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介護士のお仕事

看取り介護はこわくない!介護士目線による看取り介護のポイント

人が亡くなる場面というと、例えばテレビドラマのように最期に遺言らしき事を近くにいる人に言い残して首がガクッと下がるような場面を想像する方は多いのではないでしょうか。

しかし高齢者施設における看取り介護において、ご利用者様の看取りの場面は、テレビドラマのそのような場面とはずいぶん違いがあります。急変とは違う看取り介護において、ご利用者様は良い意味でゆるやかに穏やかに最期をむかえる方が多いです。遺言を言い残すということはほとんどありません。

今回は、高齢者施設においての介護士目線の看取り介護のポイントについてご紹介します。

複数の職種の専門性に基づく視点

先に述べておきますが、看取り介護は職種によって視点が変わります。これは良い意味で複数の職種がそれぞれの専門性において、専門性に基づいた視点を持っているからです。

認知症高齢者グループホームのように基本介護士中心で医療職が常に勤務していない施設形態もありますが、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどは看護師が日勤在中、夜間オンコール等の体制をとっている施設が多いです。また施設によっては管理栄養士、機能訓練指導員(理学療法士や作業療法士等)が在籍し、良い意味で違った角度からの看取り介護に対する視点が加わる場合があります。

そのような中でも、やはり看取り介護の最前線は介護士です。医療職、リハビリ職ほどの専門性は持ち合わせなくても、介護士という生活全般を支えるうえでの視点を持ちながら看取り介護に関わる事が大切になってきます。

身体介護量は少なくなり、介護士への身体の負担は少なくなる

一般的に、看取り期に入ったご利用者様は活動量が少なくなり、ベッド臥床の時間が増えます。

介護士目線で言えば、ベッド⇔車いす等の移乗介助は少なくなります。(表現が悪くて申し訳ありませんが)ご利用者様を無理して抱えて車いすに座っていただくような介護動作は少なくなります。

ただし、ご利用者様をベッドで放置しておけばよいというわけではありません。ベッド臥床時間が増え、栄養状態も低下しているので、褥瘡発生リスクは高くなります。体位交換、クッション等を用いた下肢の挙上、マットレスを体圧分散タイプに変更するなどの工夫が必要になります。

排泄介助も、ベッド→トイレで排泄という機会は少なくなり、ベッド上でのおむつやパット類の交換が主となってきます。介護士は腰を痛めないように、ベッド上での介助時はベッドの高さを調整して介護士自身への身体の負担を少なくするように心がけるようにしましょう。

入浴は状況次第、清潔保持がポイント

看取り介護においては、入浴の回数は減ってくるのが一般的です。理由は、全身浴がかえって看取り期のご利用者様に身体的負担をかけてしまう場合があるからです。

反面、清潔保持は重要になってきます。看護師が在勤する施設では看護師と相談しながら、シャワー浴や清拭等へと対応を変えていくことが多いです。

ただし清拭の場合は、清拭布に使用するお湯の温度やご利用者様の脱衣方法によって、かえってご利用者様の身体を冷やしてしまう恐れがあります。介護士はこの点に注意して清拭することがポイントになります。

食事介助は無理をしない、時間差提供も検討する

看取り介護における食事介助は、介護士が最も気を遣い、悩む場面になる場合もあります。

看取り期のご利用者様の状態にもよりますが、看取り期は嚥下困難になるご利用者様が多いです。食形態を変えても摂取そのものが難しくなります。看護師や吸引研修修了の介護福祉士によって吸引対応する場合もあります。

食事や水分の摂取有無は、看取り期におけるご利用者様の状態に最も直結する事項となります。(これも表現が悪くて申し訳ないのですが)介護士の心情としては「食べてほしい、飲んでほしい」という善意の心が先行してしまいますが、反面「無理して食べさせたい、飲ませたい」と介助をがんばった結果、ご利用者様が誤嚥性肺炎を発症する恐れもあります。

介護士目線としては、看取り期のご利用者様という認識を持ち、無理しない程度の食事・水分摂取量を心がけることが大切です。

記録の勝負は、バイタルサインに変化の兆候が見られた後

看取り期における記録類について、こまかく記録できるにこしたことはありません。

しかしどの介護現場も限られた介護士数で、ご利用者様を介助し記録を作成するので、看取り期のご利用者様の記録を全部こまかく記録するのは負担が増します。また肝心な記録(変化した時など)が抜けたり、後から記録を確認するときに見つけにくかったりします。

記録は、バイタルサインに変化の兆候が見られた後からこまかく書く等のメリハリをつけることが大切です。

呼吸停止時の連絡先を確認しておく

看取り期における呼吸停止が確認された場合、119番通報をしない場合が多いです。あわてて119番通報しないように、あらかじめ職員間で連絡は誰にするのか(例:看護師、主治医等)をしっかり確認しておきましょう。

まとめ

介護士目線の看取り介護についてポイントをご紹介してきましたがいかがでしたか?看取り介護は決して難しいものではありません。

今回ご紹介した内容が、看取り介護に不安や心配をもっている介護士の方の不安解消に少しでもお役に立てば幸いです。

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