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介護士コラム~体験談~

心温まる看取り介護にするために、介護士ができる配慮と工夫について

入所施設における看取りは、社会的に高齢者福祉に求められている事の1つです。
看取り介護において、ご利用者様やご家族様に穏やかな最期をむかえていただくために介護士には何ができるのか?今回は看取り介護の体験談を交えて、介護士ができる配慮と工夫について述べていきます。

ご利用者様の希望をできるだけ尊重する

看取り期のご利用者様に対して、介護士ができる配慮と工夫について大枠の考え方は「ご利用者様の希望をできるだけ尊重する」という点です。

看取り期のご利用者様なので、心身状態により明確なご希望をうかがうことができない場合もあります。

でも、例えばご利用者様から「○○が食べたい」「○○さんに会いたい」「○○を見たい」等々、介護士の配慮と工夫で対応できそうなご希望を聞くことができたら、可能な限り実現できるように工夫して差し上げるという考え方が重要です。

特に施設においては、介護士は複数人のチームです。看取り期のご利用者様から聞いた要望を、他の介護士と共有することで「直接かなえることができない希望の代替案」が生まれる場合もあります。
ご利用者様から聞いた要望は1人で抱えこまず、他の介護士に展開していくという姿勢が大切です。

音楽や香りなどによる環境調整について

看取り期のご利用者様が、ご本人の居室でそのままお過ごしになられるのか、それとも静養室のような部屋(多床室の特別養護老人ホームに設置されていることが多い部屋です)でお過ごしになられるかにもよりますが、ご利用者様が好まれていた音楽などを流したり、お花を飾ったり(施設によっては生花持ち込みを禁止している場合もあります)、芳香剤やアロマなどで適度な香りをつけたりと、ご利用者様が穏やかな気持ちで生活可能な環境に、できる限り調整して差し上げることは、看取り介護において介護士ができる配慮と工夫という意味では大切になってきます。

これらの居室環境の調整を図ることは、面会にこられたご家族様にとっても良い印象が残ります。「最期まで大切にしてくれている」と思ってくださる事が多いのです。

ご親族様、ご友人様との面会

施設入所されているご利用者様とご家族様との関係は、必ずしもうまく行っているとは限りません。
様々な生活背景の中で、積み重なった思いから「本人(ご利用者様)に体調変化が生じても、連絡は最期をむかえてからでかまわない」「あまりかかわりたくない」というご家族様もいらっしゃいます。

その反対に、ご利用者様のことをとても大切にされているご家族様もいらっしゃいます。
近親のご家族様のみだけでなく、その他のご親族様、昔からのご友人様との関係を大切にしてこられたご利用者様(ご家族様)もいらっしゃいます。

そのようなご利用者様の場合は、ご利用者様・ご家族様にとってできる限りご面会の機会を確保して差し上げることは、介護士ができる配慮と工夫として大切です。

ご親族様、ご友人様への連絡は、生活相談員やケアマネ―ジャーの協力を得て対応することをおすすめします。

思い出ノート体験談

看取り介護において、特にご利用者様のバイタルサインに変化の兆候があらわれ、最期にむかっていく場面での介護記録・看護記録は非常に重要になってきます。

この記録とはあくまで別物として、私が関わっていた施設で実行していた事があります。それは、看取り期のご利用者様に対する何でもノート(私の関わった施設では思い出ノートと呼んでました)を作っておくことです。

何でもノート(思い出ノート)は、最近では葬儀社などから「エンディングノート」と呼ばれる類のものも出てきていますが、それに近い要素があります。

具体的には、看取り期のご利用者様に関わった方誰もが自由に記入できるノートを1冊、ご利用者様のお過ごしになられている場所に置いておきます。関わった方というのは、ご家族様、介護士はもちろんですが、私の関わった施設では直接処遇ではない事務職や調理員、訪ねてきた知人様、施設入所前に在宅(居宅)で関わっていたケアマネ―ジャーなど、そのご利用者様のために部屋に訪れた人なら誰でも自由に記入できるノートにしていました。

ご逝去後、タイミングを見て、そのノートをご家族様にお渡しします(施設側ではコピーをとっておくようにしていますが、あくまでも記録ではないので法律上の保管義務はありません)。ほとんどのご家族様が感謝してくださるので、介護士にとって良い意味で看取り介護の達成感と、次への励みにもなります。

この何でもノート(思い出ノート)は、ぜひおすすめしたいものの1つです。

まとめ

看取り介護には不安や心配はつきものですが、介護士という仕事だからこそ体験することのできる、私見ですが介護の醍醐味であるとも思っています。

看取り介護に関わる介護士方は、ご利用者様・ご家族様のために、ぜひ心温まる看取り介護となるように、配慮と工夫に努めてほしいと願っています。今回ご紹介した内容がより良い看取り介護の参考になれば幸いです。

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