看取らない施設に入所するなら、最期の施設側の対応を確認しておく

ご家族様が入所型の介護施設を選ぶタイミングの多くは「自宅で介護ができなくて困っているから」という、切迫した状態にあるかと思います。
「急いで入所施設を探したい」「適度な料金で入れてもらえるならどこでも良い」という焦りもあるかと思います。

しかし、あせって入所施設を決めて入所後に「思っていた施設と違った」と後悔しないようにしておきたいのもご家族様の率直な心情だと思います。
後悔しない入所型の介護施設選びで重要な要素の１つが「最期が近くなったとき、その施設では看取ってもらえるのか？」という点です。

介護保険制度のもと、わかりにくくなった施設種別

日本が超高齢化社会へと進んでいく中、近年、入所型の介護施設もとても増えました。
地域によってはせまいエリアに入所型施設が乱立するような状況も発生しています。

また入所型介護施設が示している肩書きも「介護付き有料老人ホーム」「サービス付き高齢者住宅」「認知症高齢者グループホーム」「老人保健施設」「特別養護老人ホーム」等々、実に様々あります。一般の方には「どの肩書きの施設がどのように違うのか」が非常にわかりにくい状態と言えます。

違いがわかりにくい反面、ご家族様が入所施設を選ぶタイミングは「自宅で介護できない」「病院から退院をせまられているが、自宅に戻ってきても対応できない」等、切迫している状態が多いと思います。
そのような状況の中「とにかく入所施設に入れて安心」したけれど、月日が経過するうちに「思っていた施設と違っていた」などと後悔するご家族様もいらっしゃるのも事実です。

「あせる入所型介護施設選び」になりがちですが「あせりすぎないこと、早急に決めすぎないこと」がご家族様にとっては重要です。

重要になる「看取ってもらえるか」「病院への入院になるか」を必ず確認

入所施設を選ぶときに、必ず確認しておきたいことの１つが、最期が近くなってきたときの施設側の対応です。
「看取ってもらえるのか」それとも「病院への入院になるか」によって、ご家族様の心がまえも違ってきます。

誤解のないように申し上げておきますが、看取ってもらえるから良い施設とは限りません。また看取ってもらえないから悪い施設とも限りません。
ここではあくまでも「ご利用者様の最期が近づいてきたとき」に「看取ってもらえるか」「看取られず病院への入院になるか」について焦点をしぼります。

最期の対応は施設見学の段階でこまかく聞いておく

先ほども記載しましたが、看取ってもらえないから悪い施設というわけではありません。
例えば施設種別の違い、医療面での体制の違いから、どうしても看取ることができない施設もあります。
そのような施設の場合は、ご利用者様の最期が近くなってきたときに「家族はどうしたらよいか」をこまかく確認しておく必要があります。

もちろん急変等で施設側がイレギュラーな対応をせざるを得ないときもありますが、その施設にとってのご利用者様の最期が近づいてきたときの基本の対応を、できれば見学の段階でこまかく聞いておくことを強くおすすめします。

次の行き先は誰が探すのか？

施設種別や施設体制上、どうしても看取ってもらえない施設に入所した場合、ご利用者様の最期が近づいてきたときに、次の入所先（入院先）はどのように決まるのかまでこまかく確認しておくことをおすすめします。

例えば「施設で看取れない場合、連携医療機関に入院してもらいます」といった施設の場合、連携医療機関はどの病院か、基本的な入院費用はいくらになるのか確認しておくようにします。場合によっては「連携医療機関が遠方にあり、家族が面会に行くのが困難な場所」にあったり、「施設入所と比べものにならないくらい入院費用が高い」ということも考えられます。

また「次の入所先（入院先）は基本は家族で探してください」というスタンスの施設もあります。
親族に医療や介護関係者などがいれば、ある程度探すことはできるかもしれません。
しかし、多くの場合はご家族様だけで最期が近いご本人様の行き先を探すことは困難と言えます。

看取ってもらえない施設に入所する場合は、そのようなことも検討材料にして施設選びをすると、入所後のリスクや後悔が少なくなります。

まとめ

いかがでしたか？
施設種別によってどうしても看取り体制ができない施設があります。その施設が悪いということではありませんが、ご本人様の最期が近くなったときの対応方法は入所前、できれば施設見学時にこまかく確認しておくことをおすすめします。
どのような方にも、最期は必ずやってきます。そのときの心構えを入所前からしておくことが、いざというときに大切になってきます。

今回ご紹介した内容が、ご家族様の立場からの施設選びの参考になれば幸いです。