高齢者の口臭を予防するためのポイント

高齢になってくると、不快な口臭が強くなる傾向があります。
口腔のケアも介護士の仕事の一つです。どのような対策をすれば良いのでしょうか？

高齢者の口臭の原因で多いのは？

高齢になってくると口臭がしてしまう大きな原因は「唾液の分泌量の減少」です。
30代から少しずつ唾液の量は減っていくので、30代、40代の若い年代の人でも口臭がする人はいます。

唾液によって常に潤っている赤ちゃんの口の中は、多量の唾液によって口腔内の細菌などが掃除され清潔に保たれているので、口臭はしません。
唾液が減ってしまうと、口の中で細菌が繁殖しやすく、口臭が出てしまうのです。
よく緊張した時に口が渇いて臭くなるのはそのためです。

また、高齢者の場合、目が見えにくいなどの理由で磨き残しがあったり、歯磨き自体めんどくさいという理由で適当に済ましたりする場合が多いので、歯に歯垢が溜まりやすく、溜まった歯垢が口臭の原因になっているのです。
入れ歯や差し歯などは、毎食後とり外してキレイに洗って、就寝の際は洗浄液で消毒をするのが基本ですが、これをきちんとできていない高齢者の方は結構多いです。

口臭を予防するためには？

口臭を予防するためには、まず口腔ケアをきちんとする事です。
自分で歯磨きができる方には自分でやって頂きますが、終わった後には介護士が仕上げ磨きをするようにします。

高齢者は歯だけではなく、舌にも汚れが溜まりやすいです。これも唾液の量が減る事が原因ですが、放っておくと歯ブラシだけではなかなか取れなくなってきます。
ひどい場合は舌の上が真っ白になっている人もいます。そうなる前に舌のケアもしっかり行うようにしましょう。

歯ブラシで磨くよりも効果的なのが、「舌苔用ブラシ」です。平たい形のブラシで、歯ブラシよりも簡単に舌のケアができるようになっています。毎食、歯ブラシの後に舌ブラシを使って使用すると、口臭予防には効果的です。

自分の口の中を見られる事に抵抗のある高齢者の方もいるのですが、上手に声かけしながら、なるべく磨き残しがないように気をつけましょう。
たまに入れ歯をしている方で、歯磨き粉を使って、歯ブラシで入れ歯を磨いている方もいますが、歯磨き粉の中に入っている研磨剤が入れ歯を傷つけてしまい、そこに雑菌が入ってしまう可能性もあるので、止めておいた方がいいです。
入れ歯や差し歯に付いた食べかすや汚れは、水と歯ブラシだけで洗うようにしましょう。

施設の場合は、夜間は職員が入れ歯を洗浄剤につけるなどの管理をしていると思いますが、認知症の方の中には入れ歯をのけるのを嫌がったりする方もいます。
入れ歯はサイズが合っていないと、食べ物がはさまりやすいので、そのままつけた状態で寝てしまうと、口臭の原因になる事はもちろん、食べかすが喉に詰まってしまう可能性もあるので、そのままで寝るのは避けるようにして下さい。

口が渇くと口臭が強くなってしまうので、その際は水分を飲んで口の中を潤すようにすると良いです。ただ、コーヒーなどは返って臭いが強くなってしまう事もあるので、できれば水か薄めのお茶がお勧めです。
水分が苦手であまり飲めない方には飴などを舐めてもらうのも効果的です。
ただ、口の中に残らないように気をつけて下さい。

口腔ケアを気をつけても、良くならない場合は？

水分をマメにとったり、口腔ケアを気をつけても口臭がなくならない場合もあります。
その場合は、胃から臭いが発生しているにかもしれません。
胃腸炎などを起こしている場合、食べたものが胃できちんと消化されず、腐ったような臭いを引き起こす事があります。

また、肝臓の病気になって、肝臓の機能が弱くなったりすると、食べ物や臭いの正常な分解ができなくなり、口臭が強くなってしまいます。

肺炎なども、肺に細菌などが入り炎症が起きてしまう事で、口臭が強くなってきます。
炎症が起きた場所は膿んだりしやすいためです。
高齢者は肺炎になりやすい上に、なっていても自覚症状があまりないため重症化しやすいのです。
このように、臭いの原因が体の不調や、病気にある場合もあるので、口腔ケアをしても口臭が強い場合は、病院での受診をおすすめします。

まとめ

口臭は自分では気づきにくいものです。
高齢者の方も自分では気づいていない方がほとんどですし、臭い自体あまり気にしなくなっている方も多いです。
ですので、周りの介護士が気にかける事が大事です。
しかし、ひどい口臭を放っておくと、虫歯や歯周病が進行して歯を失う事にも繋がります。
歯がないままでいると、噛む力が弱くなり、その結果認知症が進行するなど、悪い影響がでる事がわかっています。
かと言って、あまり高齢になってから入れ歯を作って使用し始めると、なじむのに時間がかかるため食が細くなってしまう方もいます。
残った歯は失う事のないよう、きちんとした口腔ケアをするように介護士は気をつけなければいけません。