研修体験談「業者も感じていた、食と排泄の関係」食と排泄のコラボ研修

介護士の業界にも様々な研修があります。
日々の介護現場をかかえながらなので、年間通して何回も研修受講できるわけではありませんが、「研修を受ける」→「外に目が向く」→「介護士としての日々の自分を省みるきっかけとなる」「同じチームで働く介護士仲間に研修内容をフィードバックして、チームとしてのスキルアップを目指す」等々、研修を受けることで様々なプラス効果が期待できます。

今回の記事では、視点が変わった研修体験談として「業者も感じていた、食と排泄の関係」という内容をご紹介します。

介護業界がおつきあいする業者（メーカー）について

話は全く別の切り口から入ります。
介護士の仕事は簡単に言えば「ご利用者様の介護全般」です。そのご利用者様を介護（介助）するのにあたり、介護士は様々な物品を使用しています。
例えば排泄介助（おむつ交換等）であれば、紙おむつはもちろんのこと、紙おむつやリハビリパンツの中にセットする尿とりパットなどを使用します。
食事介助であれば、ご利用者様の自立支援をうながすための自助スプーンであったり、介助用食器（すべり止め等がついていて、動きにくい食器）などを使用します。
口腔ケアなどではスポンジブラシ、義歯洗浄剤など、ご利用者様の介護をするのにあたり、様々な場面で様々な物品を使用しています。

特に介護経験３年以上ともなり、中堅職になってくると、例えば物品の発注担当をまかさせる介護士も出てきます。
物品の発注担当になると、どのような業者（メーカー）と関わりがあるのか、より理解できるようになります。

対応してくれる業者がいなければ、介護の仕事は成り立たない

前述のとおり、ご利用者様に介護を提供していくうえでは、様々な物品を使用します。そのような物品は施設経費（物によってはご利用者様負担）で購入します。

このとき、業者（メーカー）から見れば、介護施設は顧客（ユーザー）になります。
業者（メーカー）もまた、顧客（ユーザー）がいなければ、仕事（商売）は成り立ちません。

業者（メーカー）としては、いかに自社製品を買ってもらうか、そのために営業をしています。その一環に介護士向けの研修を開催する業者（メーカー）も増えてきました。

食べる出るのあたり前の重要性

導入が長くなってしまいましたが、話は、私が先日ある大手おむつメーカーから案内を受け、実際に出席してきた研修の体験談です。

大手おむつメーカーの担当者が持ってきた研修案内は「おむつメーカーと某大手食品メーカーのコラボ研修」でありテーマは「食と排泄の関係性」でした。今回の研修はあくまでもおむつメーカーからの発信でしたが、担当者（営業マン）が言っていたのは「高齢者の排泄を考えたときに、食はとても重要な視点です」ということです。

汚い表現にはなってしまいますが、一般成人にとってあたり前の「食べる」「出す（排泄する）」といった営みも、高齢で要介護状態のご利用者様にとっては困難になる場合もあります。私自身も興味があるテーマだったので、研修に参加してきました。
余談ですが、研修費は無料、業者としては顧客（ユーザー）に多く研修に参加してもらい、自社製品を買ってもらえるのであれば、それくらいの費用は惜しまないという考え方だったようです。

食事摂取→排泄→健康は費用削減にもつながる

今回の研修で学んだことの１つにはこんな内容もありました。
簡単に言うと「ご利用者様が、ある程度健康状態を維持できれば、補助食品やおむつを使う頻度も少なくなり、結果的に経費削減にもつながる」という事です。

費用削減という点が、いきなり前に出てしまうと、純粋にご利用者様のために働いている介護士にとっては違和感があるかもしれません（お金の話なので）。
でも、削減できる経費は節約する、それがご利用者様の健康状態に関係してくると思うと、ご利用者様の健康状態を適切に支援することは、結果的に施設の経費を削減することになると考えていくと、無視できない視点であるとも感じました。

業者（メーカー）からの視点で気づかされた事

今回参加した研修は、食と排泄のコラボ研修ではありましたが、面白いと思ったのは「食とおむつ、それぞれは全く別の商品を扱っているが、それぞれが歩み寄り今回の研修を実現させた」という点です。

話はまた変わってしまいますが、このような視点（考え方）は、介護施設における「他職種協働」という考え方にとても似ていると思いました。

つまり専門分野が違っても、ご利用者様のために違う分野の者どうしが協力して、お１人のご利用者様の生活を支えるという視点がとても大切だということにあらためて気づかされました。

まとめ

いかがでしたか？
研修の体験談として、少し変わった研修を受けてきた内容をご紹介しましたが、食と排泄は密接な関係にあるということに改めて気づかされ、また経費削減や他職種協働という点もあらためて意識する研修になりました。
今回ご紹介した体験談が、介護士の方々の研修受講の参考になれば幸いです。