介護士コラム～体験談～

管理職に疲れてしまった方へ。現場に戻って自己再生を試みよう！

介護業界において、あこがれの管理職（事業所の管理者など）に就いたものの、様々な事情で疲れてしまい、退職や転職を考えてしまう管理職の方は少なくないと聞きます。
管理職には様々な要素が求められる分、その企業・法人の考え方によっては、管理職に対するプレッシャーが多くなるケースもあります。

そんな「管理職として勤めることに疲れてしまった」と感じている方に、今回は私の実体験を交えて「現場に戻って自己再生する」という内容をお伝えいたします。

介護事業は、基本的に介護保険制度の下の事業です。
介護保険が始まる前は、措置制度と呼ばれ、介護事業・高齢事業においては事業種別ごとの違いはあるものの、措置制度の事業収入は毎月決まった金額が固定で入ってくるようなものでした。

しかし2000年に介護保険制度がスタートし、どの介護保険事業においても、基本的にはご利用者様に利用していただいた実績分の収入しか得ることができなくなりました。

その為、どの介護保険事業においても稼働が重視されるような風潮になってきました。
介護事業において「稼働率」という言葉が頻繁に使われるようになったのは介護保険制度がスタートしてからのことです。

また、介護保険制度がスタートして以降、介護保険制度前は介護事業に参入できなかった株式会社や有限会社などの法人格の企業でも介護事業に参入できるようになりました。

株式会社や有限会社は端的に言えば「利益を生み続けないと企業はつぶれる」という性質をもちます。
すべての株式会社や有限会社が徹底した儲け主義ではありませんが、どの介護事業を行うにしてもある程度の稼働率が見込めなければ、その企業は、企業を維持することができません。

そのため、介護事業の管理職に求められるものの１つに「稼働率」があり、稼働率が上がらない事業所の管理職は、時に結果や責任を求められるようになったのです。

この点が、介護福祉士ベースの管理職の方などには、今まであまり意識してなかった方もいます。
また企業の上役から「稼働率を上げろ」と厳しく言われて、プレッシャーになってしまう方もいます。

また管理職になると「数字を読めるようにならないといけない」といったような、経理や財務の内容を理解できるように求められるケースも多くあります。
これは、介護現場の事だけを考えていればよいという立場とは異なります。

介護福祉士ベースの管理職の方は、もともと事務仕事が苦手（だからこそ介護福祉士になった方は多いです）な方、数字を見るのが苦手な方が多いですが、管理職となると「介護現場のことも見ないといけない」し「事業にかかわる経費のことも見ないといけない」という立場に立たされるケースが多いです。

それでも、部下に優秀な経理マンがいるなど、サポート体制が整っていれば良いのですが、サポート体制が整ってない場合など、数字が苦手な管理職が数字的な事柄を丸がかえしないといけない場合があり、このような場合、管理職は苦しむことになってしまいます。

入所施設の管理職に多いのは、ご利用者様の急変等で深夜・休日問わず、電話がかかってきては施設に呼び出されてしまうというケースです。

緊急出勤して代休が取れればよいのですが、現実は厳しく、代休をとっていられない管理職も多く、気がつけば休みなく働き続け、心身とも疲れてしまっている管理職の方もいます。

上記で紹介した要因から、管理職に疲れてしまう方も介護業界には少なくありません。
管理職に疲れ、退職や転職を考えてしまう方もいます。

そのような方は、給料の折り合い等がつくようなら、あえて介護現場に戻ってみることをおすすめします。
これは、私の実体験でもあります。

私も過去、管理職に就いたものの、稼働率や経理のプレッシャーによって退職を考えた時期がありました。
そのとき、当時の上司のはからいで期間限定で介護現場に戻ったことがあります。

介護現場に戻って感じた事は「介護は楽しい」「介護っていいものだ」という思いでした。
学校を卒業して、国家資格も取得していない真っ新の介護職員だった頃の新鮮な気持ちを思い出すことができたのです。

そして「介護事業の管理職は、介護現場のための仕事である」という基本的なことを体験的に学ぶことができたのでした。

介護業界の管理職は、介護現場とは違った苦労があります。企業・法人の考え方次第では、管理職は時に苦しい立場に立たされることもあります。
しかし、頑張ってたどり着いた管理職のポスト、簡単に手放したくないと思う方は多くいらっしゃるかと思います。

そのようなときは、もし許されるのであれば、介護現場に戻ってみることをおすすめします。
介護現場に戻ると、介護の仕事を目指した頃の新鮮な気持ちを思い出し、疲れきった心身を自己再生することができます。

今回ご紹介した内容が、介護業界の管理職に疲れてしまった方にとって参考になれば幸いです。