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介護士コラム~体験談~

褥瘡を予防するマットレスの選び方

寝たきりになってしまうと、高齢者の場合はすぐ褥瘡ができてしまう事が多いです。
一度なってしまうと、治すのに時間がかかったり、完治するのが難しくなったりするので予防が何より大事です。

マメな体位変換も大事ですが、自宅介護の場合は家族に負担がかかり、とても大変なので、その場合は褥瘡を予防するマットを使用するのがお勧めです。
どのようなマットが褥瘡予防に良いのでしょうか?

褥瘡はどんな場合になりやすい?

長い間寝たきりの生活が続いたとしても、ベットの中で自分で自由に寝返りができる方の場合は褥瘡になる事はあまりありません。
人間は寝ている間に、無意識に寝返りをしていますから、足や手が不自由でも、ある程度体が自分で動かせる間は大丈夫な場合が多いです。

褥瘡は体の同じ部分が長時間圧迫される事で、皮膚が赤くなったり、めくれたりしてひどくなってくると、化膿して壊死してしまう場合もあります。
高齢で寝たきりになると栄養が足りなくなって、皮膚が弱くなってしまうので、一晩で褥瘡ができてしまう事もあります。

一般的に使われているマットは褥瘡予防には向かない

一般的に「体に良い」とされているのは、適度に固さのあるマットです。
最近では、低反発の固めのマットを使用している人も多いと思います。
ある程度の固さがある事で、体にかかる体重を分散してくれ、疲れにくくしてくれます。

柔らかすぎるマットだと、体がマットに沈みこんでしまい、寝返りがうち辛かったり、体が曲がった状態になってしまうので、負担がかかって逆に体が疲れやすくなってしまいます。
体に障害のある方の場合は、柔らかすぎるマットだと、寝返りがしにくい、自分で起き上がれない、などの支障がでてきます。

では、褥瘡予防にも固めのマットが良いのか?と言うとそうではありません。
固めのマットの使用を勧められるのは、ある程度自分の体を自由に動かせる方です。
寝たきりで、自分で寝返りができない方の場合は、できるだけ柔らかいマットをお勧めします。

しかし、一般的に使用されているマットだとあまり効果は期待できないので、医療用、介護用のエアーマットレスをお勧めします。
どのようなものなのかというと、マットの中に空気が入っていて、寝ている人は常に空気で体重が支えられているようになります。このマットを使用する事で、体重が体にかかる負担を大幅に軽減してくれるのです。

医療用、介護用のマットレスは、介護施設でも多く利用されています。
褥瘡予防という意味もありますが、体重が重い方などは、通常のベットで横になっているだけでも体が痛くなってきてしまうので、痛みの緩和に使用される事もあります。

マットを使用する事で、褥瘡のリスクはどのくらい減るのか?

以前、施設で生活していた男性は、寝たきりではなく椅子で生活していましたが、仙骨の部分がよく赤くなっていました。
何度も皮ムケを繰り返して、いつ褥瘡になってもおかしくない状況でした。

体が固く、ベットで横になっても自分ではあまり動く事はなく、夜間は職員が体位変換を2~3時間おきにするようにしていましたが、体を少しでも動かすとひどく痛がるため、十分な体位変換ができなかったためと思われます。また、寝ている間も「体が痛い」という訴えがたびたびあり、夜間はあまり眠れていない様子でした。

ご家族に相談して医療用のエアーマットを使用する事になりました。
エアーマットを使用するようになってからは、以前は繰り返しできていた仙骨の赤みはなくなりました。
また、本人も「横になっても体が痛くなくなった」と夜間もぐっすり眠れるようになりました。本人のマットレスの使用感もとても良かったようです。

この方の場合は、医療用のマットレスを使用しだしてから、亡くなるまで2年間はずっと褥瘡になる事はなかったです。
要介護4の方だったので、月に数百円で、介護用品の専門会社からレンタルする事ができました。

医療用のマットを使用すれば、体位変換をしなくても褥瘡はできない

医療用マットレスのレンタル会社によると、マットを使用するのならば、体位変換をしなくても褥瘡はできない、との事です。
確かに、施設に入所されていた男性の場合も、マットレスを使用してからは体位変換の回数が減っても褥瘡はできませんでした。

ただ、夜中の間ずっと体を動かす事がない状態でいると、体の硬直は進んでしまうので、体に負担をかけない意味では、体位変換は必要だと思います。

まとめ

施設では、夜中でも介護士がオムツ交換や、体位変換などの介助をしてくれるので、積極的には使われていないようです。

一方、自宅介護の場合、家族が夜中に起きて、身体介護をするのは大変な事なので、体位変換をしなくても褥瘡ができないエアマットはとても役に立つと思います。
自宅で生活されている要介護の方で、寝たきりの方は多く利用されていると思います。

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