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ご利用者様との思い出話3その①。若年性アルツハイマー型認知症との関わり

この思い出は私が以前働いていたデイサービスセンター(日中のみの介護)でのこと、私がまだ20代の頃の思い出です。
新規のご利用者様で、50代男性で若年性アルツハイマー型認知症と診断をされていたD様をそのデイサービスセンターではお受け入れいたしました。

ご家族様が倒れないために、私達ができることはその方をお受け入れすること

今でこそ、テレビなどのメディアや本で若年性アルツハイマー型認知症のことが報道される機会が多くなり、またインターネット普及の時代となりそのような病気に対する情報も得る機会が増えましたが、当時は“認知症”という言葉でさえ一般的にはまだ定着していないような時代(認知症と呼ばれる前の“痴呆”という言葉も多少使われていたような時代でした)、若年性アルツハイマー型認知症に対する情報としては「老年期のアルツハイマー型認知症に比べて、若年性は進行がはやい」といった程度でした。

情報源が少ないという点で何よりも苦労されたのはご家族様だったのではないかと思います。新規でご利用開始になる直前、担当されていたケアマネージャーさんからの情報では「主の介護者である奥様が介護疲れか痩せてきてしまっている、なんとか助けてほしい」といった内容でした。

デイサービスセンターの介護チームとしては「D様を日中介護することで、介護者である奥様を助けたい」といった思いでのD様のお受け入れを開始しました。

今ほど情報がない中で、関わり方の試行錯誤の日々

車いす
D様は50代だったので、例えば80代のご利用者様に比べると体力がありあまっているご様子でした。そして周囲に同世代がいない環境のためかデイサービスセンターの雰囲気になじめないD様、若年性アルツハイマー型認知症の進行途中ということもあってか、奥様の職場の場所はなんとなく覚えているご様子で、ご利用のたびに「妻の仕事があっちの方で・・・」と外へ行きたい様子でした。

今、当時のことを思うと若年性アルツハイマー型認知症というご病気に対する正しい知識や適切な関わり方に対する情報が不足していたのだと思いますが、当初デイサービスセンター介護チームはお声かけをしながら何とかデイサービスセンターの中でお過ごしいただく方法を試行錯誤していましたが、いっこうに上手くいかずD様は出入り口や窓ガラスをドンドン叩いたりしてイライラ(不穏)なご様子になることが多々ありました。

現代ではテレビなどのメディアで報道される若年性アルツハイマー型認知症の事は、どちらかというとキレイな事例が多いと感じます。
(それらを批判するわけではありませんので誤解のないようにお願いします)

それに比べるとD様に対するデイサービスセンター介護チームの関わりは、決してキレイ事とは言えない上手くいかない試行錯誤の連続でした。

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