収入は全体としてはマイナス」なのにもかかわらず「介護士に対する処遇はアップ」というアンバランスな構造になっていますが、介護士にとっては処遇プラス要因になっているということは確かなのです。

介護士の処遇の将来的展望について

施設や事業所の収入源である介護報酬全体としてはマイナス傾向ですが、介護士には処遇改善という仕組みがあってプラス傾向にあります。
この介護士にとっての処遇がプラス傾向であることについて、将来的にはどうなのでしょうか?

ハッキリしたことはわかりませんが、介護士の処遇については給料面はもちろん、研修などを通してのスキルアップ、資格取得ための金銭的支援など、介護報酬全体はマイナスになっても、介護士をとりまく処遇は今後も改善していくと予想されています。

厚生労働省の社会保障審議会においても、介護士の処遇改善は常に議論されることの1つになっています。
そして、2025年問題と言われている団塊の世代全員が後期高齢者になる年、さらにその向こう10年くらいは日本の介護重要はピークに達すると言われています。

このような状況の中、介護士の絶対数を減らすわけにはいきません。
介護士の処遇改善を続けていくことは、日本の超高齢化社会を支えるための国策と言っても過言ではないのです。

最後にご紹介したいのが、介護士の年収ですが、私の周辺では月5回夜勤含めて年収400万円以上の収入を得ている一般職の介護士も多くいます。
働く職場にもよると思いますが、このような具体的数字を聞くと、介護士の給料もそんなに悪くないと思えるのではないでしょうか?(しかも管理職ではない一般職です)

まとめ

介護士の給料は安いと思われがちですが、国を挙げて介護士の処遇改善には力を入れています。
ノルマのようなものはなく、ある程度労働環境も守られた中で、処遇はますます改善傾向にあるので、介護士の給料は実はそんなに安いわけではないと考えることもできると思います。

今回ご紹介した内容が、介護士を目指したいけど給料が気になっている方などの参考になれば幸いです。

掲載中の転職サイト一覧

介護士のお仕事関連記事