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介護士のお仕事

夜間徘徊する方の対処方法について

グループホームや介護施設では認知症の方が多く入所しており、夜間徘徊をする利用者には多くの職員が頭を悩ませた経験があるでしょう。
他の利用者へ迷惑をかけることなく、転倒などの恐れもほとんどない方であれば、徘徊の理由によっては疲れるまで自由に歩いていただいたら良いのでしょうが、徘徊する癖のある方にはそうでない場合が多いので困ってしまいますよね。

拘束するわけにもいかないし、業務もあるので付きっ切りというわけにもいきません。
職員もイライラしますし、それが利用者に伝われば悪循環、どうしたらよいのでしょうか。

その人を良く知り、なぜ徘徊しているのかを理解することが解決のカギとなります。
では具体的にどういう対応が適切でしょうか。

 

認知症でも理由なく徘徊したりしない

認知症は、物事の区別や判断などをする能力が、脳の病気によって低下してしまう症状であって、思考を失うものではありません。

職員から見ての夜間徘徊は、本人にとっては「朝のお散歩」や「帰宅中」かもしれません。
同じところをグルグルと回っているだけであっても、同じところを歩いたことを忘れてしまっていればそこは新しい道であり、「進んでいる」のです。

例えば、職場からの帰りに暗い夜道を歩いているとき、「もう夜ですよ、寝てください。」と言われたら、あなたはどう思いますか?
徘徊者本人と介護職員の見ている世界が違うため、分かり合えずに対処ができないのです。
徘徊をやめてもらうには、その人本人がなぜ徘徊しているのか知り、それを解決してさしあげなければなりません。
徘徊する理由を知るためには、その人の習慣や背景などを普段からよく知っておく必要があります。

「夜」の判別ができないケース

夜勤

施設などに住むお年寄りは外出する機会も少なく、建物の中でほとんどの時間を過ごすため、一日のサイクルが分かりにくくなっています。
おまけに認知症であればこれの判別は更に難しく、消灯しても比較的明るい施設内では「夜」ということが認識しづらくなります。

これを認識してもらうために言葉で「夜です」「22時です」などと申し上げても、分かってもらえるのはその一瞬だけであり、徘徊を止める手段にはなりませんので、論理的な理解を求めるよりも、感覚的に認識してもらえる工夫をしましょう。
照明を暗めのものに切り替えるほか、職員の話し方も日中よりトーンを落とす、などのことです。

この他に、その人本人の寝る前の習慣などをおこなうと良いでしょう。
例えば、施設では食事の直後に口腔ケアをおこなう場合が多いかと思いますが、その利用者が施設に入所する前は寝る直前に歯磨きをしていたかもしれません。
パジャマなどの更衣やベッドのメイキングなども、以前の習慣の順におこなうだけでも「もう寝る時間だな」と認識しやすくなります。

探し物が見つからないケース

翌日着る服を準備してから寝る習慣のあった方が「服が無い」と徘徊していれば枕元に服を置くなど、物を探して徘徊する場合は物や代用品を用意することで解決することがありますが、困ったことに「うちの子まだ帰っとらん」など用意が難しいものを探して徘徊されるときは、対応が非常に難しくなります。

職員からみて「うちの子」とは、大人になった利用者の子であり「帰ってくる」年齢ではありませんが、こういう場合に利用者がいう「うちの子」とは、まだまだ手のかかる心配な子供です。

本当に自分の子どもが行方不明な時、あなたは寝ていられますか?

これを想像していただければ、徘徊する利用者のおかれている状況が理解できると思います。とても「寝てください」とは言えませんよね。
深夜にお子さんを呼ぶわけにはいきませんし、そもそもどうして急に「うちの子」のことを考えだしてしまったのかに焦点を当ててみてください。

手のかかる子供を育てていた時期というのは、人生の中で忙しくも充実し、利用者本人にとって一番輝いていた時期です。いろんなことができなくなって施設に入り、寂しい、情けない、という気持ちをお持ちではないでしょうか。

こういうケースでは、少しお話を聞いて落ち着いていただくと「おやすみね」と自ら就寝されることが多いです。

まとめ

深夜徘徊には必ず本人なりの理由があります。
その理由は本人以外には非常に分かりにくいものであり、話しても分かり合えず職員や介助者は対応に疲れてしまいます。

徘徊の問題を解決するには徘徊の理由を知ることが必要で、徘徊の理由を解決するには伝える工夫が必要です。
認知症の方の徘徊の本当の理由はその時の会話だけではわかりません。日々の生活や過去の背景からその人のことをよく知り、理解しようとしなければ分からないものです。

理解ができればどうしたら安心してもらえるのか、言葉で分かって頂けないことを認識してもらうためにどんな工夫をしたらよいかも分かってきます。
話の筋道や現実の出来事などはではなく、今の本人にとって起きている真実を、その世界で解決するのがポイントです。

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