介護士のお仕事
認知症を穏やかに見守る勇気~介護士としてのレベルアップ術
- 2018.02.06 @ 新着
- 介護士のお仕事
介護士としてスキルアップしていくために欠かせない事の1つが「認知症のご利用者様への対応力」です。
認知症のご利用者様への対応力を向上させるためには、テキストだけでは学べない経験も必要になってきます。
介護士としれレベルアップするために、認知症のご利用者様を穏やかに見守ってみませんか?
認知症という脳の病気に対する視点
今でこそ「認知症」という言葉が世の中に定着していますが、「認知症」は以前は「痴呆(ちほう)」と呼ばれていました。
痴呆という言葉のイメージとして、あまり良いイメージを抱く方は少ないと思います。
さらにその昔、「痴呆」という呼び方さえない時代は「ボケ」「きちがい」などと、今考えると、人間の尊厳とはかけ離れた言葉が使われていました。
話は今の時代に戻ります。近代では認知症がニュースやドキュメント番組などで報道されることも増え、認知症が脳内に起因する病気であることを世間の多くの方が認識する時代になりました。
しかし認知症が病気と理解していながらも、身近な親族の方などは「あんなにしっかりしていた親が私の名前を忘れるようになってしまった→しっかりしてよ!」とついつい感情的に思ってしまうこともあるかと思います。
そのような親族感情に対して、介護の専門職である介護士は認知症という病気に冷静に対応する必要があります。
基本知識ではありますが「認知症は脳内に起因する病気である」ので他の病気同様、言い聞かせて治るものではないという視点です。
認知症はこまかく言えば、脳内がどのような状態かによってタイプが変わってきますが、適切な薬の処方と介護士の対応(支援方法)で症状が緩和されます。
比較対象にはならないかもしれませんが、例えば糖尿病は薬と食事療法を組み合わせて症状を緩和します。
これと同様、認知症は医師による適切な薬の処方と、生活支援方法の組み合わせで症状を緩和することができます。
「見守り」と「放置」の違い
認知症のご利用者様と関わる介護士にとって「見守り」という視点は重要です。
よく「ほったらかし(放置)」と誤解する方がいますが、「見守り」と「放置」は違います。
「見守り」はご利用者様のご様子を見ながら、危険を伴う場面には適切に介入(支援)し、事故にならないように回避させることを言います。
「ほったらかし(放置)」は、ご利用者様が危険を伴う場面にも介入(支援)せず、介護事故を発生させてしまったり、ご利用者様が排泄処理がうまくできずに困っていても、そのままにしてしまうことを言います。
認知症のご利用者様に対する関わりとして、よく「見守り」が大切と言われますが、認知症介護において介護士がよりスキルアップするには「見守りをしつつ、認知症のご利用者様が危険や不潔を伴う場面に遭遇しそうになったら、適切に介入(支援)し、ご利用者様がお困りにならないようにする」という視点と考え方を持つことが必要です。
教育や指導ではない
認知症は脳内の病気です。ご利用者様に「忘れないように」とか「そのような事はしないでください」と言い聞かせて改善する症状ではありません。
認知症が単なるボケではなく、脳内の病気であることは、介護士が基本事項として学ぶ内容にはにはなりますが、日々のご利用者様との関わりにおいて、ご利用者様との関わりがうまくいかないと、冷静さを欠いて「認知症は脳内の病気である」ということを忘れがちになってしまいます。
介護士がよりスキルアップするためには、認知症のご利用者様に対して冷静かつ穏やかな心をもって関わることが必要です。
勇気をもった見守りが、ご利用者様も職員もラクになる
認知症介護において、介護士がよりスキルアップするためには「認知症のご利用者様との距離感」も大切になってきます。
認知症のご利用者様のご様子を見ていると、時に危なっかしく、時に不潔になりがちであったりと、つい声をかけ積極的に介入してしまいたくなる場面があります。
しかし、認知症のご利用者様には、そのご利用者様独特の価値観、世界観があるため、介入(支援)のタイミングをまちがえると、そのご利用者様がご立腹したり、かえって落ち着かなくなってしまう(介護用語で不穏などと呼んでいます)事があります。
反対に、ある程度の安全が確保され、介護士が見守れる範囲であれば、介入(支援)しない勇気を持つことも、介護士がよりスキルアップするために必要な視点となります。
認知症のご利用者様が、ご利用者様独特の価値観、世界観で行動し、それが他人に危険や迷惑をかけない行動であれば、そのご利用者様は心穏やかに過ごすことができます。また介護士もヘタに介入(支援)する必要がなくなるので、良い意味で介護士の仕事を減らすことにもつながるとも言えるのです。
まとめ
いかがでしたか?
認知症のご利用者様との関わりにおいては、そのご利用者様が他人に危険や迷惑をかけない範囲で勇気をもって見守ることも、介護士がよりスキルアップする視点として必要になってきます。何でも関わることだけが、認知症介護ではないのです。
今回ご紹介した内容が、介護士としてスキルアップしていきたい方のお役に立てれば幸いです。
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