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介護士のお仕事

機能訓練を特別視しない。介護士ができる生活内での機能訓練について

「機能訓練」「リハビリ」という言葉を耳にすると、理学療法士や作業療法士などのリハビリ専門職の領域だと思う方が多いようです。
確かに関節可動域の広げ方や、病歴に基づく専門的な機能訓練など、リハビリ専門職でなければできないこともあります。

では介護士は、機能訓練やリハビリに関与しないのでしょうか?
いいえ、むしろご利用者様の生活を支えるうえで、介護士は機能訓練・リハビリに大きく関わり、ちょっとした工夫でご利用者様の機能低下を予防させることができたり、ご利用者様の生活能力を向上させることができます。

今回は、介護士ができる機能訓練・リハビリについて触れてみたいと思います。

機能訓練を特別視しない

「機能訓練」「リハビリ」という言葉は、介護士の領域とは関係無いと感じている方がいますが、実は介護士は機能訓練・リハビリに大きく関わっています。
むしろご利用者様の生活場面においては、リハビリ専門職よりも介護士が機能訓練・リハビリに大きく関係すると言えます。

「生活リハビリ」という言葉を聞いた事がある介護士の方は多いのではないでしょうか?
この「生活リハビリ」とは、ご利用者様の生活リズムや生活動線を活かした機能訓練・リハビリのことを言います。

つまり、ご利用者様の生活において、機能訓練・リハビリのために時間を特別に作ることよりも、ご利用者様の生活の中でできる事を活かして、ちょっとだけでも時間をとって工夫するという視点を持つことが介護士にとって大切になってきます。

アドバイスは専門職から学び、介護士ができる内容で実行する

介護士として「機能訓練」「リハビリ」の重要性はわかっていても、「ご利用者様に対して、実際にどんな生活リハビリをしたらよいかがわからない」という方は多いようです。
そのような場合は、アドバイスやプログラムはリハビリ専門職から教えてもらうようにすると良いです。

介護士の勤務先の施設形態やサービス種別にもよりますが、施設系や通所系事業所の多くは、リハビリ専門職が何らかの関わりを持っているところが多いです。

施設や事業所に関わりのあるリハビリ専門職から、ご利用者様全体に共通して実施でき、かつ介護士が実行しても問題無い機能訓練や、「ご利用者様の◯◯様に対して、生活の中でどのような機能訓練をしたらよいか」等、ご利用者様の個々に応じ、かつ介護士が実行しても問題無い機能訓練の方法を教えてもらうようにしてください。

そして、リハビリ専門職から教えてもらった事を、ご利用者様の生活の中で活かしていくようにします。

ご利用者様の心理的負担が少ない生活リハビリ

「生活リハビリ」という考え方は、機能訓練・リハビリを受けるご利用者様にとっても心理的負担が少ないと言えます。

リハビリ専門職が実行する機能訓練・リハビリは、介護士よりも高い効果があります。
しかしご利用者様の中には、リハビリ専門職が実行する機能訓練を「リハビリの先生がする」という、特別な場面としてかまえてしまう方がいます。

その点、介護士が実行する生活リハビリは、ご利用者様の生活を活かすという考え方なので、ご利用者様がかまえることなく実行でき、ご利用者様の心理的負担は少ないと言えます。

ちょっとした事でも効果がある

生活リハビリの例をいくつかご紹介します。

例えば、

・車いすのご利用者様がトイレで排泄が終わった後(着衣をしてから)、
 トイレ近くの手すりを活用し立位訓練(立ち上がり動作)を5回ほど行ってみる。
・車いすから離れて10歩程度歩いてみる。
・タオルなどの洗濯物をたたむ。
・新聞紙等を丸めてゴミ箱に投げ入れてもらう。
・ベッドから起き上がる際にサイドレールを活用して、
 少しでも自力で起き上がってもらう。
・認知症のご利用者様に適度に自由に歩いていただく。

等々。

たかがそれだけの事のようにも感じますが、何もやらないよりも、はるかに機能維持効果があるのです。
しかも、特別な場面設定は必要なく、まさにご利用者様の生活動線、生活動作の中でちょっとした負荷をかけているだけなのです。

これが、介護士でもできる機能訓練・生活リハビリの例です。

何もしなければ、関節の拘縮や機能低下が進む

健康な成人であっても、何もしなければ筋力が落ちていくのと同様、ご利用者様が機能訓練的な事をしなければ、機能低下、筋力低下につながります。

介護士は、ご利用者様の生活動作を活かしながら、ご利用者様に身体を使っていただくという視点が重要です。
その結果が、ご利用者様ができるだけ良い状態で長く今の生活を維持できることにつながっていくのです。

まとめ

介護士は「機能訓練」「リハビリ」を特別視しない事が重要です。
「生活リハビリ」という考え方で、ご利用者様の生活動作、生活動線をうまく活用し工夫するという視点を持つようにしてください。

今回ご紹介した内容が、介護士にとってご利用者様との関わりの参考になれば幸いです。

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