介護士のお仕事
認知症について徹底解説
- 2017.10.19 @ 新着
- 介護士のお仕事
65歳以上の高齢者の5人に1人はかかると言われている認知症、ヒトの最も重要な身体の一部である脳に異常をもたらす恐ろしい病で、その上現在のところ完治は不可能です。
症状の現れ方によっては本人だけでなく家族なども困窮してしまうことがあり、高齢化社会としても度々話題に上がる大きな問題です。
しかし完治のための治療法は確立されていないものの、認知症も早期発見と適切な対策で今後の生活の質が落ちるスピードを落とすことが可能であり、工夫によってこれまでと大きくは変わらない生活を続けることができるかもしれません。
脳のどこに問題があるのか、その原因は何かによって、認知症の種類が分けられます。
種類ごとの傾向や特徴を知り、より良い生活に役立ててくださいね。
アルツハイマー型認知症
脳の神経細胞の破壊により認知障害を発症するのが、アルツハイマー型認知症です。
認知症の約60%を占め、傾向としては年々増加しています。性別では男性よりも女性に多い認知症です。
薬によって症状を和らげ進行を遅らせることができますので、発見のタイミングが早ければ早いほど、自立度の高い生活を続けられる可能性も高くなります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症はアルツハイマー型ほど多くはありませんが、3大認知症の一つと言われ、全体の15%を占めています。
女性より男性に多い認知症で、大きな特徴としては、早期から幻覚・幻視の症状があります。
また、一歩目が出辛く小股での歩き方をする、動作が遅いなど、パーキンソン病に似た症状が出るのも特徴です。
レビー小体型認知症の進行は、一歩下がって二歩進む、というように調子の良い時と悪い時を繰り返しながら進行していきますが、ある時急激に進行してしまうことがあります。
脳血管性認知症
脳血管性認知症も3大認知症の一つで、全体の約14%を占めます。
アルツハイマー型やレビー小体型と違い、脳内の物質が神経細胞を破壊するのではなく、脳の血管が出血や詰まりを起こすことで酸素が送られず、細胞が壊死してしまい認知症を引き起こすものですので、脳梗塞や脳出血などが主な原因です。
まだら認知症と言われる、症状のむらがある認知症になりやすいのもこの認知症です。
前頭側頭型認知症
前頭葉と側頭葉の萎縮による認知症で、一般的に言われる「認知症」の症状が出ないことも多く、精神疾患と間違えられることがあります。
具体的には、理性的な言動をとることが難しく、考えるという行為ができなくなります。
目の前の食べ物を全て食べてしまう・暴力・万引きなどをしても反省することができない、質問に対し、考えて適切な返答をすることができない、などの非社会的行為を繰り返し、物忘れなどの「いわゆる認知症」の症状とは違うものとなります。
以前はこんな人ではなかったのに…と感じたら受診してもらうのが良いですが、素直に「あなた変だから病院へ行きましょう」と言っても聞く耳を持ってもらえないことがあります。
こういった場合には「今度健康診断に行くのだけれど、あなたも一緒にどう?」など、誘い方に少し工夫をしてみるとよいでしょう。
若年性認知症
65歳未満の認知症を若年性認知症と言います。
若年性認知症の中でもアルツハイマー型と脳血管型が多く、3大認知症の一つであるレビー小体型は比較的少数です。
多量の飲酒を続けたことによって脳が委縮するとされているアルコール性認知症や、事故などで脳に損傷を受けた後遺症による認知症も存在します。
若くして認知症となってしまうこと自体が大変ショッキングなことではありますが、若年性認知症の問題点として発見が遅れがちであることも挙げられます。
発症年齢の平均は60歳前後ですが、今の日本での60歳は本人としてもまだまだ現役・まだまだ若い、という認識が高く、他人から見ても、会社の頼れる上司であったり、年齢を感じさせない若々しい姿であったりすることが原因で認知症とは本人も周囲の人々も夢にも思わず、発見が遅れてしまうケースが多々あります。
失敗の少ないやり手の社員が忘れ物をするようになる・締め切りを守らなくなってしまった、などの問題点が浮上するようになったら、上司の管理能力や本人の精神的ストレスだけの問題ではないかもしれません。
まとめ
認知症と言えば物忘れや迷子などが代表的な初期症状ではありますが、中には非行を繰り返すようになる・鬱っぽくなる・身体が思うように動かなくなるなどの、いわゆる認知症初期症状とは違う症状が現れることがあります。
また、認知症を疑って受診してもこのような症状から更年期障害や自律神経失調症などと誤診されてしまい、発見が遅れてしまう場合もあります。
認知症は早期発見が今後の生活の質に大きく貢献しますので、ちょっと変だな、と思ったら早めに受診し、処方薬が合っていない場合も早めに再受診しましょう。
特にアルツハイマー型認知症は罹患率が高く、中でも服薬での症状緩和がしやすい認知症です。
発見が早ければ早いほど今後の生活がしやすくなりますので、恐れずに早期発見に努めましょう。
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