介護でやりがいを感じる時はどんな時？

きつい、汚い、給料が安い、などと言われる介護職。確かに、精神的にも体力的にも大変な事は多い仕事です、ですが、ずっと長い間介護職を続けてきて「介護の仕事が好き」という人もたくさんいます。
みなさん、介護のどんなところに「やりがい」を感じているのでしょうか？

利用者の方とコミュニケーションがとれた時

介護は「人のお世話をする仕事」です。
大変な事も多いですが、やはり利用者の方に「ありがとう」と言われる瞬間が、一番やりがいを感じる時だと思います。

しかし、中には、そんな言葉のコミュニケーション自体がとれない方もいます。
寝たきりで話す事ができなかったり、認知症が重く、会話が成立しないなど、意思の疎通ができない人も多いのです。
自立度の高い方でも、特に最初の頃はお互いに警戒心がありますから、利用者の方もなかなか心を開いてくれません。

そんな方でも、少しづつ慣れてくると、介護をしている中で、ふと会話ができたり、笑いかけてくれる時があります。直接「ありがとう」という言葉はなくても、普段見る事のできない笑顔や会話ができただけで、お世話をしていて良かったと、うれしく思うのです。

最初は距離があった利用者の方に信頼された時

利用者の方にもいろんな方がいます。
中には気難しい方もいて、最初から冷たくされたり、嫌がらせや、悪口を言ってくる人もいます。職員も人間ですから、腹がたったり、傷ついたりする事もあります。
「この人とは合わない」と決め付けて、必要以上に関わらないようにする事は簡単ですが、それでは何も得るものがありません。

自分から積極的にコミュニケーションをとるようにする事で、信頼関係が少しづつできてくると、利用者の方の態度も変わってきます。
また、遠慮して自分の思いを口にできなかった人が「これをしてほしい」と言ってきてくれるようになったら、それも自分を信頼してきてくれたという事です。
介護の仕事は人と深く関わる仕事ですから、信頼された時が、特にやりがいを感じます。

家族に頼りにされる時

利用者の家族の方には、親戚や友人にも自分の親の事を相談できずに、悩んでいる方も多くいます。
昔は、誰からも好かれる自慢の母親だったのに、認知症がひどくなってからは、暴言を吐くようになったり、暴力を振るううようになった、こんな事は他の人には知られたくないし、相談できない・・と一人で悩んでいる家族の方も多いのです。
また、事情があって自分で面倒を見れない事に負い目を感じている家族の方も多いです。

面会に来られた家族の方から、よく最近の利用者の方の様子などをきかれたり、「よろしくお願いします」という事もよく言われ、頼りにされる事は多いです。
また、誕生日会などの行事事で、家族の方が施設に来られた際は、利用者の方も家族の方も喜んでくれるので、職員もやりがいを感じる瞬間です。

自分が以前はできなかった事が、できるようになった時

これは、介護以外の事でも言える事ですが、以前はできなかった事が、当たり前にできるようになると、さらに仕事にやりがいを感じます。

最初の頃は認知症の方の行動に戸惑っているばかりだったのが、何があっても冷静に対処できるようになった時や、病気や薬に詳しくなって、利用者の方の状況を素早く理解できるようになった時など、自分の成長を、自分で実感できた時はうれしいものです。

利用者の方を最後までお世話できた時

特養は終の棲家なので、一度入所すると、最後まで施設で暮らす事になります。
急変で病院に行く時以外は、施設で最後を迎えるのです。
長い方になると10年近く、ずっと特養で生活している方もいます。
そのくらい長い付き合いになると、職員とも家族のように親しくなってくるので、亡くなられた時は、職員も寂しく辛いのですが、同時に「最後まで看てあげる事ができてよかった」という思いにもなります。

病院で亡くなられる方は、病気で苦しんで亡くなられる方がほとんどですが、特養の場合は、「老衰」で亡くなられる方も多いので、よけいにそう思うのかもしれません。
人間はいつか必ず死んでしまいますから、「死」は必ずしも悲しい事ではないと思うのです。

まとめ

まったく介護の経験のない人は、「介護の仕事」に対して、奉仕的なイメージを持っている人も多いと思います。
介護職員はいつも笑顔で、利用者の人に「ありがとう」と言ってもらえる。
それが理想ですが、実際は、認知症の方に自分が悪くないのに、一方的に怒られたり、時には暴力を振るわれたり、理不尽な事はたくさんあります。

実際、介護の仕事に就いてみて、仕事の大変さについていけず辞める人も結構います。
それでも、中には他の仕事は長続きしなかったけど、介護の仕事は長く続ける事ができたという人もいます。
精神的にも、体力的にも大変な仕事ですが、その大変さ以上に、介護でしか経験できない大きなやりがいを感じている人も大勢いるのです。