実務者研修ではどんなことを学ぶのか

介護福祉士試験が2017年1月より、3年間の介護職として働いた経験の他に、実務者研修が終了している事が義務付けられるようになりました。
それ以前であれば、介護福祉士になる為には3年間の実務があれば受ける事が出来たので、条件がより厳しくなったと言えます。

ただ、実務者研修の資格とはどのような物で、どういったことを学んでいくのでしょうか？

実務者研修とは？

実務者研修とは、「介護の基本的な知識と技術を修得する介護職員初任者研修の内容を十分に理解し、より実務に則した幅広い知識と技術を身に着ける研修」になります。
初任者研修で基礎を学び、さらに専門的な知識をより深く学んでいく資格が実務者研修となります。

では、受講資格はどういった条件があるのか調べてみると、なんと無資格者や介護未経験者でも受講できる資格のようです。
どの道、介護福祉士を目指している場合であれば、いきなり実務者研修を受講して知識や技術を学ぶ方が近道になると、受講を決めた人も多くいる様です。

また、初任者研修の資格では出来ないような内容の物もありますので、今介護の仕事を初めた方や、これから介護の仕事を希望している人に人気の資格となっています。

実務者研修を受講する為には？

それでは、実務者研修を受講する為にはどうしたらよいのでしょうか？

まずは、受講する企業を探すところから始める事になります。
今ではとても多くの大手企業が実務者研修講座を取り扱っている為、受講する事自体難しい事ではないでしょう。

基本的に受講する時間としては、無資格者で450時間、初任者研修（ホームヘルパー2級）で320時間、ホームヘルパー1級で95時間程度となっているようです。
無資格の場合、資格取得期間の目安として大体半年間くらい受講する所が多いようですが、より早く資格が欲しい場合には、短期集中コース等を取り扱っている企業などもあるようです。

特に気になる受講料は、時期やキャンペーン、就業者割引等色々割安になる特典は企業によって違いますが、無資格者ですと100,000円から200,000円くらいで受講できるようです。
ちなみに初任者研修（ヘルパー2級）を持っている方ですと、60,000円代から140,000円代となっています。

資格を取ってより待遇をよくしてもらう為に受講するわけですが、出来る事ならあまり費用はかけたくありません。
受講を希望している際には、出来るだけ多くの企業のホームページを確認し、まずは資料請求を行うようにしましょう。

実務者研修で学ぶ事

次は、実務者研修ではどんな事を学ぶのかを紹介していきましょう。

無資格の場合には、まず高齢者の尊厳や自立した生活がどうして必要なのかを学んでいく事になります。そして社会や、介護の基本を学んでいく事になります。
受講当初は基本テキストを見ながら学んでいく事が多く、学んだことを自宅で課題として行い、次の受講までは学習しておかなければならない内容の物もあります。

その後はコミュニケーション方法や、介護過程、生活支援技術についても学んでいき、実際にどのような介助を行っているのかを学び、実践での講習も出てきます。
実際に学んだ事を実践していくようになるので、介護の方法をしっかりと体で学ぶ事になってきます。

さらには専門知識を学ぶ為に、認知症についての内容や、障害への理解や心と体の仕組みについても学ぶ事になります。

初任者研修とは違い、専門的な知識をより深く学ぶのが実務者研修です。
これだけしっかり専門的な知識を学ぶ事が出来れば、より専門性の高い介護士として働く事が出来るでしょう。

医療行為

さらにこれだけでなく、実務者研修は今まで医療行為として医師や看護師にしか行う事が出来なかった、「痰吸引」や「経管栄養」を行う事も出来るようになりました。

今までの入居施設では、吸引を行う事が出来るのは看護師だけで、夜間帯は介護士のみが勤務する事が多かった為、昼夜問わず吸引が必要な利用者はなかなか受け入れてもらえない状況にありました。

しかし、これからの介護福祉士は痰吸引を行う資格を持っているので、夜間帯も安心して痰吸引の対応が可能な入居施設が増えていくのではないでしょうか。

まとめ

介護福祉士の資格を取得する為には絶対条件となった「実務者研修」。
今までよりも専門性が増した介護福祉士が増えていくわけですので、介護サービスを実際に利用する人にとってはより質の高いサービスが受けられる事になるでしょう。

また、医療行為を行う事も可能になり、介護福祉士の業務はより幅が広がったものと期待する事が出来ます。

今後ますます高齢者が増えていく日本には、まだまだ介護士が足りない状況になっています。
介護の仕事は昔から「誰でも出来る仕事」と思われてきました。しかしそれも一昔前の話だと思います。

今では専門性が高く、しっかりと高齢者の事を理解していないと出来ない仕事に生まれ変わり、日本に絶対的に必要な職業と言える事でしょう。