HOME > すべての記事 > 介護士のお仕事 > 食事摂取量のみで安心してはいけない~介護士のレベルアップ術

介護士のお仕事

食事摂取量のみで安心してはいけない~介護士のレベルアップ術

介護士としてスキルアップしていくためには、まずは国家資格である介護福祉士を取得することはもちろんですが、さらにプラスαの知識、介護のちょっとしたコツ、経験値などが必要になってきます。

食事介助に関しては、ご利用者様の食事摂取量が適量とれているからと安心してはいけません。
今回の記事では、ご利用者様の食事摂取量と栄養状態に関係した内容に触れてみます。

広い意味での「食事介助」とは「食事支援」である

介護施設や介護事業所において、介護士の大切な仕事の1つに「食事介助」があります。

食事介助は、ご自身では食事を食べることができないご利用者様に対する直接的な介助をイメージする方が多いと思います。

まさしくそのとおりですが、広い意味では「ご自身で食事を食べることができる方の食事中の見守り(高齢者というだけで、誤嚥・窒息の危険性があります)」「食事摂取量のチェック」「全量摂取されなかったご利用者様の残菜をチェックし、どんな物を残したのか介護士の立場から分析し、管理栄養士など食事に関する職種に情報を提供する」といったことも、介護の専門職である介護士としては心がけておきたい視点です。

これらの視点は直接的な食事介助ではありませんが、ご利用者様の「食事支援」と考えた場合に、とても大切な視点にもなってきます。介護士としてスキルアップしていくためには大切な視点です。

食事摂取量だけにとらわれない

ほとんどの介護施設において、ご利用者様の食事摂取量をチェックしていると思います。
よくありがちなのは「主食◯割、副食のうち主菜◯割、副菜◯割、水分◯◯◯ml」といったような項目を表にしてチェックする方法です。

介護士にありがちなのは「摂取量が適量だから、このご利用者様は大丈夫、安心だ」と単純に思ってしまうことです。
決してまちがいではありませんし、並みの介護士の視点であれば十分と言えます。

また介護士という介護の専門職であるため、摂取した食事が、実際にご利用者様の体内で消化・吸収され、生きていくための必要な栄養素として取り込めているかまでは、並みの介護士では想像に至らないものです。

しかし介護士としてスキルアップしていくためには、単純に食事摂取量だけにとらわれてはいけません。
管理栄養士ほどの専門的な知識までは求めませんが、ご利用者様が摂取した食事が「本当にご利用者様の体内で活きた栄養となっているか」まで想像し分析できるようになると、介護士としては介護福祉士の中でも上級者レベルと言えるでしょう。

ご利用者様の中には例えば「食事摂取量は適量」だが「体重が減少していっている」「便の状態がよくない」という方もいらっしゃいます。
食事摂取量だけにとらわれてはいけない理由と言えます。

日々の排泄物の確認と観察が大切

すべての人間にとって「食事と排泄は密接な結びつき」があります。
一般成人であっても、食事摂取量が多すぎると腹痛や下痢をおこしたり、食物繊維が不足すると便秘になったり、硬い便になったりします。

ご利用者様にとっては、これらがもっと顕著に表れますし、場合によっては健康状態を心配しないといけなくなります。

介護士として、ご利用者様の食事と排泄の関係をチェックするのであれば、基本的なことではありますが、日々の排泄物をよく確認し、観察することが大切です。
「食事摂取量は適量」けれども「軟便や未消化便(いわゆる下痢便)」であれば、そのご利用者様の体内においては、摂取した食べ物は栄養素として吸収されていないと考えられます。

最低でも月1回の体重チェック

日々の食事摂取量が適量で、排泄状況も問題無ければ安心かというと、確実に安心とは言えないのが介護の世界です。

そのようなご利用者様の中で、体重が減少していっているご利用者様がいらっしゃったら要注意です。
消化器系の内臓に何らかのご病気をかかえており、摂取した食事がうまく体内に栄養素として吸収できない身体になっている可能性があります。

どの介護施設でも月に1回程度は体重測定をしていると思います。
介護士としてスキルアップしていくためには、もし体重減少が顕著なご利用者様がいらっしゃったら「何らかの病気を疑う」という視点をもつことです。

介護士も知っておきたい、血液中の「アルブミン」について

栄養の吸収を図るバロメーターとして、血液中の「アルブミン」の値があります。
本来は医療職の仕事の範囲ですが、介護士も知っておきたい医療の知識の1つです。

アルブミンとはたんぱく質の一種です。介護士としての視点なのでこまかな内容は省略しますが、介護士として知っておくとよいのは「アルブミンが低いと、体内で栄養が吸収できていない可能性が考えられる」という視点です。

「日々の食事摂取量は適量、排泄物の状態も悪くない、けれども体重減少が顕著だったり、顔色不良である」といったご利用者様がいたら、血液中のアルブミンの値を確認するという視点をもっていると、介護士としては介護福祉士の中でも上級レベルと言えるでしょう。

まとめ

いかがでしたか?
ご利用者様の食事支援において、食事摂取量が適量だから栄養状態がよいとは限りません。
介護士としてスキルアップするためには、食事と連動して排泄物、体重、血液検査の値にも気を配ることができるようになると良いのです。
今回ご紹介した内容が、介護士としてスキルアップしていきたい方のお役に立てれば幸いです。

掲載中の転職サイト一覧

介護士のお仕事関連記事