HOME > すべての記事 > 高齢者の方・ご家族の方向けコラム > 特別養護老人ホーム入所は申込順ではない!入所の仕組みと実情について

高齢者の方・ご家族の方向けコラム

特別養護老人ホーム入所は申込順ではない!入所の仕組みと実情について

ご家族様の立場として、在宅(居宅)で介護していたとしても、ご本人様の状態や家族介護の疲労から「特別養護老人ホームに入所を希望する」という状況になることもあるかと思います。
世間的には「特別養護老人ホーム(以下、特養と記します)への入所は待ち人数が多く、数年待ちという話も聞く」ので「特養への入所はあきらめている」というご家族様もいらっしゃるのではないでしょうか?

そのようなご家族様向けに、今回の記事は、特養への入所をあきらめなくても済むような内容をご紹介します。
実際に介護事業に従事している立場や仕事上の実体験含めての記事なので、特養入所をあきらめているご家族様は、ぜひ参考にしていただきたい話です。

「特養何百人待機、入所まで数年待ち」は、実は違う?

日本の高齢化が一段と進む中、世間一般のニュースでも取り上げられる事が増えてきた特養への入所待機者数や、申込から入所に至るまでの平均待ち年月ですが、介護事業従事者の立場から言わせてもらうと「実は世間で報道されている程、待たなくて済む」というのが実態です。

ニュースなどでは「特養入所待機者何万人」「1施設あたり何百人待ち」などと報道されることが多いですが、特養の申込者はご本人様1人あたり、いくつもの施設に申し込んでいるのが実情です。

つまりご本人様は1人でも、カウント上は「1人×申し込んだ施設数」という数字と理解してください。

反対に言うと、そのご本人様がある特養に入所が決まった場合「1人×申し込んだ施設数」分の人数が待機者からマイナスされるということなのです。

ここでご家族様にお伝えしておきたいのは「世間で報道される特養申込待機者数と実数には違いがあり、実数は報道されている申込者数よりもかなり少ない」というのが実態であるという点です。
「あそこの施設は何百人待ちだから」とあきらめる要素が1つ減ったと思ってください。

ご家族様に知っておいてほしい「特養は申込順ではない」という点

特養の入所待機者の事情として、ご家族様にあまり知られていない事の1つが「特養入所は申込順ではない」という点です。
言い方を変えて例えると「ご本人様やご家族様の事情によっては、入所申込後2~3か月で入所できる可能性がある」ということです。

この点について、私のような介護事業従事者の立場から誤解のないように申し上げさせていただくと、「特養は申込順ではない」という決まりを、特養側も行政側も隠しているわけではないということです。
特養の入所担当者(主に生活相談員と呼ばれる職種)としては「ご家族様に他に優先してお伝えする情報がたくさんあって、申込順ではないという情報は後になりがち」「申込順ではないと言えども、早く入所できるかもと・・・と期待されても困る」という実情があっての事です。

このような情報や事情は、介護保険事業に精通しているご家族様ならともかく、多くのご家族様は知る機会のない情報や事情と言えます。

申込順でない最大の理由は「優先度」

特養の入所が決まる仕組みを簡単にご説明します。
入所申込書提出→施設担当者レベルによる「優先度の検討」→事前面談→(施設で開催される)入所判定会議→その施設の空き室発生の連絡→健康診断書の提出→本入所。
施設によって多少違いはあるものの、ほとんどの特養がこのような手順で入所が決まっていきます。

特養が申込順でない最大の理由は「優先度」にあります。この「優先度」が高くなる一番の要因は介護度(介護度が高い方が優先度が高い)ですが、その他家族・親族状況(家族と同居のか独居なのか、主に介護している方の状況、同居家族の就労状況、収入状況など)の要因も勘案し、総合的に優先度が決まってきます。

最終的には施設で開催される入所判定会議で検討され「ご本人様の状態や総合的な優先度から早期の入所が妥当である」と判断されると、先に申込をしている方を飛び越えて早期の入所が可能になるという仕組みです。

申込書だけは、ご本人様の状態が良いうちに早めに提出しておくのがコツ

前述の話と矛盾するような内容ではありますが、申込書の提出はご本人様の状態が低下してからよりも、安定している良い状態のときに提出しておく方がベターです。

その理由の1つは、特養は生活施設なので医療依存度の高い方は入所させにくい(施設の機能、特性として入所後のケアが十分にできない可能性がある)
という事情があります。

また体調などご本人様の状態に波があり不安定すぎると、入所後にすぐに医療機関への入院になったり、結果的に早期退所となってしまう可能性もあります。
これは結果的にご本人様、ご家族様、特養側とすべてに負担がかかる結果となります。
特養側としては「入所していただくのであれば、できるだけ安定した状態で長く入所生活を続けてほしい」という思いから、状態が低下している方、不安定な方の入所は見合わせたいという実情があるからです。

「在宅(居宅)介護に本当に困ってしまう前に、特養への入所申込書を提出しておく」というのが、特養への早期かつスムーズな入所のコツの1つです。

まとめ

いかがでしたか?
世間一般的にはあまり知られていない特養入所の実情なども含めた内容をご紹介しました。
今回ご紹介した内容は、特に「特養入所はあきらめていたご家族様」のために参考になれば幸いです。

掲載中の転職サイト一覧

高齢者の方・ご家族の方向けコラム関連記事