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介護士コラム~体験談~

徘徊感知器は認知症高齢者に有効なのか?

認知症による問題行動の中でも、家族が一番頭を悩ませるのは「徘徊」です。
周りの人間がいくら一人で出歩かないように本人に言っても意味はなく、部屋や家の鍵をかけておいても、家族の隙を見て外に出てしまうので、どう対応したら良いのか困っている家族の方は多いです。

最近では認知症の高齢者に徘徊感知器を使用している家族の方も増えてきました。
感知器を利用する事で、徘徊防止には繋がるのでしょうか?

徘徊による家族の負担

施設に入所している認知症の方が自宅で過ごせなくなった原因の多くは「徘徊」です。
体が不自由になったり、寝たきりになった場合でも、家族に負担はかかりますが、デイサービスやホームヘルパーなどを上手く利用する事で、多くの場合は自宅介護が可能になります。

反対に高齢者の体が元気でも、認知症によって徘徊がひどくなってしまうと、様々な問題が出てきて自宅介護は困難になります。
問題行動としては、一人で家を出たまま帰って来ない、夜中に勝手に家を出て行く、などがあります。
道に迷って歩き疲れている所を警察に保護されるという事も多くなってきます。

高齢者が道に迷って自宅に帰れなくなってしまった場合、どこかで怪我をしたり、事故に合っているのではないか、と家族は心配し警察に捜索願いを出したり、自分も探しに行かなければいけなくなり、家族の負担と大変さは相当なものになります。

玄関に行くと音がなるセンサーなどをつけていても、24時間ずっとすぐに駆けつけられる訳ではありませんし、足が元気な高齢者の場合はすぐにいなくなってしまうので、徘徊がひどい場合はあまり効果がないかもしれません。

どのような徘徊感知器が良いのか

人が通った時に音が鳴るだけのセンサーだと、タイミングが悪い場合は家族が気づかない場合もあります。
認知症の方のために作られた徘徊感知器は、人物を感知すると設置してあるカメラに人物が写るようになっています。

そして、家族がそこに設置してあるスピーカーから、声をかける事ができるようになっているので、すぐに玄関まで行けない時でも、徘徊を防止する事ができます。
また、GPS付機能付きの徘徊感知器もあるので、もし家の外に出てしまい、見失ってしまった場合でも短時間で、居場所を見つける事ができます。
「外に出たい」と思っている認知症の方は、玄関だけでなく、普段は使わないような窓からでも外に出てしまうので、GPS機能のある徘徊感知器をお勧めします。

感知器を使用しても、家族の負担はあまり変わらない

徘徊感知器を利用する事で家族の負担は軽減するのでしょうか?
少しは安心感と手間が減るかもしれませんが、基本的に負担はあまり変わらないかもしれません。

徘徊感知器を使用する目的は、「高齢者の方の安全を守る」という事だと思います。
しかし、そのためには高齢者を保護する家族の手がどうしても必要です。
いくら感知器を使用しても、対応する家族、探しにくる家族がいなければ、感知器は本来の目的を果たしません。

徘徊感知器を使用しても、「徘徊行動」は変わらないので、家族の負担は変わらないのです。
しかし、高齢者が事故や事件に巻き込まれるのを防ぐ確立は上がるので、徘徊がひどい場合は、感知器は必要なものだと思います。

徘徊による事故を防ぐにはどのようにしたら良いのか?

徘徊による事故や事件を防ぐためには、感知器を利用しながら、家族が常に見守りをする事だと思います。
しかし、何年もその生活が続いては家族の方が疲れきってしまいます。
最近は近所付き合いも希薄になってしまい、自分の家の事、(家族が認知症になってしまったという事)は、あまり人に知られたくない、と思っている人も多いと思います。
しかし、育児や介護は家族だけで頑張るのには限界があります。

近所に顔見知りの人がいれば、事情を説明し、もし自分の認知症の家族が一人で歩いていたら、声をかけてもらうか、自分に連絡をくれるように一声かけておくのが良いと思います。

まとめ

最近は、認知症の高齢者が事故で亡くなるという悲しい事件が、たびたびテレビでも取り上げられています。
また、高齢化で「自分の親や身内に認知症の人がいる」という人も増えてきており、認知症の方に対する世間の目も以前とは変わってきています。

以前は「あまりかかわりたくない」という風潮でしたが、現在は「地域で高齢者を見守って行こう」という声も上がってきています。
認知症の家族は、「事故や事件に巻き込まれるのが心配」というだけでなく、「あまり他人に迷惑をかけたくない」という理由で、外出に消極的な場合が多いですが、家にずっと居ては、ストレスで徘徊がひどくなってしまう場合もあります。

一緒に地域の行事ごとに参加するなどして、地域と関わりを持つようにすると、本人や家族も気分転換になり、同じ悩みを持つ人に相談する事もできます。
「困った時はお互い様」と思うようにしましょう。

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