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高齢者の方・ご家族の方向けコラム

特養への申込書を出すタイミング、入所が早まるコツについて

介護施設の1つである「特別養護老人ホーム(以降、特養と表記します)」は、ご家族様から見てどんな印象の施設形態に思われますか?
特養入所に関してはニュースなどでは「入所まで数年間待ち」「1施設あたり何百人待ち」と報道されることもあり、入所そのものを最初からあきらめているご家族様もいらっしゃるのではないかと思います。

そのようなご家族様向けに、今回は介護事業で働いている立場から、特養に入所しやすくなるためのコツをご紹介します。
特養入所を実現させるためには実はコツがあるということを、ご家族様にぜひ参考にしていただきたいと思います。

特養に関する、世間と実情のギャップ

日本の超高齢化社会が進行していく中、高齢者入所施設に関する報道も多くなりました。その中の1つに「特養入所者の待機者問題」があります。

ニュースなどでは「特養入所数年待ち」「1施設あたり何百人待ち」という言葉が先行しがちで、ご家族様の立場としては「特養への入所はあきらめた方がいいかも」と思っているのがホンネではないでしょうか?

しかし介護事業従事者から言わせてもらうと、世間一般の報道と実情には違いがあると言いたいのです。
(ここから先は特養の入所担当(生活相談員)として従事した私の経験も交えての内容をご紹介していきます。)
実際には「特養申込後2~3か月で入所できた」(特養の生活相談員としては2~3か月で入所させた)ご利用者様も存在します。

ここでご家族様にお伝えしたいのは「特養入所を最初からあきらめずに申込をしてみる」という点です。

要介護3以上が確定したら早めに申込をする。

特養へ申込むタイミングについて、一般的には介護の手間がかかるようになってからであったり、病院に入院してからであったりすることが多いものですが、特養の生活相談員としては「要介護3以上が確定したら早めに申込をする」ことをお勧めします。

ちなみに要介護3以上という理由は、現在の介護保険法では特養の入所は原則要介護3以上とされているからです。
要介護3以上が確定したら早めに申込をしてほしい理由は他にもあります。特養の入所担当である生活相談員の立場から言うと「ご利用者様の心身の状態が安定している方が入所に関するリスクが少ない」という点があるのです。

特養によっては、取得している加算の関係上「要介護4または5でないと入所できない」と説明してくる特養もあると思いますが、そのような特養を外して要介護3以上で申込を受け付けてくれる特養へ早めに申し込む(ご本人の状態が安定しているうちに)ことをお勧めします。

特養入所は申込み順ではない

多くのご家族様に説明が不十分になっているのが「特養は入所申込み順ではない」という点です。介護付き有料老人ホームは申込順に入所を検討していくことが多いのですが、特養は「優先度が高いご利用者様(ご家族様)」が早く入所できる施設なのです。

「優先度」の最も重要な要素は要介護度です。最も重たい要介護5の方が優先される傾向にあります。しかし要介護4や要介護3の方でも早めに入所できる場合があります。
その場合の優先度に加味される要素としては、独居か同居家族がいるのかどうか、家族や親族の状況、在宅で介護されている場合は主たる介護者の状況(例えば老々介護でご本人様の夫様や奥様が介護者になっていると優先度に加味される傾向にあります)、特養によっては入所後のご家族様との連絡の取れやすさ(すぐ来てくれなくてもかまわないが、急変時に連絡が取れるかどうか)を優先度に加味するところもあります。

どの特養にも「入所指針」またはそれに近い書類が整備されています。入所申込時にそこまで聞いているだけの余裕はないかもしれませんが、もし聞くことができるようであれば「ここの特養は、介護度以外にどのような場合に入所の優先度が上がりますか?」等確認しておくことをお勧めします。

料金が安い「多床室」も個室並みが増えてきた。

特養は大まかに多床室と個室タイプに分かれます。料金は個室タイプの方が高い傾向にありますが、比較的築年数が新しい特養の多床室を見学されると「個室では?」と錯覚するくらい環境が整っている多床室があります。

例えば、天井は同じ空間であっても、個人スペースのつい立てがご利用者様の目線よりかなり高い位置まで設置されており「個室のような多床室」になっている特養もあります。

ご家族様の中には「施設に入れること自体がかわいそう」だから「せめて個室で」と料金的に無理をされる方もいらっしゃいますが、子どもの成長と正反対に介護はいつ終わりがくるかわからない世界、料金もいつまで負担すればいいのかは誰にもわかりません。
経済的に月々の料金を払うのが困難であれば多床室を希望するというのも、特養の生活相談員を経験した立場から言えば悪くないことだと思っています。

まとめ

いかがでしたか?
特養は入所が難しいと思われがちですが、全員の方が難しいというわけではありません。
申込順でなく「優先度」によって決まるということを聞くと、ご家族様としては「特養に申込してみるのも悪くはない」と思っていただけるのではないでしょうか?

今回ご紹介した内容が「特養入所はあきらめていたご家族様」のために参考になれば幸いです。

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