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高齢者の方・ご家族の方向けコラム

特別養護老人ホームの平均入所年数と平均費用について

高齢化社会が進む日本には様々な介護サービスが存在しますが、その中の一つである特別養護老人ホームは、家庭で生活することが困難となったお年寄りが介助を受けて生活していく施設であり、65歳以上でなおかつ要介護3以上の介護度の方が入居することができます。

介護サービスには国が運営する介護保険制度による法人のものと、民間企業によるものがありますが、どちらも多種多様なサービスがあり、似たようなものも多くあります。

特別養護老人ホームは介護保険制度によるものですので費用も国が定めたある程度の基準がありますし、民間の類似施設よりも比較的安く利用できます。

また、施設系介護サービスの中でも特別養護老人ホームは平均入所期間が比較的長くなっています。

 

特別養護老人ホームの平均入所年数

施設系介護サービスの中でも入所期間が長い特別養護老人ホームの入所年数は、平均で4年ほどです。

法人の施設系介護サービスといえば特別養護老人ホームの他に老人保健施設がありますが、こちらは平均で200日程度と1年に満たない期間です。

この差は施設としての目的の違いからきています。

 

老人保健施設は一時的な生活の場としており、リハビリなどをおこない元いた家に帰ることや施設に移り住むことを目的としていますので、住み続ける施設ではありません。

入所できる期間も原則3か月と定められており、平均入所年数が長くなりにくいのです。

対して特別養護老人ホームは、終の棲家としての施設であり、一度入所したら生涯住み続けることができます。

また、民間の類似施設では費用が高額でない施設であれば特別養護老人ホームの空きを待っている間の入所であることが多く、地域やその施設にもよりますが特別養護老人ホームよりは長期化しにくくなります。

民間の類似施設では費用が高額な施設(有料老人ホームの一部や高級老人ホームと言われるもの)もありますが、こちらはその特性からして特別養護老人ホームより入所年数は長いものと思われます。

介護度から見た入所年数

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特別養護老人ホームの利用は要介護3以上の方が対象ですが、では要介護3とはどういう区分なのでしょうか。

状態の区分には「要支援」と「要介護」の7区分があります。

軽い順に要支援1、2、要介護1、2、…と続きますが、身体に触れずにできる範囲のお手伝いで日常生活を送れる範囲が要支援、身体に触れるお手伝いが必要になると要介護となります。

 

例えば、お買い物を代行してもらえれば生活できるのであれば要支援、爪を自分で切れないのであれば要介護の区分となります。

要介護には1から5までの区分があり、要介護3というのは自力で着替えができない、寝返りを打つのにも手伝いを必要とする、などの生活能力が非常に低いとされる区分です。

上の項目での通り、特別養護老人ホームは要介護3以上の方が利用する施設であり、平均入所年数は4年です。

寝返りを打てない状態の方が4年間生きられるということに疑問を持つ方が多いかと思いますが、これには理由があります。

介護度の区分は、生活能力で分けられていますが、この生活能力の低下の原因は考慮されません。

 

例えば、自力で着替えることができない理由が何らかの病気であるケースと、身体動作には何の問題もなくお元気でも認知症によって「着替え」というものが分からなくなってしまったケースでは、個人の差はあるにしても後者の方は「身体的にはお元気」なのですから、長生きしやすいです。

また、寝返りが打てない状態の方のことを考えても、施設で生活するお年寄りは栄養士が考えたバランスのよい食事を毎日食べ、決まった時間に起きて体温や血圧を測り、毎日徹底した体調管理を受けています。

体調の変化にも早期に気が付きやすく、変な言い方をしてしまえば、施設で生活するお年寄りはなかなか亡くなりません。

特別養護老人ホームの平均費用

費用については個々の必要とするサービスや施設・部屋のタイプによって変わりますが、全体の平均としては8万円程度です。

老人保健施設だと10万円前後、民間の施設ではその施設によって様々ですが、公的資金を使える法人施設より安い費用で入居できる施設はまず無いと言って良いでしょう。

同じ介護保険制度の施設である老人保健施設は、上の項目で取り上げた通り特別養護老人ホームとは目的が違い、受けるサービスが違うため費用も違います。

このことから、施設系介護サービスの中では特別養護老人ホームが圧倒的に安いのです。

介護生活にかかる実際の費用の平均

平均から見た場合の全体の費用はいくらになるでしょうか。

毎月8万円を払い4年過ごして亡くなったとして計算すると、年間で96万円、4年で384万円となります。「生きるために必要な金額」と考えると安いですね。

しかし、入所したときにこの平均的な費用であっても、今後生涯おなじ費用で過ごせることは稀でしょう。

そもそもお年寄りですから、施設生活を送っていても病院に通うこともあるでしょうし、持病の悪化や何らかの発病によって追加費用が必要となることもあります。

介護度が上がれば補助は手厚くなりますが費用も高くなりますし、これまで安い多床室で過ごせていても、場合によってはどうしても個室が必要となってくることもあります。

また、当然ですが期間が4年とは限りません。

 

平均寿命が80歳を超える日本の高齢化社会において、何らかの理由で65歳から特別養護老人ホームに入所した場合、平均寿命まで15年以上あります。

ただし、特別養護老人ホームの入所者の平均年齢は84歳前後であり、地域や施設にもよりますが5%強が100歳を超えていますので、例え90歳を超えてから入所しても、費用をいつまで払い続けるのかは未知数です。

大事な人には長生きしてもらいたいものですが、その命とお金が密接に絡みあうことは心苦しいですね。

行列のできる特別養護老人ホーム

介護にかかる費用というのは、この先何年支払い続けることになるのか分からないので、安いものを求める方が多いかと思います。

安さで選べば当然、特別養護老人ホームですよね。

しかし、考えることは皆一緒といいますか、特別養護老人ホームはほぼいつも満員で順番待ちの状態です。待機児童の話みたいですね。

介護の場合は順番で10年待ったケースがありますが、国の制度であるにも関わらずこれらの問題が発生する理由として、費用が安いということの他に、上の項目で取り上げた入所年数も関係しています。

終の棲家としての施設ということは、ネガティブな言い方をすれば「誰かが死ななければ空きが出ない」ということになります。
日本人の長い寿命は医療の発達の賜物であり、特に施設で生活しているお年寄りは長生きしやすい環境にあると言えます。

まとめ

特別養護老人ホームの入所年数は平均すると4年程度、費用としては8万円程度/月となっています。

ほとんどの場合は本人の年金や介護保険制度の補助などを使って賄える金額ですが、家族や配偶者などが負担する場合は大変な高額でしょう。

ただし費用としては定額ではなく、状態の変化と共に変わりますし、いつまで払い続けるのかも分からないものです。

高齢者の長寿は嬉しい事であり、大切なおじいちゃん、おばあちゃんには長生きしてもらいたいものですが、それによって社会現役世代の負担が大きくなることは非常に心苦しく残念なことです。

支払いが負担になる場合は早めに施設やケアマネージャーに相談しましょう。

お年寄りと関係者が生涯良い関係でいられたら良いですね。

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