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介護士のお仕事

意識が無い方への対応について

高齢者の場合は、些細な事で体調が変化しやすいため、急に意識が薄くなる、反応がなくなる、といった事が、若い人より起こりやすくなります。また、様々な病気を持っていたり、薬を飲んでいる方も多いので、その影響も少なからずあるようです。
意識が無い方への対応の仕方にはどのような方法があるのでしょうか?

意識が無くなった方への最初の対応

高齢者の方が意識が無くなくなった場合は、まず、意識レベルがどのくらいなのかを確認する事が大事です。
大きな声で名前を呼び、体を叩くなどして、何らかの刺激を与えて反応があるかどうか確認します。
名前を呼んでみて、目を開けたり、口が動いたりして反応がある場合は、しばらく横になって様子をみます。

バイタルチェックをして、血圧や脈が正常に動いているかどうかの確認もします。
血圧や脈に大きな異常がなく、こちらの呼びかけに反応があるようならば、様子を見ながら回復を待っても大丈夫な場合がほとんどです。

逆に、刺激を与えても反応がまったくない、脈が少ない、などの異常がある場合は救急車を呼んで、すぐに病院で対応してもらうようにしましょう。

冷静に正しい判断をするには?

呼びかけに少し反応するけど、脈が少ないなどの異常はある、など、自分で急を要するのか判断できない場合は、血中酸素濃度を測れるパルスオキシメータを使うと、体の異常が簡単に判断できるので便利です。

なぜ、血中酸素濃度を測ると異常が判断できるのかと言うと、人間は自分が吸い込んだ酸素が全身に運ばれる事で、生命を維持しているため、この酸素の量が少なくなると、めまいなどの意識障害が現れる原因になるからです。
酸素の量が一定レベルを下回っている場合は、生命の危険も考えられるので、早急な処置が必要になります。

パルスオキシメータは、爪きりほどの大きさのもので、指を1分ほど機械に挟むだけで、簡単に血中酸素濃度を計測する事ができます。血中酸素濃度と一緒に脈も計測できるので一度の計測で済みます。
急に利用者の方が自分の目の前で意識がなくなってしまった場合、慣れていないと焦って冷静な判断ができなくなる場合もありますが、パルスオキシメータならば、誰でも簡単に使う事ができるので、常備している介護施設も多いです。

急に意識がなくなる原因で多いのは?

施設で生活している普段は元気な高齢者の方でも、急に体調が悪くなって、そのまま意識が無くなってしまう方もいます。たまにあるのが、入浴後に気分が悪くなり、そのまま意識が無くなってしまう、という場合です。
体力のない高齢者の方は短時間の入浴でも、のぼせやすく、脳貧血になりやすいのです。脳貧血の場合は、少しずつ顔色が悪くなっていき、意識が遠のいていって、ひどくなると意識が無くなってしまいます。

脳貧血は入浴後だけではなく、意外にトイレの後にも起こりやすい場合があります。
下痢が続いて何度もトイレに行っている場合は、体の水分がなくなっていきます。
高齢者の方は、トイレに長く座っている方も多いので、座っている間に脳貧血を起こし、意識が無くなってしまうという方もいるのです。

この場合は、しばらく横になって休んでもらうと意識が回復する場合がほとんどです。
高齢者の方は、脱水になりやすいので、入浴後や、下痢などが続く時は水分補給をしてもらうようにしましょう。

意識のない方に刺激を与える場合の注意点

意識がない高齢者の方に刺激を与えるため、大声で呼んだり、肩や腕を叩くなどのやり方は一般的ですが、気をつけなければいけない事もあります。
介護士も利用者の方を早く助けようと、必死になってつい強い力で、顔や体をバシバシを叩いてしまう事がありますが、高齢者の場合はその衝撃で体に内出血ができてしまう場合があります。
思っているよりも高齢者の皮膚は弱いのです。

骨の弱い方の場合は、骨折したり、骨にヒビが入ってしまう場合もあります。
その時は大丈夫でも後々、アザや怪我が残ってしまっては気の毒です。
高齢者の体に負担をかけずに刺激を与える方法の一つに「乳首をつねる」というやり方があります。
乳首は体の皮膚の中でも丈夫な部分なので、ある程度の強さでつねってもアザや内出血が残る事はありません。

まとめ

特養などの施設で働いている場合は、高齢者の急な変化にも対応できる職員が多い傾向にあります。
比較的重度の高齢者が多く入所しており、急に意識がなくなったりする事も珍しい事ではないからです。

逆に、ある程度元気な方が利用する事が多いデイサービスなどでは、急を要する対応に慣れていない職員が多い傾向にあります。
どちらの施設も通常は看護師が常駐しているので、介護士だけですべて対応する事はあまりありませんが、何かあった時の対応の仕方は、普段から勉強しておき、知識を身に着けておきましょう。

何かあった時に冷静な判断をして、対応する事が利用者の方の命を救う場合もあるのです。

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