介護士コラム~体験談~
看取りきれなかった力不足・・・今、できるだけ看取りたい心境へ
- 2016.07.19 @ 新着
- 介護士コラム~体験談~
最近の入所系介護施設では「看取り介護」を行っている施設も増えてきました。
この看取り介護は、経験の浅い介護士にとっては不安が先行する場合も多くあります。
私は、今でこそ多くのご利用者様をお看取りできるようになりましたが、若い頃、ご利用者様を看取りきれずに力不足を感じ、後悔した体験談を今回はご紹介します。
医師の見解は「これ以上は病状がよくなることはない」
当時、私は認知症グループホームで働いていました。
認知症グループホームは、看護師の人員配置は義務ではないので、そのグループホームでは看護師は併設するデイサービスの看護師に、何かあれば看てもらう程度でした。
そんなグループホームのご利用者様に、心疾患を抱えていたご利用者様がいました。
加齢と病状で、当時グループホームに往診に来ていただいていた医師がある日こう言いました。「これ以上、病状がよくなることはないね」
これは、終末期(ターミナル期)に入ったことを意味する発言でした。
徐々に状態が下がっていく→介護士として「怖い」という思い
このご利用者様、往診医が言ったとおり、これ以上よくなることはなく、やがて食事や水分も摂取しにくくなるほど状態が下がっていきました。
当時のグループホームは、事業所としても2~3年、経験の浅い介護士が多い、そして医療職である看護師は常にいるわけではない・・・
介護士の中で「自分が夜勤のとき、夜中に呼吸停止していたらどうしよう・・・」というような不安の声が多く聞かれるようになりました。
ご家族様と話し合い、病院入院となる
終末期(ターミナル期)において、ご家族様と話し合い、入院をしていただくなんて、経験を積んだ今となっては恥ずかしい話にはなりますが、その時は、グループホームの介護士チームとしては残念ながら力不足でした。
ご家族様と話し合い、そのご利用者様は入院、入院1週間後に他界されました。
やりきれなかった後悔→介護士としての成長へ
病院に入院して1週間、ご利用者様の訃報を聞いた介護士チームの中に「最期の最期に病院入院してもらったけど、本当にそれでよかったのだろうか・・・」という声が聞かれるようになりました。
介護士チームとして「最期までやりきれなかった」感、「病院に入院するくらいなら、生活ベースのグループホームにいてもらってもよかったのではないか」という意見、「最期の場所になれなかった」という後悔があったのです。
入院して1週間で他界されたこのご利用者様と、同じ事をしないように介護士チームで話し合い、「ここで生活してきたご利用者様と最期まで時間を共有したい」という思いになり、それからは看取り介護に取り組むグループホームになりました。
しかし、しばらくは「あのご利用者様を、私達介護士チームの力不足で入院となってしまった」という後悔が消えなかったことを、今でも思い出します。
まとめ
いかがでしたか?キレイ事だけの体験談ではなく、看取りきれずに後悔した内容をご紹介しました。
看取り介護に不安を抱いている介護士などに、参考にしてもらえれば幸いです。
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