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介護士コラム~体験談~

ご利用者様との思い出1。遺影に施設の写真を使ってくださったご家族様

この思い出は私が30代だった頃、デイサービスセンター(日中のみの介護)で働いていた時期だったと思います。
アルツハイマー型認知症と診断された男性のB様。
私の働いていたデイサービスセンターにご利用様として週2回のご利用をされていました。

70代だったのでご利用者様の中では若い方に入るB様。
アルツハイマー型認知症以外に目立ったご病気はなく運動機能は問題なし・・・ということでとにかくよく動かれていました。悪く言えば絶えず落ち着かず、口にする言葉は「帰らせてくれ~」(いわゆる帰宅願望と呼ばれているものです)と、時に窓ガラスをドンドン叩いては他のご利用者様がビックリするというようなご様子でした。

輝く時間を取り戻す!

そんなB様でしたが、活き活きとされる場面がありました。
(この活き活きとされる場面・関わりは介護福祉士をはじめとする当時の介護チームの試行錯誤による中から発見したものでした)
それは戦争時代のゼロ戦(飛行機)作りの話をされるときでした。

ゼロ戦を作る工場で働いていたB様は、職員から「ゼロ戦のことを教えてください」とお願いすると、紙と鉛筆を持って落ち着いて座ってゼロ戦の絵を描きはじめ、まさに活き活きと「この辺りが特徴で・・・」と飛行機作りの先生のように30分間は話をされるのでした。

その間職員1人がお話にお付き合いをしなければいけない状況にはなりますが、当時は介護福祉士のリーダーから事務員や上司の管理職にもお話のお付き合いをお願いして(いわゆる傾聴というものです)、そのうちボランティアさんにお願いして(とにかく同じ話をうなづいて聞くだけだったので)なんとか日中穏やかにお過ごししていただけるようになったのです。

遺影にはデイサービスセンターで撮った写真を使ってくださったご家族様

コミュニケーション
そんなB様の突然の訃報がやってきました。デイサービスセンターに電話で連絡があり、ご家族様から「前の日の夕方、突然『母親に会いたいな~』と言い出した、普通に寝たが朝起きてこなかったので様子を見にいったら息をしていなかった、でも笑いながら寝ているかのような表情だった」とのことでした。

この前まで元気にゼロ戦の話をしていたB様。
介護チームは関わりが深くなっていただけに、突然の悲しみに涙する職員もいました。

そのお通夜にユニフォーム姿で何人かの職員と列席させていただき、場面が落ち着いた頃、ご家族様より「あの写真はデイサービスセンターからもらった写真を使わせてもらったんですよ」「晩年は、家では認知症がひどくってたいした写真は残ってなかったんですが、デイサービスセンターからいただいた写真はいつもとても活き活きとした表情をしていたので」とのこと。B様がゼロ戦の話を活き活きと話をされていたときの写真を使ってくださったのでした。

まとめ

このように、ご利用者様の輝く時間・場面を引き出すのも介護福祉士の大切な仕事だと私は思っています。介護の魅力はこんなところにもあると思います。

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