寝たきり高齢者の食事の注意点

寝たきりになって自分の体が思うように動かなくなってくると「食事が唯一の楽しみ」になってくる事が多いです。
安全、安心に食事をしてもらえるように介護士はどのようなサポートができるのでしょうか？

食事をする時の体勢に気をつける

通常、食事をする際は、椅子などに座って90度の角度で食べるのが理想です。
きちんとした姿勢で食事をする事で、誤嚥を防いだり、胃に負担がかからないようにする事ができるのです。
できれば、ベットから起き上がり、ベットの端に足を出して座ってもらう形で食べてもらうのが良いと思います。しかし、ベットで寝たきりの方の場合、ベットにきちんとした姿勢で座って食べるという事が難しい場合もあると思います。

その場合は、本人が食べやすい姿勢、楽な姿勢になるように、ベットのリクライニングを調整したり、クッションなどで、体を固定するようにします。
体の拘縮があり、前傾姿勢になっている人の場合は、リクライニングの角度を低くした方が楽な場合もあります。
基本の姿勢にこだわらずに、その方の症状にあった姿勢になるように工夫して、楽に食べてもらえるようにします。

自分で食事ができる方の場合でも、近くで見守るか、時々様子を見るようにして下さい。
体勢が崩れた場合に、自分では元に戻せない場合もあるからです。
食事介助の場合は、相手のペースに合わせてゆっくりと食べてもらうようにします。
寝たきりで、腹筋や背筋の筋力が落ちてしまうと、座っているだけで疲れてしまう事もあるので、途中で様子をみながら、体勢を変えてあげると良いと思います。

食事の形態に気をつける

寝たきりの高齢者の方は、固いものを食べる事が難しくなっている方が多いです。
固いものや、大きいものは喉に詰めやすいので、なるべく食べやすい大きさで柔らかい食事にするといいと思います。固いものを食べる時をよく噛んでもらい、きちんと飲み込めたか確認してから食事を勧めて下さい。

味噌汁や、スープなどの汁物は、咽たりしやすいので、頻繁に咽る方の場合は片栗粉などでとろみをつけるようにすると咽にくくなります。
とろみでも咽るようなら、ゼリーのように固めたものを食べてもらい、水分が不足しないように気をつけます。

口腔ケアをしっかりとする

寝たきりになってくると、口腔ケアをしっかりするように気をつけなければいけません。、高齢になってくると、唾液の量が減るため、若い時よりも虫歯になるリスクが増えていきます。
まだ自分の歯がある方の場合は、残っている歯をしっかりと磨きましょう。
入れ歯の場合も、毎日洗浄剤で消毒をするようにします。

高齢者の方の中には、寝たきりになると「入れ歯はめんどくさいから、しなくてもいい」という人がいます。
歯がほとんど無い場合でも歯茎で食べたりする人はいますが、きちんと噛む事ができないため、誤嚥の危険性もありますし、噛むという行為は、脳の活性化にも繋がると言われており、入れ歯の場合でも、歯がないよりは、使った方がいいと言われています。
きちんと自分に合った入れ歯を使うようにしましょう。

また、一番気をつけなければいけないのが、口に残った食材での誤嚥や窒息です。
食事の後に口の中に食べかすが残っていたりすると、ベットに寝た時に喉に詰まって窒息してしまう可能性もあるのです。
毎回、朝昼晩の食事のたびに口腔ケアはするようにして下さい。
きちんとした口腔ケアで、誤嚥性肺炎になるリスクを減らす事もできます。
利用者の方が、歯ブラシを拒否する、嫌がる場合は、ガーゼなどで口腔内を拭き取り、清潔にしておきます。
きちんと口腔ケアをしていないと、舌の苔が真っ白になってとれなくなってしまう場合もあるので、日頃のケアを怠らないようにして下さい。

カロリーを取り過ぎないように気をつける

高齢者の場合、一日に必要なカロリーは1500キロカロリーほどと言われています。
しかし、これは、日常生活を自分でする事ができる方の場合です。
寝たきりになると、カロリーをほとんど使わなくなるので、毎日1500キロカロリーだと、人によっては摂り過ぎている場合もあります。

寝たきりになってしまうと、外出や、趣味なども、自分では思うようにできなくなってしまうので、興味が食事に向きやすくなります。
ついつい食べ過ぎて体重が増加してしまう人がいるのですが、急激な体重増加は、床ずれなどの原因にもなってしまうので、食べすぎには気をつけましょう。

まとめ

介護の仕事は「食事介助」「入浴介助」「排泄介助」の三つが大きく占めます。
中でも食事は、利用者の方が健康で生活するために欠かせないものですので、安心して食事ができるように、介護士は介助の仕方に気をつけるようにしなければいけません。

食事介助は簡単なように見えても、一歩間違うと、利用者の方が窒息したりする危険もあるので、その方に合わせた食事介助をするように気をつけて下さい。