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介護士コラム~体験談~

認知症ご利用者様への対応失敗体験談。弄便への対応に失敗

認知症のご利用者様の中には「弄便(ろうべん)」をされてしまう方がいます。
弄便は文字どおり「大便をいじる、さわってしまう」行為のことです。

今回は、私が介護士として対応に失敗してしまった、弄便への対応失敗体験談をご紹介します。
失敗体験をご紹介することで、弄便に対する対応の参考になればと思っております。

事前情報として、また日常的に介護士として意識はしていた

私が介護士として働いていた入所施設に、認知症のK様(男性)が入所されてきました。
K様は、身体機能も低下している状態での入所であり、食事は離床し車いすにて食堂で召し上がられるものの、排泄はベッドに臥床した状態でのおむつ交換でした。

そのK様、入所前の事前情報に「弄便あり」と記載されており、また入所されてからおむつ交換による排泄介助の際にも、陰部に手が伸びていく様子があったので、介護士である私は「K様は、弄便がある方」「日頃の様子として陰部に手が伸びることがしばしばある方」という認識はしていました。

それでも、K様の弄便への対応に失敗してしまいました。

わずか2~3秒の間に、手は素早く陰部へ伸びた

ある日、介護士である私はいつものように排泄介助(おむつ交換)に回っていました。
K様のベッドに来たとき、便臭がしたので「大便をされているかも」と思い、いつものおむつ交換よりも慎重におむつを開きました。

便臭がしたとおり、K様のおむつの中には多量の大便がありました。
その大便と、尿が混じって(汚い話と思われたら申し訳ありませんが、介護士としては日常的な仕事の一環ですのでどうぞご容赦ください)、排泄物はパットだけではおさまらず、おむつの外のK様のズボン類まで汚れは広がっていました。

私が弄便への対応に失敗してしまったのは、ここからが始まりと言えます。

介護士として、おむつ交換時に大便や小便を見るのはあたり前なので、ビックリはしなかったのですが、K様の大便の多さが普段以上で、かつ、おむつの外のズボン類まで汚染してしまっていたので、私は「どのように交換したら、汚れを広げずに済むか」ということを考えてしまいました。

時間にしてわずか2~3秒だったと思います。その2~3秒の間に事は起きてしまったのです。

私が2~3秒、どのようにおむつ交換すべきかを考えていた時、すっとK様の手が陰部に伸び、「伸びた」と思ったときにはすでに手遅れで、K様は見事にご自分の大便に手をつっこまれてしまったのです。
右手の人差し指~小指にかけての4本の指が、見事な便まみれになってしまいました。

K様のおむつ交換時、普段は「陰部に手が伸びるかも」「弄便があるかも」と意識していたのにもかかわらず、わずか2~3秒、介護士として介助のしかたを考えてしまった私の失敗でした。

大便を遠ざけたら、K様の大腿部に付着してしまった

とは言っても、落ちこんではいられません。
私は「取り急ぎ、K様の指に付着した大便を拭き取らなければ」と思い、おむつ交換時にはセットとして常に持ち歩く清拭用の布(施設によっては下拭き用というような介護業界特有の用語を使用している場合があります)で、K様の指に付着した大便を拭きました。

K様の指に付着した大便を拭き取ったにもかかわらず、私がおむつ交換の続きをしているときも、K様の手は短時間で何回も陰部に伸びてきました。
私は、K様の手の届かないところに大便を遠ざけようとしました。

通常の大便量ならパットを巻いて大便を隠してしまえば良いのですが、このときは量が多く、ズボンまで汚染していたので、大便をパットやおむつで包むことができませんでした。
そこで一時的にK様の手の届かないところに大便を遠ざけてみたのです。

しかし、他に介助すべきご利用者様もいる状況で私はあせりもあったのか、次の失敗をしてしまったのです。
それは、遠ざけた大便が今度はK様の大腿部に付着してしまったのです。

不幸中の幸い(?)とでも言えばよいのでしょうか、大便の付着はK様の右手の指と大腿部だけで済み、シーツや布団、ベッドのサイドレールなど他の場所に汚染は広がりませんでしたが、このときの排泄介助(おむつ交換)は「弄便行為があるK様」と意識していたのにもかかわらず、「やってしまった」感のある私の失敗でした。

まとめ

認知症の方には弄便をされる方がいらっしゃいます。
私個人の所感では、ご本人様は排泄物による不快感か、または意識されての行為ではないように思うときがあります。

今回の対応の失敗は、2~3秒というわずかな時間でも、K様の手は陰部に素早く伸びるということを身を持って経験することができた、考え方によっては次に失敗しないようにと思える実体験ではありました。

今回ご紹介した、私の失敗体験談が、弄便に対応される介護士の方にとって、失敗しないための参考になれば幸いです。

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