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介護士のお仕事

介護認定調査を徹底解説

介護認定調査とは、介護保険のサービスを利用するために必ず必要な手続きです。
本人の動作の確認、本人への簡単な質問、どんな介助をどれくらいの頻度で行っているかを家族等に聞き取りをします。

調査にかかる時間は本人の状態や介護認定調査員のやり方にもよりますが、目安は約1時間で、あらかじめ訪問日時を決めて行われます。

介護保険の申請から結果が出るまでの大まかな流れ

介護認定は新規申請、更新申請、変更申請と3種類あります。
3種類とも、市町村の介護認定調査員による訪問調査があります。

調査員は認定調査の定義に基づき、各項目について選択するのと同時に、特記事項に本人の状況やどのように介護を行っているか、頻度などを記入します。

一次判定は、介護認定調査員が調査の項目のどれを選択したのか、及び主治医意見書に基づき、コンピューターで行われます。

次に保健・医療・福祉の学識経験者により構成される介護認定審査会により、二次判定が行われます。
二次判定では、一次判定の結果と介護認定調査員が書いた特記事項を見て、介護の手間や負担の大きさなどにより、総合的に勘案されます。

結果が出るのは、申請して約1ヶ月後です。

介護認定調査とは

介護認定調査員による認定調査項目は、全部で74項目あります。
項目の多さに驚かれるかもしれませんが、全て細かく質問されるわけではありません。

例えば聴力は、調査時の会話やテレビの音量などから判断します。
実際にどんな項目があるのか細かく知りたい場合、インターネットで「介護認定調査」「項目」などと検索すると出てきます。

身体機能については、基本は動作を確認しますので、家の中や施設に入って本人に実際に動作を行っていただき、簡単な質問をします。
また、家族などから状況を聞き取りします。

市町村(保険者)によって多少調査時期の違いはありますが、入院中に病院で介護認定の調査を行うこともあります。
退院後の家庭での生活を支えるために、入院中から環境整備など準備する場合や、退院後に施設入所を希望している場合などです。

介護認定調査のポイント

介護認定調査では、本人の能力だけでなく、どのような介助がどの程度されているのか、「頻度」が非常に大切なポイントになってきます。

ですから、ご家族は極力同席します。
どうしても同席が困難な場合、ケアマネジャーに同席を依頼して状況を伝えてもらったり、電話で本人の状況を伝えるなど工夫が必要です。

排泄のことや困っていることなど、本人の前で言いにくい内容は、事前にメモに書いておいて調査員に渡したり、別室で話をしたりします。
別室といっても、台所でも玄関先でもどこでもかまいません。

それも難しいときには、後で本人の様子を伝えたいと調査員に伝えると、事務所の連絡先や対応可能時間など教えてくれると思います。
通所サービスに行っている間に、本人の状況や困った言動などを先に説明してもらい、帰宅後引き続き、本人の動作を見てもらうなどというやり方もできます。

また、調査のときに限ってできる、調査のときに限っていつもより動きがいい、ということがよくあります。
たとえば、「いつもは年齢や生年月日を言えないのに、調査のときには言えた」「いつもは壁などに伝いながらふらふら歩くのに、何もつかまらずに歩いた」などは非常に大切な情報です。

日頃の状況との違いは、調査員は伝えてもらわなければわかりません。
調査書には調査時の状況だけでなく、日頃の状況も記載することになっていますので、日頃の状況についても説明してください。そのためにも、同席が望ましいのです。

調査では身体的な状況だけでなく、「盗られ妄想はないか」「物忘れはないか」など、精神的な状況、困りごとについても質問されます。

介護の手間についての考え方

例えば、排尿についての事例です。

トイレで介護者がズボン等の上げ下げをし、排尿後、ペーパーを自分で取って拭くが拭き直しが必要。
水流しも介護者が行う場合、これは介護認定調査の定義に基づくと「一部介助」です。

トイレで全ての行為が自分でできているが、ズボン等が半分くらいしか上がっていないので、本人がトイレから戻ってきてから整える場合も「一部介助」です。
同じ一部介助でも、手間はかなり違います。

透析に通っているなど、1日に1回程度しか排尿がない場合も、夜中に3回介護者も目覚ましをかけて起きて、本人を起こしてトイレに行って介助する場合も、介助する中身が同じ一部介助であるなら、チェックでは同じです。

また、自分でトイレに行きトイレの中での介助は何もないが、紙パンツをはいてほしいと言っても聞いてくれず、週に3回は失禁する。
下着や洋服だけでなく、寝具を洗わないといけなかったり、床も掃除をしなければならないというときは、定義上は頻度で見るため、「介助されていない」になります。

この例でわかる通り、どんな介助をしているのか、どんな状況なのか、頻度はどれくらいか、どの時間帯かなどによって、介護の負担感は大きく変わります。

これは一例ですが、このような介護の手間の重さ、大変さが介護認定の二次判定で勘案されるのです。

まとめ

介護認定調査について、全体的な流れや調査のポイントなど、知っておいていただきたいことを書きました。

特に初回の認定調査でどのようなことを聞かれるか、本人も家族も不安だと思います。
生年月日と年齢を聞きますが、あらかじめ練習する必要は全くありません。

ありのままの姿を見せる、伝えることが認定調査で大切なことになります。

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