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高齢者の方・ご家族の方向けコラム

利用する側の苦情申し立てについて。その苦情がサービス向上になる。

介護サービスを受けている、ご利用者様やご家族様の心情として「お世話になっている職員さんに、もの申すのは申し訳ない」「職員さんに対して、気に入らない点はあるけれど、お世話になっているから多少のことはガマンしないといけない」といった気持ちをもっている方は多いのではないでしょうか。

しかし、介護保険制度において、ご利用者様(ご家族様)と介護サービス事業者は「契約関係」という対等な関係にあります。
また、ご利用者様(ご家族様)は、介護サービスを受ける対価として利用料や保険料を支払っているので、本来は介護サービス事業者に対して要望や苦情があれば、遠慮なく言っていただいてかまわないのです。

今回の記事では、ご利用者様やご家族様にとって踏み込みにくい「適切な苦情申し立て」について、触れてみたいと思います。

苦情解決の仕組みについて

世間一般のイメージとして苦情(クレーム)という響きは、悪い出来事をイメージさせます。

業界問わず、顧客相手の仕事における苦情のイメージは、顧客(ユーザー)が企業(販売やサービス提供側)に対して、気にいらない事や欠陥だと思った事を伝える場面になるのではないでしょうか。

また、接客業においては社員や店員の態度が悪いと、顧客は当然のように苦情(クレーム)を相手に申すというイメージがあると思います。

介護保険制度における苦情解決の仕組みは、上記でご紹介したような世間一般の苦情のイメージをもっており、かつ「解決」というイメージを併せもったものになります。

詳しくはこの後、解説していきますが、介護保険制度における、ご利用者様(ご家族様)の苦情は、苦情のレベルにもよりますが、基本的には介護サービスをより良くするものとして取り扱いをされます。

最初から、介護サービス事業所を裁判等で訴えるとか、そのような大きなイメージのものではないことを、先にご紹介しておきます。

介護保険制度における、適切な苦情処理はプラス

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介護サービス事業に携わる職員が、苦情解決に関する研修を受ける際、多くの苦情解決の研修では「ご利用者様やご家族様からの苦情は、自分達の介護サービスをより良くするためのもの」と伝えられます。
そして「適切に苦情解決することで、より良い介護サービスを目指す」という考え方を教わります。

また「苦情を申し立てたご利用者様やご家族様に、不利益となるようなことはしてはならない」とも教わります。

苦情の内容やレベルにもよりますが、介護保険制度における苦情解決は、介護サービスをより良くするためのものであることを、介護サービス事業者側も研修を通じて教わっているのです。

ここで、ご家族様にお伝えしておきたいのは「適切な苦情申し立ては、介護サービスの質の向上(プラス)になる」という点と、「ご利用者様やご家族様に不利益は生じない」という点です。

過度なクレーマーになることをお勧めしているわけではありませんが、ご利用者様やご家族様は適切な苦情申し立てなら、不利益な扱いを受けることはないということをぜひ知っておいていただきたいのです。
適切な苦情申し立ては悪いことではないのです。

苦情受付窓口を利用するのも悪くない

ほとんどの介護サービス事業者は、施設や事業所内に苦情受付担当者と苦情解決責任者を設けています。
実は、その説明をご利用者様やご家族様は、重要事項説明書や契約書で説明を受けています。

しかし、いざ苦情というものは「苦情を言いたい」という場面に直面しないとでてこないものです。
多くのご利用者様やご家族様は、施設や事業所内に苦情解決窓口があるということを意識していなくて当然と言えます。

また本当に苦情を申し立てしたい場合、冒頭で触れたように「お世話になっているところに、直接もの申しにくい」という心情が働くのも事実です。

このようにサービス事業者に直接もの申しにくければ、公的な機関に苦情を申し立てることも可能です。
これも、ご利用者様やご家族様にとっては決して大きな事ととらえずに、ご相談する感覚で苦情申し立てしていただきたいと思います。

ニュースで報道されるような事件性のあるような苦情は、よほどのレベルです。そのようなレベル以前の苦情であっても、サービス事業所に直接もの申しにくければ、遠慮なく公的機関を利用することが、ご利用者様やご家族様の権利でもあるのです。

具体的には、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または介護保険の専門機関である国民健康保険連合団体(通称、国保連)が、苦情受付担当窓口となります。

まとめ

介護保険制度における苦情解決の考え方は、介護サービス事業者をこらしめるという考え方ではありません。
ご利用者様やご家族の声を、より良い介護サービスにつなげていく、活かしていくという考え方が基本です。

このことを、ご利用者様やご家族様には知っていただきたいのです。
そして、適切な苦情申し立ては、ご利用者様やご家族様に不利益は生じないということも、介護保険制度における苦情解決の基本的な考え方になります。

今回ご紹介した考え方が、ご利用者様やご家族様の介護サービス利用の参考となれば幸いです。

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