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介護士のお仕事

良い施設作りのために、苦情から逃げずにプラスに活用しよう!

介護士にとって、心情的に避けて通りたい事の1つが、ご利用者様やご家族様からの苦情です。
苦情という響きにはマイナスイメージがあり、介護士にとって真摯に受け止めなければならない反面「これだけ一生懸命やっているのに、なぜ苦情を受けなければいけないのか」といった感情になるのも事実です。

しかし苦情は、苦情のレベルにもよりますが、視点を変えれば「より良い介護サービスを提供するためのきっかけ」となります。

今回の記事では、介護士にとって、ご利用者様やご家族様からの苦情を真摯に、かつ前向きに受け止めて、介護サービスの質の向上に結びつける考え方について触れてみたいと思います。

適度な苦情件数は、実は施設にプラス要因

介護士として、苦情解決の研修に出席したことのある方の多くは「適度に苦情件数があることは、施設にプラス要因である」ことを学びます。
苦情なのに、なぜ施設にプラスなのでしょうか?

答えは「適度に苦情件数がある」ことは「その施設には、ご利用者様やご家族様がもの申しやすい雰囲気がある」と、捉えることができるからです。

介護サービスは、介護士という“人”が、ご利用者様という“人”にサービスを提供する、対人援助の仕事です。
人が人にサービス提供、援助する以上、ミスもあれば、ご利用者様の気分を損ねたりと、上手くいかないことがあってあたり前とも言えます。

したがって、例えば「1年間、苦情が全くありませんでした」といった施設の方が、行政の検査や指導では危険とみなされる場合があるのです。

小さな苦情を、適切に受付し、適切に記録に残すことは、介護士にとっても施設にとってもプラスになると考えるようにしてください。

苦情をもみ消さない風土づくり

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苦情を、苦情として受付せず、記録に残さない事は、介護士にとっても、その施設にとっても危険な状態に差しかかっていると言えます。

なぜなら「苦情」→「受付しない」→「ご利用者様やご家族様の声は、経営陣に届かない」→「介護サービスの質の向上に結びつかない」→「本来、苦情として受付しなければならない、低下した介護サービスが続くことになる」という悪循環に陥ってしまうからです。
余談ですが、これは介護事故にも共通する内容です。

「この程度の苦情は、苦情として受付しない」「苦情として残すのは、介護士としても施設としても恥」という考えは捨てるようにしてください。
せっかくの、介護サービスの質の向上の芽を自ら摘み取ってしまっているようなものなのです。

施設は「小さな苦情も受付する」という職場の風土を作ることが大切です。
この考えが、介護士全員が認識できる風土を作ることが、施設運営上重要と言えます。

記録は簡素化すればいい

苦情に関する記録は、ついつい面倒になりがちです。

しかし、苦情に関する記録は行政の指導や監査で必ず確認される記録の1つです。
苦情に関する記録が残っていないと、介護士自身の仕事も、施設も守ることができなくなる危険性があります。

面倒になりがちな苦情に関する記録ですが、大切なのは「要点(ポイント)を押さえて記録する」ことです。
文字数を多く書く必要はありません。
細かすぎずに記録し、どのような内容だったのかが、パッと見てわかりやすく記載されていれば良いのです。

ご利用者様が何をおっしゃっていたのか、またはご家族様が何とおっしゃっていたのか、要点を押さえて記録するようにします。

物語のような調子で長々と記録すると、その記録を確認する側もいったい何が言いたかったのかがわかりにくくなりますし、記録する介護士の(または他の職種も同様ですが)仕事だけが増えてしまうという労働上の負担にもつながります。

どのように苦情を解決したかが重要

苦情に関する記録を積極的に残すことは、介護士にとっても施設にとってもプラスになることはご紹介したとおりです。

あとは、苦情をどのように解決したかを記録しておくことが重要です。
ただし、解決した内容も細かすぎず要点(ポイント)を押さえて記録するように心がけてください。

苦情未処理の記録をたまに見かけることがありますが、苦情と苦情解決の関係においては「何らかの解決をした」という結果(締めくくり)まで記載するようにしてください。
せっかく苦情受付までは記録を残していても、解決に関する結果が同じ用紙に記載されていないと、行政の指導・監査で指摘を受ける事項になります。

まとめ

苦情は、内容にもよりますが、小さいうちに解決をしておくことが、介護士を守り、施設を守ることにつながります。

また介護保険制度における苦情解決の考え方は、まずは、ご利用者様やご家族様の声を聞き入れてくれる施設かどうか、ご利用者様やご家族様が意見を言いやすい施設かどうかの判断材料であり、さらに、それをより良い介護サービスに結び付けていくという考え方です。

介護士や施設の悪いところ探しではないということを、介護士はぜひ理解して、苦情に関する記録を積極的に残すようにしてください。

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